首都圏ネットワーク

  • 2024年5月23日

カスハラ防止条例 東京都の方針は?行政窓口 学校 議員 有権者 起こりうる場所や対象とは

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東京都は客からの迷惑行為などのカスタマーハラスメントを防ぐ全国初の条例の制定を目指しています。条例化に向けて都は、客のほかに公的サービスを提供する役所の窓口や学校などを利用する人などもカスハラを行う対象とする方針です。カスハラを行う対象や起こりうる場面など、条例化に向けた都の方針についてまとめました。

東京都 全国初のカスハラを防ぐ条例の制定を目指す

東京都は全国初のカスハラを防ぐ条例の制定を目指していて、これまでに▽カスハラを「就業者に対する暴言や正当な理由がない過度な要求などの不当な行為で就業環境を害するもの」などと定義づけるとともに、▽罰則は設けない考えを示しています。

役所の窓口を利用する人などもカスハラを行う対象

東京都は、5月22日、労働団体や経済団体などと都庁で会議を開き、全国初のカスハラを防ぐ条例の制定に向けた方針を示しました。

客のほかに役所の窓口を利用する人などもカスハラを行う対象とし、官民を問わず対策を求めるということです。会議ではこうした内容について了承され、都は、今回の方針をもとに条例案を取りまとめ、ことし秋の提出を目指すことにしています。

小池知事
「議論を踏まえてさまざまな現場のカスタマーハラスメントに効力を発揮する、独自の条例の検討をスピード感を持って進める」

窓口業務 “名前と顔を覚えた ネットにアップする”

都が方針を示したことについて、東京・品川区の担当者は「今後、取り組みを進める上で大きな指針のひとつになる」と期待を寄せています。

品川区によりますと、去年までに窓口業務でトラブルになった際、相手の区民に名札を見られて「名前と顔を覚えた。ネットにアップする」などと脅されるケースが複数あったということです。

不安に感じる職員がいたことから、区は対策として2024年1月から職員が業務中に着用する名札の表記をフルネームから名字のみとし、顔写真の掲載も取りやめました。

品川区 宮尾裕介人事課長
「これまで独自に対策を講じてきたが区だけでの取り組みは手探りな部分もある。都の条例は多くの事例や専門家の意見を参考に検討されたものだと思うので、区にとって今後の取り組みの参考となる大きな指針の1つになる」

カスハラが起こりうる場面とは

都がカスハラを行う対象が広げたことについて取材にあたっている川村記者の解説です。

首都圏ネットワーク 5月22日

Q. カスハラが起こりうる場面の想定は? 

都は、カスハラは客が優越的な立場だと思い込んで行うものだと捉えていて、同じような構図で起きるハラスメントも対象としました。
具体的にカスハラが起こりうる場面として、▼店員と客、▼イベント主催者と参加者のほかに▼公的サービスを提供する役所の窓口や学校などの担当者と、その利用者のやりとりなども挙げています。
また、国会議員や地方議員が行政の職員に過度な要求を行うケース、有権者である住民が「1票の力」を振りかざして議員に嫌がらせをするケースもあるとしています。

カスハラを行う対象を広げた狙い

Q. カスハラを行う対象を広げた狙いは?

官民を問わず対策を求めて、ハラスメントを撲滅するのが狙いです。今回、都が示したカスハラ防止の方針には、利用者側の責務として▼何人もカスハラを行ってはいけないこと、▼都が実施する施策に協力することを挙げています。
都は条例の制定にあたって、罰則は設けない方針ですが、これをきっかけに、私たちも利用者側として相手を尊重する姿勢が求められていると思います。

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