長生村議会で、議会事務局にハラスメントの相談を受ける窓口を設けることなどを盛り込んだ「長生村議会ハラスメント防止条例」が可決、成立しました。
前の議長が村の職員に暴力を振るった問題を受けて議論されてきた今回の条例案。
その詳細をお伝えします。
11月16日に開かれた長生村議会。ハラスメントの相談を受ける窓口を設けることなどを盛り込んだ、「長生村議会ハラスメント防止条例」の議案が提出されました。
条例案には、次のような内容が盛り込まれています。
長生村議会ハラスメント防止条例
▼議会事務局に、ハラスメントについての窓口を設けて相談にあたること
▼議員によるハラスメント行為が確認された場合、議長が指導や注意をしたり、議員の氏名を公表したりするなど必要な措置を講じること
▼議員はハラスメントがあると疑われる事態に遭遇したときには、行為をした議員に対して慎むよう指摘し、解決するよう努めるとともに、議長に報告すること
▼村職員によるハラスメントを確認したときには、村に対し、その職員への指導や助言、注意のほか、改善のために必要な措置を講じるよう求めること
▼議長は必要に応じて実態を把握するための調査を実施するとともに、議員に対し必要な研修などを年に1回実施すること
提案の理由について、関克也議員は「ハラスメントは、相手に被害を与える人権侵害であり、決してゆるされるものではない」と述べました。
そして「条例は村の議員と職員が互いに人格を尊重し、互いに信頼を深めることでハラスメントの防止に努め、信頼される議会の実現を目指すためのものだ」と説明しました。
また、今回の条例案には、村職員が議員にハラスメントを行ったときの対応も明記されています。その理由について関議員は「ハラスメントに関するアンケートのなかで、村職員から議員に対するハラスメントの情報も寄せられためだ」と説明しました。
そして、採決では議長を除く、議員13人の全会一致で可決され、成立しました。
長生村でハラスメント条例が成立されたきっかけは、ことし4月に起きた前議長による傷害事件でした。前議長が私的な歓送迎会から公用車で帰宅する途中、車を運転していた女性職員をたたいてけがをさせたとして罰金刑を受けました。役場には苦情や批判の電話などが相次ぎ、前議長は辞職勧告を受けて議員を辞職しました。
村議会がことし6月から7月にかけて、村の職員と議員を対象にハラスメントに関するアンケートを実施したところ、回答した103人の職員のうち、議員からハラスメントを受けたことがあると答えたのはおよそ4分の1にあたる26人にのぼりました。被害の内容については「威圧的・高圧的な発言」が最も多く28人、次いで「理不尽な要求」が20人、「大声での叱責、意に沿わない対応にどう喝」が18人となっていました。
こうしたことを受けて、議会はことし7月から議会改革特別委員会のなかで、議員によるハラスメント行為を防止する条例制定などを話し合ってきました。
本会議が開かれる前の16日の午前9時、条例案の内容を話し合うために開かれた議会改革特別委員会では、議員から「ハラスメント防止の対象について、議員から議員、議員から村職員、村職員から議員がすべて含まれることをしっかり明示すべきだ」といった意見や、「条例は全員一致で決める必要がある」などの意見が出されました。
委員会では、出された意見をもとに条例案の修正を行い、全員の賛成を確認しました。
条例の制定を受けて、関克也議員は「前議長の傷害事件があり、できるだけ早く防止条例を作りたいと思い進めてきた。ハラスメントに苦しめられた役場の職員もいるが、今回の条例で対応ができるようになると思う」と話していました。
また、小倉利一議長は「アンケート結果では、議員からのハラスメントが非常に多いという結果が出た。結果を受けて、議員それぞれに面接をし、注意喚起もした。今後は研修なども行いながら、村民からの負託に応えらえるよう、各議員に自覚してもらい、しっかりと取り組んでいきたい」と話していました。