能登半島地震では新潟県でも被害が相次いでいます。新潟県内でけがをした人は4日午後の段階で34人、被害が確認された住宅は500棟を超えました。このうち新潟市西区では4日午前8時までに液状化現象が50か所あまりで確認され、道路や建物などに大きな被害が出ています。新潟市内の液状化被害の状況に加え、現時点の復旧支援の情報についてまとめました。【更新 1月9日】
新潟市西区善久地区の一部では、1月1日の地震による液状化現象で地中から噴き出したとみられる土砂が道路や住宅の周辺を覆い、電柱が大きく傾く被害も確認できました。
地中から噴き出したとみられる土砂によってエアコンの室外機が半分ほど埋まっている場所もあり、住民たちは土砂をかき出す作業に追われていました。
新潟市によりますと今回の地震の影響で、新潟市西区では4日午前8時までに液状化現象が52か所で確認され道路や建物などに大きな被害が出ています。
こうしたなか新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志所長など研究者のグループは4日、大きな被害が出ている西区寺尾地区の住宅地など現場を訪れ、状況を調べました。
新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志所長
「被害が多かった場所はもともと液状化しやすい地盤だが、思っていた以上に被害が大きく、住宅の被害がかなりの数に及ぶことがわかった」
調査の結果、海岸から広がる砂丘が緩やかな斜面となり平地に続く地域で、複数の住宅が傾く被害などが確認されたということです。
卜部所長は、液状化現象で通常は地滑りが起きにくい緩やかな斜面でも複数の小さな地滑りが起き、住宅への被害を拡大させたと指摘しています。
卜部所長
「砂丘のすそ野にあたる部分で液状化現象が起きて、地層の上部の重さを支えきれなくなり、小さい地滑りが起きて家が傾く被害などが出たと考えられる。日本海側には、同じような条件の地域がほかにもあるため、対策を考える上でも今回の被害の実態を詳しく調べメカニズムを明らかにしたい」
※更新 1月9日※
新潟市ではたまった土砂や泥を撤去するための「土のう袋」を配っています。土のう袋を配っている場所は、中央区役所総務課、西区役所総務課、黒埼出張所、西出張所、中野小屋連絡所です。配る時間は平日の午前9時から午後5時まで、ただし西区役所、黒埼出張所、西出張所では6日から8日の3日間についても配るとしています。
新潟市は、土砂や泥を撤去する場合は側溝に流してしまうと下水管が詰まりやすくなってしまうとして、土のう袋に入れて回収するよう協力を呼びかけています。また、土のう袋は業者が順次回収するということで、通行の妨げにならない場所に置くよう呼びかけています。
新潟県内の生活情報はこちらからもご覧になれます。
https://www.nhk.or.jp/kishou-saigai/pref/list/niigata/
新潟市西区では、6日、ボランティアによる復旧作業が行われました。このうち、西区の善久地区では、雨が降る中、ボランティアが被害を受けた住宅の敷地にたまった土砂をスコップを使って取り除き、土のう袋にまとめていました。
地震から1週間の時点では、液状化による被害を受けた新潟市では住宅などの被害の全体像はわかっておらず、暮らしへの影響は長期化するとみられます。
行政は今後、生活再建に向けた対策を進めることになりますが液状化による被害の場合、復旧にはどういった方法を取るのかや、住民負担のあり方をどのようにするかなど解決すべき多くの課題があります。
※更新 1月9日※