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子どもの感染症 流行続く~夏休み中の注意点と早めの救急外来受診の事例とは~

  • 2023年7月24日

子どもの感染症が流行する中、東京都内の小児科のクリニックでは発熱などの症状を訴えて受診する子どもが相次いでいます。

これからお盆の時期などは休診になる医療機関もある中で、子どもが夜間や休日に急に熱を出したら救急を受診するかどうか迷うかもしれません。

夏休み中の注意点やどんな症状があらわれたら救急外来を早めに受診すべきなのか、まとめました。

ヘルパンギーナ 過去10年 最多水準

夏に子どもがかかりやすい「ヘルパンギーナ」の患者数が過去10年で最多の水準となるなど、子どもの間で感染症の流行が続いています。

東京・渋谷区にある小児科の「かずえキッズクリニック」でも6月はじめごろから発熱やせきなどの症状を訴えて受診する子どもが相次いでいて、「ヘルパンギーナ」や「RSウイルス」と診断されるケースが目立ちます。

このほか、新型コロナや熱が続くだけの夏かぜのような症状の子どももいて、すべてのウイルスを厳密に調べられるわけではない中で、診断が難しいケースも少なくないということです。

20日、受診した2歳の男の子も、先々週から発熱を繰り返しているということですが、詳しい原因はわからず、引き続き経過を観察することになりました。

かずえキッズクリニック 川上一恵 院長
「発熱症状が出る感染症は多いですが、食べ物や水分がとれていればそこまで心配はありません。解熱剤を使って穏やかに過ごせるようであれば医療のひっ迫を防ぐためにもあわてて救急に駆け込まず、自宅で様子を見た上で、かかりつけ医をゆっくり受診してほしい」

その上で、夏休み中の注意点について次のように話しています。

「外出や宿泊の機会が増えればそれだけ感染症のリスクは高まります。特に新型コロナは高齢者にとっては今でも深刻な疾患の一つです。祖父母を訪ねる前には、数日前から人混みを避けたり、早寝して体調を管理し、体調が悪ければ無理しておでかけしないということが大事です。引き続き手洗いは徹底してください。混雑した電車や屋内施設など、換気が悪い場所では、一時的なマスク着用も有効です」

早めに救急外来を受診してほしい事例とは?

夏休みに入って、特にお盆の時期などは休診になる医療機関もある中で、子どもが夜間や休日に急に熱を出したら救急を受診するかどうか迷うかもしれません。

東京都医師会によりますと、早めに救急外来を受診してほしい事例として、▼生後3か月未満の赤ちゃんの高熱(38℃以上)▼顔色が悪く、ぐったりしている▼激しく泣きあやしても泣き止まない、ぐずっている▼眠ってばかりで呼びかけてもすぐ眠る▼水分を受け付けない、おしっこが半日くらい出ない▼嘔吐や下痢を繰り返し、ぐったりしているといったケースを挙げています。

一方で、発熱があっても、▽食欲がある▽水分がとれている▽機嫌が良い▽元気▽眠れる▽おしっこの回数はいつもと同じといったケースでは、慌てて救急受診をする必要はないとして、家庭で様子を見て、かかりつけ医の通常の診療時間に受診するよう呼びかけています。

東京都医師会理事「かずえキッズクリニック」川上一恵 院長
「子どもを心配する親の気持ちはよくわかるが、少しの発熱で皆が救急要請してしまうと、本当に重症の人を診られなくなってしまう。明らかにおかしいと思う状態は遠慮なく救急車を呼んでもらっていいが、まだ待てそうだと思う場合は自宅で経過を観察するなどご協力をお願いしたい」

薬の供給について…

この夏は救急搬送に加えて、薬の供給についての懸念があります。

医薬品の供給をめぐっては2021年のジェネリック=後発医薬品のメーカーの不祥事をきっかけに、医療機関や薬局で必要な医薬品が入手困難となっている状況が続いています。

日本製薬団体連合会が厚生労働省の委託を受けて行っている調査では、ことし6月末時点で製造販売業者が回答した1万7431品目のうち、出荷量を調整する「限定出荷」や、「供給停止」が行われたのは22.3%にあたる3882品目でした。

厚生労働省は医薬品の供給状況について「こどもの感染症の流行でせき止めやたんを出しやすくする薬などの需要も増加しているため、一部の医薬品で品薄感が増しているのではないか。供給が安定するよう製薬会社に増産を要請していくとともに、夏休み中の感染症への対策を呼びかけていく」としています。

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