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  • 2023年6月29日

「誹謗中傷対策検討会」設置 ユーチューバーへのひぼう中傷で業界連携 対策へ

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若い世代を中心に人気を集めるユーチューバー。深刻化しているのが殺害予告などの「ひぼう中傷」です。業界団体の調査では、ユーチューバーなどの4人に1人が「受けたことがある」と回答しています。

多くのユーチューバーが所属する大手事務所3社などが初めて合同で検討会を設置し、連携してひぼう中傷対策を進めることになりました。

“被害の実情知ってほしい” 

記者(左側)の取材に応じる佐々木あさひさん

ひぼう中傷の被害の実情を知ってほしいと、1人のユーチューバーがNHKの取材に応じました。

2008年からユーチューバーとして活動を始めた佐々木あさひさんです。 
メーキャップの方法や同世代の女性に役立つ情報を発信し、長年にわたって支持を集めてきました。 
その一方で、人格を否定するようなコメントが寄せられたり、ひぼう中傷によって外を出歩くのが怖いと感じたりするような経験もしてきたと言います。

佐々木さん 
「私は顔をさらしていますが、相手の顔は見えない。その時点で全くフェアじゃないと思います。発信者と視聴者を比べると圧倒的に視聴者の数が多く、集団心理が働くと、ひぼう中傷はエスカレートする傾向があると思います」

これまで、ひぼう中傷を受けても、恐怖心や応援してくれる人を悲しませたくないという思いから、そのことに触れるのは避けてきたということですが、「少しでも被害がなくなれば」と、今回、取材に応じたということです。

「同じように頑張ってきた友人たちがひぼう中傷に耐えられず、この世界から姿を消すのを見てきました。『ネットに顔を出しているのだから言われて当たり前だ』と言われることがありますが、それは違うと思っています。ひぼう中傷は私だけでなく家族や周りの人も嫌な思いをしてしまう。私がこうして伝えることで中傷行為を踏みとどまってもらうきっかけになれば」

“4人に1人 ひぼう中傷を受けた”

ユーチューバーの中には、事務所に所属している人もいて、会社側が対策を進めているところもありますが、エスカレートするひぼう中傷に危機感を強めています。

ユーチューバーが所属する事務所「UUUM」などが加盟する業界団体「クリエイターエコノミー協会」などが去年行った調査では、ユーチューバーなどのクリエーター1500人余りのうち、4人に1人が「ひぼう中傷を受けたことがある」と回答しました。

UUUMでは、3年前に専門の対策チームを立ち上げましたが、これまでに相談や通報が1000件以上寄せられ、ネットの掲示板に名指しで殺害を予告するスレッドを立てられたケースや自宅近くで待ち伏せされたケースなど、合わせて6件で発信者が特定されるなどして警察によって検挙されたということです。

また、ユーチューバー自身が誰かを傷つけてしまわないようコンプライアンス研修などを行っていますが、その一方で、ユーチューバーに対する攻撃的な投稿は後を絶たないとしています。 
 

UUUM 金子宗之 執行役員 
「クリエーターは外に向けて発信しているので、ある程度の批判や意見が寄せられるのは当然だと思うが、度を過ぎてひぼう中傷になるのは別問題。精神的にまいって活動できなくなる人も出ていて、深刻な状況は続いている」

“被害を未然に防ぎたい”

その、ひぼう中傷への対策で、多くのユーチューバーが所属する大手事務所3社などが初めて合同で検討会を設置して連携することになりました。

検討会を設置したのは、UUUMなど大手事務所3社と、動画投稿サイト「ユーチューブ」を運営するIT大手・グーグルなどです。

28日、都内で開かれた記者会見で、UUUMの鎌田和樹会長は、次のように述べました。

鎌田会長 
「ひぼう中傷は今まで企業が個別に対策し、事が起きてから対処してきたが、検討会を設置することで被害を未然に防ぎ、その数を減らしていくことを目指したい」

専門家 “個人を守る仕組みが必要”

また、検討会のメンバーで、SNSのひぼう中傷に詳しい国際大学の山口真一准教授は次のように指摘します。

国際大学 山口真一 准教授 
「ひぼう中傷は人の命を奪うこともあり世界では芸能人やインフルエンサーが亡くなる事例が生じている。ネット上では極端な意見が目立つ傾向があり、ことばも攻撃的になりやすく、個人を守る仕組みが必要だ」

「1億総クリエーター時代」とも言われるように、個人で動画を制作しネット上で継続的に発信するユーチューバーは増えていますが、業界団体の調査では、殺害予告やストーカー行為など身体に危険が及びかねないケースもあるということです。

このため、大手事務所3社などは初めて合同で「誹謗中傷対策検討会」を設置し、各社が抱える課題を共有するとともに、起きた事例に対処するだけでなく、ユーザーへの働きかけも含め未然防止のための対策を進めることにしています。

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