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春闘2024要求は? 賃上げ5%以上 定期昇給分含む 連合が方針固める

  • 2023年10月18日

1995年以来となったことしの春闘の上回る賃上げ水準を求める方針です。連合は来年の春闘でベースアップ相当分として3%以上、定期昇給分を含めて5%以上の賃上げを要求する方針を決めました。ことしの春闘では5%程度としていましたが今回は5%以上と表現を強めた形です。賃上げ要求の動きをまとめました。

春闘に向けてどう動く

春闘とは労働組合が賃金の引き上げや労働環境の改善などについて経営側と話し合う交渉を春の時期に足並みをそろえて行う動きです。
この際、中央組織である連合が今の時期に要求方針や目標を掲げ、各労働組合は連合や産別の指導や調整を受けながら経営側との交渉を進め、春に一斉に回答を引き出します。

連合の基本構想 “5%以上”の賃上げ要求

連合は組合員およそ700万人の労働組合の中央組織です。連合は19日、中央執行委員会で来年の春闘についての基本構想を決定し、芳野会長が記者会見で内容を明らかにしました。

それによりますと、来年の春闘は経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へのステージ転換をはかる正念場で、その最大のカギは持続的な賃上げの実現だとしています。

このため基本給を引き上げるベースアップ相当分として3%以上、年齢や勤務年数などに応じた定期昇給分を含めて5%以上の賃上げを要求することを決めました。

春闘の要求方針 推移と経済状況

〇経済停滞とデフレ 2002年以降
1990年代前半までの経済成長が続いた時期には連合は高い水準の賃上げ要求を掲げていましたが、バブルが崩壊し経済停滞とデフレが長期化する中で、2002年以降は具体的な要求水準を掲げない時期が続きました。

〇デフレ脱却へ 2014年以降
その後、デフレ脱却に向けて賃上げの機運が高まった2014年になって定期昇給を2%確保したうえで、ベースアップを1%以上、求めるとする方針を掲げました。

〇物価上昇
それ以降、連合は毎年、4%の賃上げ水準を掲げ、物価上昇が続いた去年は1995年と同じ水準の5%程度の要求方針を掲げ、ことしの春闘に臨みました。

「5%程度」を「5%以上」に強めた形

ことしの春闘では定期昇給分を含めて5%程度としていましたが、来年は5%以上と表現を強めた形で、1995年以来、およそ30年ぶりの水準となったことしの春闘を上回る高い水準を求めることになります。

連合 芳野会長
「賃上げは1年で終わるのではなく持続的に行うことが重要で、物価高が続き、実質賃金が上がっていないことなども踏まえて方針を決めた。ただ、来年の賃上げは難しいという職場もある。価格転嫁が少しでも前進すると中小企業が賃上げしやすい環境になってくるので、積極的な取り組みを行い、賃上げの機運の醸成に努めていきたい」

“中小企業にとっては達成が難しい”

一方、日本商工会議所の小林会頭は19日、連合の目標は理解できるとしながらも、中小企業にとっては達成が難しいという認識を示しました。

日本商工会議所の小林会頭
「連合が目標として掲げることは否定しないし理解できるが、中小企業は業績が改善していないのに雇用確保などのためにやむなく賃金を上げているのが大半で、なかなか難しいのが実感だ」

その上で、中小企業の賃上げには価格の適正化が必要だとして、取引先の大手企業への価格転嫁が進むことや、値上げに対する消費者の理解が得られることが求められるとしています。

“来年も高い賃上げ率を維持できるかが重要”

 大和総研 神田慶司シニアエコノミスト
「ことしの春闘では高い賃上げ率を実現したが1年で終わってしまうとせっかく回り始めた賃金と物価の循環的な上昇がしぼんでしまう可能性があり来年も高い賃上げ率を維持できるかどうかは非常に重要になる。足元でインフレ率が3%を超え、そう簡単に終わらない状況では生活を維持するという意味でもベースアップ相当分で3%ぐらいの水準を設定したことはある程度理解できる。ことしの春闘では中小企業も大幅なベアをしたとはいえ大企業に比べると少し低い数字になっていて、連合は『程度』ではなくて『以上』という言葉を使ってより賃上げ促し、中小企業も含めてベアをより加速させたい狙いがあると思う」

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