首都圏情報ネタドリ!

  • 2024年4月26日

スポットワークが人気 若者だけでなくシニアも急増 どんな仕事?メリットや注意点は

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“老後”という言葉は過去のものになりつつあります。
働く高齢者の割合は年々増加し、60代後半では2人に1人、70代前半でも3人に1人にのぼります。

そんな中、若者に人気の、“短時間・1日限り”のスポットワークを利用する高齢者が増えています。

スポットワークのメリットと注意点は?働く高齢者の現実、現役世代に必要な備えについてもお伝えします。(全2回の前編)

(首都圏情報ネタドリ!取材班)

働く高齢者のリアルに迫る「首都圏情報ネタドリ!」はNHKプラスで配信しています。
(配信期間4月26日(金)19:30~5月3日(金)19:57)↓

1000件のスポットワークを経験 一体なぜ?

神奈川県に住む61歳の田中正則さんは、4年前に始めたスポットワークにハマっています。この日働きに来たのは、神奈川県内の飲食店。

田中さん(左)

店員

51名の宴会がありまして。

田中さん

ええ!えらいこっちゃ。

 

仕事はスポットワークを仲介するアプリで見つけました。

スポットワークは、数時間単位で働く1回限りのアルバイト。企業や店舗は、人手がほしい時間帯に、ピンポイントで求人を出します。
働く人は、自分の空き時間にできる仕事をアプリ上で選び、雇用契約を結ぶ仕組みです。

この日は新年度を迎えたばかりの金曜日。

地元企業の宴会が入り人手がほしい店と、近場で数時間だけ働きたいという田中さんの希望がマッチ。

配膳や宴会後の片付け業務を4時間こなしました。

和膳照國
林知香さん

お客様が、ご年配の方も多いんですね。そういう方々に対しての対応やいたわりなどが、田中さんは接客にすごくにじみ出ていますね。

 

店員

年齢の割にすごくてきぱきとして動きがいいんですよ。またご縁があれば、お店の仕事にぜひ入ってほしいです。

2次元コードを読み込んで、仕事は終了。4時間分の報酬、4948円がすぐに支払われました。

田中さんは4年間で1000件ほど、スポットワークを経験してきました。

5年前、長年勤めた金融機関を退職した田中さん。老後を見越して貯金もし、悠々自適の生活を想像していました。

金融機関に勤めていたころの田中さん

しかし、その後すぐに新型コロナウイルスの感染が拡大し、家に籠もるだけの生活が続くことに。そこで、スポットワークを始めてみることにしました。

ハマった理由を聞くと、シニア世代が仕事に何を求めているのかが見えてきました。

一つめは、体調に合わせた仕事を選べること。求人でまず見るのは勤務時間です。

当初は6~8時間の求人に応募することもありましたが、次第に体力の衰えを感じ、現在は半日程度で終わる仕事を選んでいます。

体調が良いときは、清掃や倉庫での仕分け作業など運動がわりになる仕事も選べます。

もう一つが、社会とのかかわりを維持できること。

今は一人で暮らしている田中さん。仕事で人とかかわりを持てることが、楽しみだといいます。

田中さんにとって、スポットワークは生きがいになりつつあります。スポットワークの収入は年間130万円ほどですが、それ以上のものを得られていると感じています。

田中正則さん
「自分が知らなかったこういう世界があるんだとか、これがあるから世の中が回っているんだなというのを知ることができるチャンスに、すごくなっていますね。
言い方は悪いですけど、1回行ってその職場が合わなければ、次から申し込まなければいいわけですから。究極の働き方改革だと思っているんです」

高齢者の仕事には課題も…

こうしたスポットワークが人気を集める背景には、高齢者の仕事をめぐる、ある課題があるようです。

都内のハローワークの相談窓口を訪ねた、70代の男性。設計関係の仕事をしていましたが、妻の介護のため会社を辞め、週2日ほど働ける仕事を探しています。

仕事を探す70代男性(右)

70代男性

今まで仕事をやってきた中で、CADやエクセル関係ができますので、そういう仕事があるのかな、と。

職員

いま、60歳以上の方の場合は、比較的、清掃や警備員さんなどのお仕事が多くなってきています。

 

東京では、シニアが最も多く希望するのは事務系の仕事。しかし、シニア向けの求人では、事務系の仕事は他に比べ少ないのが現状です。

多いのは接客や警備、清掃の仕事で、ミスマッチともいえる状況が生じているのです。

ハローワーク墨田 鈴木玲子職業相談部長
「今まで希望の職種にとらわれていた方についても、もう少し丁寧に細かく一緒に棚卸しをして、少しずつマッチングしていく必要があると思っています」

業務を細かく切り出すことで、マッチングが進んだ会社もあります。

飛行機の客席で使うリネン類のクリーニングを行っている工場では、コロナ禍で激減していた仕事が2年ほど前から回復。

ところが、ハローワークや求人媒体でアルバイトを募集しても、十分な数は集まりませんでした。

そこでこの会社が活用したのがスポットワークです。

多くの工程の中から、機械への投入や仕分け作業など、未経験者でもできる業務をピックアップ。勤務時間も5時間、6時間、7時間と3つのパターンを設定し、募集しました。

すると、高齢者を含む幅広い年齢から、申し込みが入るようになったのです。

68歳の男性は簡単な作業が気に入り、今回が4回目だといいます。

68歳男性

丁寧にコツとか教えていただいているんで、やりやすい。

 

最近はリピーターが増えていることもあり、この工場ではスポットワークを入り口に、長期の契約の打診も進めていこうとしています。

東京航空クリーニング管理部 高橋健悟部長
「年配の方でも働きたいという意欲が強い方は、ぜひ長期で来ていただきたいなと考えております」

労働者側がスポットワークを利用する際には、気をつけなければならない点もあります。

社会保険労務士 篠原宏治さん
「雇用契約を結ぶスポットワークは労災の対象にはなりますが、健康保険や厚生年金などの社会保険には加入できないので、自分自身の貯えや生活環境を踏まえて活用してほしいと思います」

さらに取材を進めると、高齢者の仕事をめぐる厳しい現実も見えてきました。現役世代にできる備えも含め、後編の記事でお伝えします。

<後編>
「働きたいのに仕事がない」老後の二極化進む 職失い生活苦に陥る人も 現役世代にできる備えは

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