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そごう・西武 ストで西武池袋本店は 売却どうなる 経緯や方針は

  • 2023年8月31日

そごう・西武の労働組合は、31日、ストライキを実施し、西武池袋本店の全館で営業を取りやめています。売却をめぐり雇用などへの懸念から反発しているためですが、親会社のセブン&アイ・ホールディングスは、31日午前、取締役会を開き、アメリカの投資ファンドへの売却について最終的に決議しました。ストライキや売却をめぐる動きをまとめました。

西武池袋本店 31日全館で営業取りやめ

そごう・西武の売却をめぐって、雇用などへの懸念から反発している労働組合は、31日、ストライキを実施し、西武池袋本店の全館で営業を取りやめています。ストライキについて、街の人からは驚きとともに理解を示す声も聞かれました。

20代男性

ストライキは教科書でしか知らないので、とても驚きました。西武池袋本店は子どもの頃から親しんだ場所で、百貨店として存続してほしいですが、無くなってしまうはもっと嫌なので家電量販店が入っても仕方ないかなと思います。

60代女性

昔は鉄道会社などでよくストライキをやっていましたがとても久しぶりに見た気がします。今回は1日だけなので大きな影響はないと思います。西武池袋本店に行けばなんでもそろうイメージで若い頃から通ってきましたが、最近は少し勢いがなくなっているのかなと感じてはいました。

50代女性

ストライキについては好意的に受け止めています。巡業員の方がとても心配で、雇用が守られるようにしてほしいです。

70代男性

働いている人たちがこういう形で意思表示するのは大事なことではないかと思います。ストライキ自体とても久しぶりで一石を投じたと感じます。

ストライキ実施 店舗では

西武池袋本店では、通常であれば営業開始となる午前10時以降も入り口のシャッターは下ろされたままでした。
会社によりますと組合員ではない社員はきょうも出勤しているということで、従業員用の入り口に足早に向かう人の姿も見られました。また、搬入口では、警備員がきょうは、すべての納品が停止され車両は入ることができないことを案内していました。

セブン&アイ・ホールディングス(31日)
「お客様や地域の皆様、お取引先様、従業員をはじめとするステークホルダーの皆様にご心配とご迷惑をおかけすることとなり、大変申し訳ございません。そごう・西武は今後とも労働組合との間で雇用維持や事業継続に関する団体交渉と協議を継続するとともに、当社は両者の協議について適切な範囲で支援や協力をしてまいります」

ストライキ 売却めぐる雇用などへの懸念

業績の不振が続くそごう・西武をめぐっては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが2022年11月、アメリカの投資ファンドに売却することを決めました。

売却にあたっては、家電量販大手のヨドバシホールディングスがファンドのパートナーとして加わり、旗艦店の西武池袋本店をはじめ、首都圏にある店舗の取得などに3000億円規模を投資する方針です。

ヨドバシ側の出店計画に対しては、労働組合や、豊島区などからデパートの顔となる1階部分の売り場構成の変更などをめぐって懸念の声があがりました。また、一部の株主からは売却をさせないよう求める訴えが裁判所に起こされました。

経営側は、当初、売却をことし2月に完了させる予定でしたが、関係者との調整が難航し、売却の時期を2度にわたって延期する事態となっていました。

協議が平行線のまま売却か 異例の事態

セブン&アイはきょう午前、取締役会を開き、売却に向けた最終的な決議を行ったことを発表しました。売却額は2200億円で、売却の完了はあす・9月1日としています。
また、売却にあたってはそごう・西武への貸付金のうち、およそ916億円を債権放棄することを決めました。

そごう・西武の売却は、組合との協議が平行線をたどったままストライキの翌日に完了する異例の事態となっています。

そごう・西武(親会社の決議受けて)
「今後は新たな株主のもとで百貨店事業を継続し、中長期的な企業価値向上をめざすとともに、お客様とお取引先様、地域の皆様のご期待に沿うべく務めてまいる所存です」

雇用の維持を訴える労働組合は

そごう・西武の労働組合は31日、西武池袋本店の前におよそ30人の組合員が集まり、従業員の雇用の維持や事業継続の確証が得られておらず、丁寧な交渉が必要だなどと訴えていました。また、街頭でビラを配ってストライキの実施に理解を求めていました。

また労働組合は、主催者の発表で組合員などおよそ300人が参加して西武池袋本店周辺をデモ行進し、「西武池袋本店を守ろう」などと訴えました。

そごう・西武の労働組合 寺岡泰博中央執行委員長
「(売却の最終的な決議)それ自体に驚きはないが、われわれとしては時期尚早だという気持ちがある。意見の相違があって溝が埋まらなかったのは残念だ。(売却後の対応について)情報の開示は一定程度進んできたと思うが、どこまで正確でそのとおりになるかは不透明だ。新しいオーナーに変わる段階なので内容の正確性や計画がどこまで精緻なのかを確認したい。また、形を変えながら百貨店事業を続けていけるかや雇用の継続についても確認していきたい」

投資ファンドや異業種企業が担う事業立て直しへ

西武池袋本店は、いまから80年以上前の1940年に、「武蔵野デパート」として開業しました。池袋駅西口の東武百貨店などとともに、“池袋の顔” “街の玄関口”と言われ、駅から少し離れたサンシャインシティとあわせ地域のにぎわいを創出する拠点となってきました。

売却後のそごう・西武は、アメリカの投資ファンドと、パートナーとして加わる家電量販大手ヨドバシホールディングスのもとで経営の効率化と収益の改善を進めることになります。

厳しい事業環境が長年続いているデパート業界は、大手どうしが経営統合する業界再編が相次いで行われてきましたが、投資ファンドや異業種の企業が担う事業の立て直しは、よりいっそうの経営の効率化を求めることも予想されます。

売却先「フォートレス・インベストメント・グループ」は

セブン&アイが31日の取締役会でそごう・西武の売却を最終的に決議したことを受けて、売却先のアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」はコメントを発表しました。

この中で、「過去1年間にわたってセブン&アイと強固なパートナーシップを築いてきました。セブン&アイがそごう・西武の従業員の懸念への対応策を含む支援を継続していただくことになったことをうれしく思います」としています。

その上で、日本法人の山下明男代表は「そごう・西武という象徴的な企業の買収を発表できることをよろこんでおります。フォートレスはそごう・西武の事業継続を実現することに尽力し、最大限の雇用維持に向け、セブン&アイとともにそごう・西武の経営陣を支援してまいります」とコメントしています。

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