1リットルあたり187.9円。
東京都内のレギュラーガソリンの小売価格は、記録の比較できる2004年以降で、最も高い価格となりました。
また、東京以外の関東6県の群馬県、神奈川県、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県でも値上がりが続いています。
最高値を更新した理由や、今後の見通しをまとめています。
国の委託を受けてガソリン価格を調査している石油情報センターによりますと、都内のレギュラーガソリンの28日時点の平均の小売価格は187.9円で先週より2.4円上がり、記録の比較できる2004年以降で、最も高い価格となりました。
これまで最も高かったのは、15年前の2008年8月4日の186円でこれを1.9円上回りました。値上がりは10週連続です。
東京以外の関東の6県では、値段が高い順に群馬県が188.3円、神奈川県が187.7円、栃木県が186.1円、茨城県が183.6円、埼玉県が183円、千葉県が182.1円となっています。
また、28日時点の全国平均は、1リットルあたり先週から1.9円値上がりし、185.6円でした。これは、15週連続の値上がりで、現在の方法で調査を行っている1990年以降で、最高値を更新しました。
これまでの最高値は、2008年8月につけた185.1円で、およそ15年ぶりの更新となります。
今後の見通しについて石油情報センターは、次のように話しています。
石油情報センター
「いまの値上がりは、円安に加え、国からの補助金の縮小の影響が大きく、今後、補助金がどうなるかが注目される」
レギュラーガソリンの全国平均の小売価格が過去最高になったことには、主に3つの要因があります。
◆要因 1つ目◆
ガソリンなどの燃料価格の上昇を抑えるために政府が石油元売り各社に支給している補助金の縮小です。
補助額は原油価格の動向にあわせながら基準とする価格を上回った場合には、去年1月から3月にかけて1リットルあたり5円、3月から4月にかけて25円、4月から12月は35円と補助の上限を拡大してきました。
しかし、原油価格の高騰が落ち着きを見せたことからことし1月からは補助の上限を毎月2円ずつ引き下げ、5月には25円まで縮小させたのに加え、6月以降は、基準価格を上回る分が25円以下なら100%の補助率を2週間ごとに10%ずつ引き下げています。
◆要因 2つ目◆
原油価格が再び上昇傾向にあることです。
ロシアのウクライナ侵攻を背景に記録的な水準に高騰した原油価格は、2022年6月以降、下落傾向にあったため、国際的な原油価格の指標となるWTIの先物価格は、ことしに入ってから1バレル・60ドル台まで値下がりすることもありました。
しかし、産油国のサウジアラビアが7月から自主的な減産に踏み切った影響でふたたび上昇傾向に転じ、8月の先物価格は80ドル前後まで値上がりしています。
◆要因 3つ目◆
円安です。
ガソリン価格の上昇を抑えるために石油元売り会社に補助金を出す対策が始まった去年1月末の時点では、1ドル=114円台だったのが、足もとでは1ドル=146円台まで値下がりしています。円安が原油の輸入価格を押し上げる形で、ガソリン価格の上昇に拍車をかけています。
9月末までとなっている燃料価格の負担軽減策をめぐり、岸田総理大臣は、ガソリンの小売価格が1リットルあたり175円程度に抑えられるよう補助金を拡充する方針を明らかにしました。
岸田総理大臣は30日、自民党の萩生田政務調査会長や公明党の高木政務調査会長らと総理大臣官邸で相次いで会談し、9月末までとなっている燃料価格の負担軽減策について提言を受けました。
このあと、岸田総理大臣は記者団に対し、与党の提言を踏まえ、全国平均で1リットルあたり185円台となっているレギュラーガソリンの小売価格が175円程度に抑えられるよう石油元売り各社への補助金を拡充する方針を明らかにしました。
新たな措置は9月7日に発動した上で、買い控えなどの流通の混乱を避けるために段階的に拡充し、ことし10月中には目標の175円程度の水準を実現したい考えで、年内は継続するとしています。
また、冬の暖房に不可欠な灯油のほか、農業や漁業に広く使われる重油なども同様に支援を継続していくとしています。
岸田総理大臣は「まずは今回の措置を年末まで講じるとともに、国際的なエネルギー価格の動向などを注視しながら必要な対応を機動的に考えていきたい」と述べました。