NHKスペシャル

ラストメッセージ 第5集 命をかけた日中友好
岡崎嘉平太

1972年に日中で国交が正常化する時、周恩来が「わが国では水を飲む時には井戸を掘った人を忘れない」と謝意を伝えた民間人、岡崎嘉平太。隣国中国との国交断絶状態を憂い、貿易という場を利用した交流を発案し、国交樹立へとつなげた“陰の立役者”である。
戦後の日本は台湾政府と国交を持ち、共産主義・中国に対してアレルギーがあった。その中で岡崎は、アカ、反体制財界人という批判を浴びながらも「相手を知ること」「相手の立場に立つこと」を信条に日中のパイプ作りに奔走した。特に周恩来とは、18回におよぶ会談を通じてアジアの安定と共存を語り合い、信頼と友情を深めていく。
国交正常化の後は日中青年研修協会を設立、留学や研修を通した“人の石垣”を築きあげることに情熱を傾けた。訪中100回、「信は縦糸、愛は横糸」と唱え続けた岡崎は、現在も中国で最も尊敬されている日本人の一人である。「日中の不幸な歴史は、数千年の交流の中でわずか数十年。これから子々孫々の未来があるのです」
番組では、日中の懸け橋として生涯、走り続けた岡崎の姿を追い、相互不信が心配される今、その遺志がどう受け継がれているのかを描く。