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  • 2023年3月16日

春闘2023 賃上げ満額回答相次ぐ大手 中小企業や非正規雇用どうなる

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「賃上げの機運が高まっている」「歴史的だ」 
記録的な物価上昇が進むなか、ことしの春闘の集中回答日の3月15日、大手企業では満額を含む近年にない高い水準の回答が相次ぎました。この勢いは、中小企業や非正規雇用で働く人に波及するのか、そして、長年の賃金の停滞から脱却し、持続的な賃上げにつながるのでしょうか。大手各社の回答状況や今後の焦点についてまとめました。

ことしの春闘 労使が賃上げの必要性を共有

ことしの春闘は記録的な物価上昇が進み働く人からも生活の厳しさを訴える声が高まる中、どこまでの賃上げが実現するかが焦点となっています。

ことしは、連合がベースアップ相当分と定期昇給分をあわせて5%程度の賃上げを求めるなど、労働組合側が近年にない水準の要求を相次いで出しました。一方、経団連が賃上げへの積極的な対応を呼びかけるなど経営側も賃上げに応じる姿勢を示しています

労使双方が早い段階から賃上げの必要性を共有し、集中回答日の前から組合の要求に応じる形で早期に決着する動きが出ていて、賃上げ率はおよそ30年ぶりに3%を超えるという民間の予測も出されています。

大手 満額含む近年にない高い水準の回答

ことしの春闘の集中回答日の3月15日、自動車や電機などの製造業を中心におよそ200万人の労働者が加盟する東京・中央区の「金属労協」の本部では、大手企業の回答の金額が次々と報告されました。自動車や電機などの大手では満額を含む近年にない高い水準の回答が相次ぎました

〇大手自動車メーカー 
トヨタ自動車が最も高いケースで月額9370円の賃上げやボーナスの6.7か月分の要求に対し満額回答で妥結しました。 
日産自動車は、今の賃金体系が導入された2005年以降、最も高い水準の月額1万2000円の賃上げなどで満額回答しました。 
ホンダは、30年ぶりの高い水準となるベースアップ相当分と定期昇給分をあわせて月額1万9000円の賃上げなどで満額回答しました。

〇大手電機メーカー 
日立製作所、パナソニックホールディングス、三菱電機、富士通が、組合の要求どおり月額7000円で満額回答しました。 
東芝とNECは、ベースアップ相当分として月額5000円に加え、福利厚生で使えるポイント2000円分を付与すると回答しました。

〇大手機械メーカー 
「三菱重工業」と「川崎重工業」、それに「IHI」が、ベースアップに相当する月額1万4000円の賃上げをそれぞれ満額回答しました。各社とも満額での回答は1974年以来、49年ぶりです。

牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングスは、正社員の賃金について、ベースアップを含めた月額平均で9.5%引き上げることで妥結しました。

中小企業 厳しい経営環境で賃上げは

一方、国内の従業員の7割が働いている中小企業にも賃上げが広がるかが大きな焦点となっています。 
中小企業は長引くコロナ禍で打撃を受けたりエネルギーや原材料の価格が高騰したりして厳しい経営環境に直面しています。

一部では収益力を高め、従業員の賃金を引き上げようという動きも出ていますが、簡単には賃上げに踏み切れないと頭を悩ませる経営者が多いのも現状で、「東京商工リサーチ」の調査でも中小企業の80%が賃上げを行うものの、ベースアップの実施予定はそのおよそ半数で、大手に比べて低いという結果も出ています。

非正規雇用の賃上げ 前向きな動きも

もう1つの焦点が労働者全体の4割近くを占めるパートやアルバイトなど非正規雇用で働く人たちの賃上げです。

ことしは、流通大手のイオンがグループで働く非正規社員およそ40万人を対象に時給を平均でおよそ7%引き上げる方針を示したほか、サッポロビールが非正規社員について月額一律9000円のベースアップを決めるなど前向きな動きが相次いでいます。

また、物価の上昇をきっかけに、非正規雇用の人たちが、企業に対し合同で賃上げを求める「非正規春闘」という新たな動きも出ています。今回は、個人で加入できる全国16の労働組合にさまざまな業界のおよそ300人が参加し、勤務先の企業36社に対して、一律10%の賃上げを要求しています。

賃上げは広がるのか 今後の焦点に

異例の賃上げムードの中で迎えたことしの春闘の集中回答日は、大手を中心に多くの企業で満額回答を含む高い水準の賃上げの回答が相次ぎました。今後、中小企業や非正規雇用で働く人に広がるのか、そして、長年の賃金の停滞から脱却し持続的な賃上げにつながるのかが焦点となります。 
中小企業にも賃上げが広がるかどうかは日本全体の賃金水準の向上や国内の消費拡大にとっても重要となるだけに大手の賃上げの勢いが波及するかが注目されます。

みずほリサーチ&テクノロジーズ 中信達彦エコノミスト 
個人消費が活性化するためには、来年、再来年も持続的な賃上げを行っていくことが重要だ。賃金が上がれば、個人消費につながり、経済成長にもつながっていく。 
消費者や取引先に納得して値上げを受け入れてもらえる付加価値の高い財やサービスを作り出していくことが求められる。そのためには、労働者のスキルを高める人材投資を行い、イノベーションを生み出していくことが重要だ。

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