「学校に行ける気がしない、でも、行かないのも苦しい」
不安な気持ちを抱える子どもたちが安心して過ごすことができる居場所を紹介する「#学校ムリでもここあるよ」キャンペーンが、子どもの居場所作りに取り組むNPOなどで作る団体によって全国で始まりました。(2021年8月19日から9月30日まで)NHK横浜放送局では、神奈川県内の学校以外の子どもたちの居場所などを取材して紹介します。
横浜市 チャコ村
横浜市都筑区の住宅と畑が広がる一角に、「チャコ村」はあります。チャコ村ができたのは4年前(2017年)。今月(8月)10日、チャコ村に取材に伺い、この施設を運営する菊島景子さんに話を聞きました。
チャコ村には、拠点となっている「チャコ小屋」のほかに、芝生の広場の「チャコ広場」、そして、野菜やハーブを育てている「チャコ農園」の3つの居場所があります。もともと、この場所は、菊島さんの祖母の小泉ヒサさんが農作業の合間に使っていた小屋でした。ヒサさんは、小屋の前を行き交う人たちに声をかけ、この小屋でお茶を楽しんでいたと言います。地域の人たちの憩いの場所として親しまれていましたが、2015年にヒサさんの体調が悪化したのをきっかけに閉鎖されました。
同じ頃、菊島さんは、次女が学校になじめないことに悩んでいました。菊島さん自身も、家にこもりがちになっていた時、地域の人たちが小屋の閉鎖を悲しんでいるということを知り、再び小屋を開くことを決めました。そして2017年、地域交流の場として「チャコ村」が誕生しました。チャコ村の「チャコ」は、ヒサさんのニックネームでした。チャコ村の誕生を、ヒサさんはとても喜んでいたそうです。(以下写真提供:菊島景子さん)
チャコ村は、誰でも気軽に手ぶらで来られることを大切にしたいと無料で開放されています。チャコ村ができてすぐにヒサさんは亡くなりましたが、いまもヒサさんが紡いだ人と人とのつながりはチャコ村に受け継がれています。取材中も、近所の女性が次々にやってきて、お裾分けの野菜を置いていったり、子どもたちと言葉を交わしたりしていました。
私は農作業をしたことがなかったのですが、近所の人たちが教えてくれました。「チャコさんに昔よくしてもらったから」と農作業を手伝ってくださる方もいます。
チャコ村によく来る利用者は、15人ほど。最も年齢が高い人は90代ですが、利用者の約6割は子どもだといいます。チャコ村を訪れる子どもたちは年齢や背景事情もさまざまですが、それぞれ自由に過ごしていると言います。
子どもたちは、小屋でおしゃべりをしたりゲームをしたり、好きなことをして過ごしています。テスト前だから勉強したい、と言い出した子がいて勉強会をすることもあります。自然と年上の子が、年下の子に勉強を教えたりもしています。
またチャコ村の中の「チャコ農園」では、地域の人たちと一緒に農作業ができます。雨の日は小屋の中で農作業をすることもあるそうです。農作物の収穫の時には、近所の人も手伝いに来てくれるといいます。そして、収穫した野菜を、チャコ小屋の軒先で販売することもあるそうです。
実は菊島さん自身も、このチャコ村に救われたといいます。次女が学校になじめなかったときに、ここで地域の人たちから声をかけてもらったことで気持ちが軽くなったと言います。
私も次女も、近所の方や他の子どもたちとのふれ合いで救われたと思います。いま悩んでいる子どもたちには、誰かとの出会いや、ちょっとした言葉のやり取りが、心を軽くしてくれることがあることを伝えたいです。チャコ村は大人も子供も、みんなが自由に過ごせる場所です。気軽に遊びに来てくださいね。
チャコ村〇△□~みんなでつくるみんなの居場所~(横浜市都筑区東山田町1681)
火・木・土曜日 AM9:00~PM2:00
電話:090-2446-4089
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