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コロナ禍で不登校の子ども達に どう寄り添い支えるか

「不登校新聞」編集長 石井志昂さんに聞く
  • 2022年04月08日
「不登校新聞」編集長の石井志昂さん

4月は入学シーズン、そして新学期の時期です。
一方で、深刻な問題となっているのが「不登校」です。
国の調査では、令和2年度の小中学生の不登校は19万人以上と、過去最多となっています。
その背景には、長引く「コロナ禍」があると指摘するのが、不登校の当事者や家族を支えるために発行されている専門紙、「不登校新聞」編集長の石井志昂さんです。
不登校の子ども達に、コロナ禍で何が起きているのか。
そして家族や周囲の大人はどう寄り添い支えるべきか、うかがいました。

(千葉局/喜多賢治)

「新学期」は不登校になりやすい時期

石井さんは、特に新学期を迎えた今の時期は、注意が必要な時期だといいます。
 

4月は、クラス替えや進学など、子ども達にとっては環境が変わり、緊張感の高まる時期です。
特に不登校の子どもは、親への申し訳なさなどから「新学期からは学校に行く」と周囲に約束したり、自分にも課している子が少なくないんです。
その結果、うまくいかなかった場合に、心に大きなダメージを負ってしまう恐れがあるんです。

「共感のメッセージ」を発信してきた不登校新聞

石井さんが編集長を務める「不登校新聞」は、月2回、4000部を発行しています。
紙面には、不登校経験者へのインタビューや、家族が体験談を語り合う「わが家の不登校」。
ほかにも「不登校でもプログラマーになれる?」など、さまざまな分野で活躍する人に、不登校の当事者目線で聞いた記事などが掲載されています。
自身も、14歳から20歳までの間、不登校だった石井さん。
大切にしているのは、「共感のメッセージ」を発信することだといいます。

不登校の子ども達や家族は、ものすごい自己否定感にさいなまれています。
不登校が社会問題になって、アドバイスする情報も氾濫していますが、多くは当事者に対して「あなたはだめだ」と責めるものだと感じています。
良い悪いではなく、「大変だよね、わかるよ」という実感を伴った共感のメッセージを、何より大切にしています。

長引くコロナ禍での子ども達の異変

かつてない数の子ども達が不登校となっている今、石井さんは「不登校になった理由が、自分でもわからない」という子ども達が増えていると感じています。
不登校とは無縁だったような子どもが、ある日突然、学校に行けなくなるといったケースが多いというのです。
石井さんは、コロナ禍が続く中での「学校や家庭環境の変化」が、背景にあると考えています。

休校や学級閉鎖、修学旅行などの学校行事が無くなってしまう。給食中も、黙って食べないといけない「黙食」ですし、休み時間にも声を出しづらい。
これまでとは違う学校生活を強いられるストレスは、大人が思っている以上の負担なんです。

コロナ禍では、家で過ごす時間が増えていますよね。その状況は、子ども達にとってどんな影響があるんでしょうか?

家にいる時間が増えることで落ち着けたという子もいるんですが、逆に家庭環境が変化したことで、深刻な影響を受けてしまう子もいます。
中には、お父さんがリモートワークを始めて家にいる時間が増えた結果、学校に行かないことを責められて居場所が無くなり、家出してしまったというケースもあります。

ウェブ版「不登校新聞」を開始

ウェブ版「不登校新聞」の記事

こうした状況に対応しようと、石井さん達が3月から始めたのが「ウェブ版の不登校新聞」です。
これまでにない形で不登校になるケースが増える中、子どもが家で「不登校新聞」と書かれた紙面を目にすることで、ショックを受けてしまうかもしれない。
助けとなる情報を求める家族が、スマートフォンやパソコンなどを使って、より安心してアクセスできる環境を作りたいというのが理由です。

親や周囲の大人はどう向き合う?

不登校の子どもに対して、保護者や周囲の大人は、どう接していくべきでしょうか?

ケースバイケースで考える必要がありますが、子ども達は「人と話す機会」を求めています。「私の話を聞いてほしい」という思いを抱えています。
周囲や地域の大人が果たせるのは「聞き役」の役割だと思います。
子ども達の声に、時間をとって耳を傾けてあげてください。
一方で、家族の場合は、逆に「1人の時間」を作ることが大事です。

1人の時間、ですか?

コロナ禍で、大人もストレスを抱えています。親自身が「心に余裕を持てる」ことを目指して、例えば趣味の時間を持つようにしてください。
そして、そうした余裕ができたら、ぜひお子さんと「雑談」をしてください。ゲームやインターネット動画の話など、ふだんは否定したくなるような話でも、聞いてあげてください。
それが一歩になると思います。

最後に、不登校の子ども達に向けたメッセージをうかがいました。

私が伝えたいのは、何より「あなたは大丈夫。不登校でも、大丈夫だよ」ということです。

石井さんは「一時に比べると、コロナ禍は落ち着いた印象を受けるかもしれないが、積み重なった心の傷が開くのは、これからという子もいるのではないか」といいます。
私たち大人には、子どものちょっとした変化に気づいたり、小さな声や訴えに耳を傾けたりする姿勢が、今こそ求められていると感じました。

  • 喜多賢治

    千葉局アナウンサー

    喜多賢治

    不登校について、東京ラジオセンター勤務時から継続して取材。

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