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円安が家計にどう影響 円相場の推移は? 1ドル150円で負担どうなる

  • 2023年11月1日

東京外国為替市場は11月1日、円売りドル買いの動きが強まり、円相場は1ドル=151円台前半で取り引きされました。民間のシンクタンクは、円相場が1ドル=150円で推移した場合今年度の家計の負担額は昨年度と比べて平均で10万2000円あまり増えると試算しています。試算の詳しい内容と、ことしに入っての円相場の推移をまとめました。

日銀が金融政策の運用をさらに柔軟化 円安加速

10月に入って円相場は1ドル=150円前後で推移していましたが、10月31日、日銀が金融政策の運用をさらに柔軟化すると決めたことをきっかけに海外の投資家を中心とした円売りが膨らみ円安が加速しました。

1ドル=150円 家計への影響を試算

「みずほリサーチ&テクノロジーズ」は、総務省の家計調査などをもとに円相場が1ドル=150円で推移した場合の、家計への負担について試算しました。

それによりますと、政府の物価高対策を含めても、今年度、2人以上の世帯の家計の負担額は昨年度と比べて平均で10万2148円、増えるということです。

内訳は、「食料」は9万3369円、家電製品などの日用品や外食や宿泊が含まれる、「その他」は4万1429円増えるということです。
その一方で、電気代や都市ガス代などの「エネルギー」は、政府の負担軽減策などで3万2650円減るとしています。

年収が低い世帯 負担額増加の割合が増える

また、負担額の増加を年収別の平均でみると、300万円未満の世帯は6万5940円、500万円以上600万円未満の世帯は9万5642円、700万以上から800万円未満の世帯は11万120円、1000万円以上の世帯は16万294円、それぞれ増えるということです。

年収が上がるにつれ家計の負担額は多くなりますが、年収が低い世帯ほど収入に占める、負担額増加の割合は増えるということです。

試算を行った酒井才介主席エコノミスト
「円安などを要因とした食料品や日用品の値上がりだけでなくサービス価格の上昇も負担額の増加につながっている。中東情勢の緊迫化で今後、原油価格が上昇するリスクもあり家計の負担は今回の試算よりも増える可能性がある」

ことしは1ドル129円台でスタートも…

去年10月に1ドル=151円台後半まで値下がりした円相場は、ことしは1ドル=129円台でスタートしました。ただ、アメリカでインフレが長期化し、金融引き締めが強まるとの見方から、金融緩和を続ける日本との金利差が拡大、じりじりと円安が進みました。

日銀は7月下旬、長期金利の一段の上昇を容認。無理に金利を抑え込まないことで為替市場の過度な変動を抑えるねらいもありましたが、その後も円安は進みます。

この結果、円相場は、10月3日、およそ1年ぶりに1ドル=150円台まで値下がりし、その後も1ドル=150円前後での取り引きが続いていました。

松野官房長官 “あらゆる手段で適切な対応を”

松野官房長官は午前の記者会見で「為替相場はファンダメンタルズ=経済の基礎的条件を反映して安定的に推移することが重要で、過度な変動は望ましくない。為替相場の水準や為替介入について具体的な見解を申し上げることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることからコメントは控えるが、行き過ぎた動きには、あらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる考えだ」と述べました。

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