NHKスペシャル

ラストメッセージ 第1集 「こどもたちへ 漫画家・手塚治虫」

信念を貫き、命を燃やし生き抜いた日本人。時代と格闘しながら戦後を走り続けた人々。フィルムやビデオ映像に刻まれたその熱い姿と肉声は「大切なものは何か」を現代の私たちに鋭く問いかける。NHKスペシャルの新シリーズ『ラストメッセージ』、11月5日から3夜連続で放送。
第1回は“漫画の神様”と呼ばれ、世界に普及したジャパンアニメの源である手塚治虫。手塚は、自らの悲惨な戦争体験と医学生の時、人間の死を見つめた経験から、子どもたちに生涯を通して「いのちの大切さ」を訴え続けた。膨大な仕事量に追われながらも子どもへ向けた講演会を繰り返し行っていたが、ガンで亡くなる3か月前に行われた最後の講演での姿を記録した貴重な映像を今回入手できた。映像の中で、手塚は自らの戦争体験を語り、「鉄腕アトム」や「ブラックジャック」「火の鳥」を即興で描いて作品に込められた思いをぶつけている。そこには、我が身を削りあらん限りの声を振り絞って「生命の尊厳」について語る人間・手塚治虫の最後の姿がある。『宇宙の中のちっぽけな星に何十億もの人間が住み、無数の生物が同棲している。脆い地球でお互い争い自分たちのことだけしか考えない、そんな未来はいらない。人間を愛し、生き物すべてを愛するような子どもに是非なってほしい』番組では、最後の3か月間の姿と、生涯かけて残した作品群とを行き来し、今も圧倒的影響力を与え続けている「手塚ワールド」=「いのちのメッセージ」をみつめてゆく。

案内役:国井雅比古アナウンサー