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1円スマホなくなるか 端末の値引き上限で転売は? 新ルール検討

  • 2023年6月21日

スマートフォンは、通信契約とセットで端末販売する場合、値引きは税抜きで2万円までとする規制を設けていますが、端末の販売を明記した形で規制が設けられておらず販売店では端末の上限のない値引きが行われ、「1円スマホ」の販売が行われていました。こうしたなか総務省の有識者会議は、規制の強化に向けた報告書案をとりまとめました。その内容や背景について詳しくまとめました。

スマホ端末の販売にも値引き上限

総務省の有識者会議は、6月20日の会合で規制の強化に向けた報告書案をとりまとめました。

このなかでは、通信契約と端末のセット販売以外の販売方法も規制の対象とし、端末自体の販売についても値引きの上限を設けるとしています。
そのうえで、端末の価格が上昇傾向にあることなどから、値引きの上限をこれまでの2万円から4万円に引き上げるとしています。

新しい規制では、セット販売の値引きの上限の2万円とは別に、端末の販売として上限のない値引きができなくなります。

総務省は、パブリックコメントなどを経て年内に省令を改正する方針です。

1円スマホの実態 新規契約や他社から乗り換えで

数万円から10万円を超える価格の端末を1円で販売する「1円スマホ」は、新規の回線契約や他社から乗り換える契約を結ぶことを条件に「セット販売」しているのが実態です。

セット販売の2万円の上限を守りながら、これとは別に規制の対象とはなっていない端末の販売として上限のない値引きが行われ、いまの規制の網をくぐる形で広がってきました。

スマホの販売方法 値引き分の負担は

例えば10万円のスマートフォンの場合、セット販売として上限の2万円を値引きし、さらに、端末の販売として7万9999円を値引きし、販売価格を1円としています。
こうした販売方法はいまの規制では法律違反とはなりません。

値引きした分の負担については、大手携帯電話会社が奨励金などの形で販売店に支払うことで、事実上の負担をしているという指摘があります。
ただ、長期で回線を契約している人たちが間接的に値引き分の負担しているという批判も多く、大手携帯電話会社の間からも、1円スマホの規制の強化を求める声があがっていました。

規制の背景に1円スマホの高値転売

携帯電話の事情に詳しい調査会社のMM総研の横田英明副所長は、規制の背景には1円スマホが高値で転売されてきたことがあるとしています。

携帯電話会社はこうした転売を防ぐため1人1台しか買えないようにするなどルールを設けていますが、他社に乗り換えることで別の端末を購入することができる状況になっているということです。

MM総研 横田英明副所長
「転売する人は、1円の端末を購入し中古の販売店や海外などで売却して、その利ざやを稼いでいる実態がある。1円で端末を販売するには、割引の原資が必要だが、1円端末と関わりがない長期で通信契約をしている一般ユーザーが負担することになってしまう」

“すべてに規制をかけるのは難しく抜け穴もある”

横田さんは、今回の規制強化については、販売する際に端末の下取りの価格を不当に高く設定した場合、規制の範囲内で1円スマホの販売ができる可能性があるとしています。

横田副所長
「ルールが制定されたら、しばらくの間はなくなるとは思う。ただ、すべてに規制をかけるのは難しく、抜け穴もあるため、今後、販売台数が落ちていくと、1円端末が再び市場に出回る可能性は、否定はできない」

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