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江戸川区 メタバース(仮想空間)活用した区役所の開設へ 狙いは?

  • 2023年9月25日

インターネット上の仮想空間、「メタバース」。その活用が多方面で広がっています。

東京・江戸川区はインターネット上の仮想空間に区役所を開設することになり、実証実験が始まりました。

この取り組みについて、身体に障害のある人から期待が寄せられています。
江戸川区役所の実証実験に参加した人は「画面の向こうに人がいることを感じることができ、電話で話すより近くに感じるというかリアルな感じがありました」と話しています。

インターネット上の仮想空間に区役所を開設?

東京・江戸川区はインターネット上の仮想空間に区役所を開設することになり、9月20日から実証実験が始まりました。

実証実験は障害者福祉課を対象に始まり、区内の身体障害者団体などのメンバーおよそ10人が参加しました。

メタバース上の区役所ではやりとりの方法として「音声」か「チャット」のいずれかを希望でき、自分の分身=アバターを選ぶと実物そっくりの区役所の前に登場しました。

参加者が、車いすを修理したいがどうしたらよいかとか、障害者手帳を取得した際のサービスなどを尋ねると、アバターとなった担当職員が必要な書類や手続きの流れなどを説明していました。

手足に障害のある女性は画面の操作の難しさなどを課題としてあげたうえで「向こうに人がいるのを感じられるのでリアルでした。区役所までは電車とバスを乗り継がないといけないので不便さを感じていましたが便利になると期待している」と話していました。

区は、実証実験で課題を洗い出した上で順次メタバース上での対応を開始し、5年後(R10)にはすべての課で対応したいとしています。

区役所の「メタバース」化には、書類原本のやりとりを法律で定めるケースもあり課題もあるということですが、区は可能な範囲で電子申請を進め、メタバース上で完結できる手続きを増やしたいとしています。

江戸川区によりますと、役所の窓口業務の多くをメタバース上で対応する取り組みは全国でもこれまでのところ例がないということです。

江戸川区DX推進課の(デジタルトランスフォーメーション)渡邊良光課長
「この実証実験で得たノウハウや知見を子育てや教育、健康などほかの分野での相談業務でも活用していきたい」

期待の声

インターネットの仮想空間=メタバース上の区役所の取り組みは、身体障害のある人から期待が寄せられています。

江戸川区役所の実証実験に参加した工藤登志子さんは、手足に障害があり、電動車いすを使用しています。

自宅から区役所までは電車とバスを乗り継いで1時間ほどかかるだけでなく急に区役所への用事ができても介助者の手配が間に合わず、不便さを感じていたといいます。

メタバース上の区役所の総合案内の前に立った工藤さんは、担当者に「ご用件は何でしょうか」と尋ねられると「車いすの修理をしたいがどうしたらよいか」と伝えました。

担当の窓口に案内されると出迎えた職員のアバターから、必要な書類や手続きの流れについて説明を受けていました。

チャットを利用すれば、やりとりが文字情報やデータで残るため、必要な情報をパソコンなどに保存し、あとで見返すことも可能になります。

実証実験を終えた工藤さんは、メタバース上で移動する際のキーボードなどを使った画面の操作が難しかったことや、車いすを利用するアバターがいたらいいなどと区の担当者に伝えていました。

工藤さん
「画面の向こうに人がいることを感じることができ、電話で話すより近くに感じるというか、リアルな感じがありました。平日仕事をしている人も昼休憩など、限られた時間の中で区役所に行くのは難しいと思うので、とても便利ではないかと感じます」

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