有害性が指摘されている化学物質の「PFAS」の東京都内全域を対象にした都の地下水の調査で、新たに世田谷区と武蔵村山市の2つの自治体で、国の暫定の目標値を上回る値が検出されていたことがわかりました。
「PFAS」は、有機フッ素化合物の総称で、このうち、「PFOS」と「PFOA」はアメリカの研究などで有害性が指摘され、国は水質の暫定的な目標値を設けています。
都の環境局は、地下水にどの程度含まれるか調査を進めていて、昨年度の都内全域を対象にした調査で新たに世田谷区と武蔵村山市の2つの自治体で、国の暫定の目標値を上回る値が検出されました。
これまでの調査では、23区では渋谷区や練馬区、文京区、大田区、多摩地域では、立川市や調布市、府中市などあわせて15の自治体で国の暫定の目標値を上回る値が検出されていました。
都の環境局は昨年度の調査結果を、都のホームページで公表していて、今年度も調査を続け、その結果を踏まえて今後の対応を検討する考えです。
昨年度の都の調査では、都内50自治体の62地点が対象となりました。
このうち、PFOSとPFOAの合計で国の暫定の目標値の50ナノグラムを超える値が検出されたのは6地点です。
府中市 260ナノグラム
国立市 190ナノグラム
立川市 170ナノグラム
世田谷区 74ナノグラム
武蔵村山市 65ナノグラム
武蔵野市 65ナノグラム
また、令和3年度に行われた調査では、今回とは別の65地点が対象で、5地点で、国の暫定の目標値を超える値が検出されています。
狛江市 410ナノグラム
渋谷区 330ナノグラム
青梅市 140ナノグラム
国立市 93ナノグラム
文京区 70ナノグラム
このほか、過去に国や都が都内で行った地下水の水質調査で比較的高い値が検出された場所について、都は、継続監視の対象として毎年、調査を行っています。
昨年度は、15の自治体の24地点が対象で目標を超える値を検出したのはいずれも多いところでは次の通りです。
渋谷区 460ナノグラム
練馬区 77ナノグラム
文京区 75ナノグラム
大田区 55ナノグラム
立川市 620ナノグラム
調布市 330ナノグラム
府中市 260ナノグラム
狛江市 210ナノグラム
国立市 130ナノグラム
国分寺市 120ナノグラム
日野市 100ナノグラム
西東京市 65ナノグラム
さらに詳しい調査結果は、都環境局のホームページから見ることができます。
4年前の調査から国の暫定の目標値を超える値を検出した練馬区では、不安を感じる声があがっています。
50年近く練馬区に住んでいる野口みわさん(56)は、「PFASなどは多摩地域の話で関係ないと思っていたので練馬区で検出されたと報道で知ったときはびっくりしました」と話していました。
自宅近くには、地下水を利用した「防災井戸」があるということです。
野口さん
「この地域で地下水と言えば、防災拠点の飲み水というイメージがあります。災害などで断水したときに水をくむことができますが、PFASについてよくわかっていないので不安になります。国や都には、詳しく調査してほしい」