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東京都議会・大田区選挙区の補欠選挙 候補者の主張は?【詳しく】

  • 2023年5月26日

5月26日に告示され、6月4日に投開票が行われる東京都議会議員補欠選挙(大田区選挙区)。
4月に行われた大田区長選挙に、都議会議員だった2人が立候補したことによって欠員となった2議席をめぐって争われ、6人が立候補しました。
それぞれの訴えは?詳しくお伝えします。
(首都圏局/都庁クラブ)

東京都議補選 候補者は?

立候補したのは届け出順に次の通りです。
・奥本有里 (都民・新) 元大田区議会議員 46歳 推薦:国民都連
・鈴木章浩 (自民・元) 元都議会議員 60歳
・細田純代 (維新・新) 精密機器製造会社社長  52歳
・森愛   (無・元) 元都議会議員 46歳
・溝口晃一 (無・新) カメラマン 54歳
・原忠信 (諸派・新) 政治団体代表 71歳  

なぜ補欠選挙?

今回の都議会・大田区選挙区での補欠選挙は、4月に行われた統一地方選挙の大田区長選挙に、都議会議員だった2人が立候補したことで、大田区選挙区で2人の欠員が出たため行われます。

大田区選挙区の定員は7人ですが、公職選挙法の規定で、定員が複数の選挙区では、2人以上の欠員が出た際には、50日以内に補欠選挙を行うことが定められています。
このため都の選挙管理委員会は、5月26日告示、6月4日投票で、即日開票することを決め、欠員が出た2議席をめぐって選挙が行われます。

都議補選の注目点は?

選挙結果で、今の東京でどの政党に勢いがあるのか、一定程度分かりそうです。
大田区は、人口が70万人あまりと、23区内で3番目の多さとなっています。
このため、都市部に多いとされる無党派層の投票行動などを分析する上で、1つのバロメーターになります。

また、各政党がどのように選挙戦に臨むかも注目です。国政では、先日のG7広島サミットを受け、与野党から、衆議院の早期解散についての言及が相次いでいます。
こうした中で、一部の政党は今回の補欠選挙を「衆議院選挙に向けた前哨戦だ」として、力を入れる考えを示しているほか、国政選挙とは切り離して、都議会での議席の上積みを狙うとする政党もあります。
選挙戦では国会議員や小池知事なども応援に入る見通しで、活発な論戦が交わされるものとみられます。

これまでの記者会見の発言などから候補者の訴えをまとめました。

実現したい政策などは?


奥本有里氏(都民・新)
都議会議員選挙に再び挑戦する。小池知事からは「奥本さんみたいな人に都民ファーストの会に来てほしい」と声をかけられ、大変ありがたく受け止めた。日本が遅れてきた女性の政治参加に、小池知事が切り開いてくれた道を、次の世代となる私たちがしっかりバトンをつないでいきたい。今回の選挙にあたっての私の姿勢は「ブレない」だ。私はシングルマザーで、1人で子育てをしてきたが、働いたお金は全て子どもの教育費に消えていった。女性たちが安心して子どもを産み育てることができるよう、すべての子どもへの月5000円の給付や18歳までの医療費の無料化などの施策を通じ、子育て負担の実質無料化を目指す。また自転車の盗難など治安の悪さを解決するため、防犯カメラを増設して犯罪から守っていく。無電柱化を進めるなどして、災害に強く美しい街をつくりたい。


鈴木章浩氏(自民・元)
都民目線で、都の政策を見直していくことが重要だ。コロナ禍から日常を取り戻しつつある中で、社会が大きく変わってきた。主役は都民であり、多様な意見を受け止めながら、身近な都政になるように取り組んでいきたい。重点政策の1つは少子化対策だ。子育て世帯や結婚しようとしている人たちへの住宅確保の対策が進んでいない。事業者と連携し、マンションの空き室を活用して、住宅を確保できる支援が必要だ。また、子どもが夢と希望を持てる東京にしたい。2万人を超える不登校の子どもへの取り組みが本当に重要で、学習支援などを区市町村と連携して取り組んで行く。もう1つは、安心安全なまちづくりだ。全国的にも地震が多発している中で、首都直下地震などがいつ起きてもおかしくないと言われている。緊張感を持ちながら、東日本大震災の教訓を生かして取り組みを進める。


細田純代氏(維新・新)
大田区で生まれ育ち、町工場を経営している。父から会社を継ぎ、3代目だ。政治という新たな世界にチャレンジすることに全く何の迷いもない。今までの人生で、経験がなくても、志さえあれば、物事は動かしていけると確信を持っているからだ。大田区は、町工場がどんどん潰れていっており、最盛期に比べて従業者数も製品出荷額も4分の1まで落ち込んでいる。日本の中小企業が縮小していくと、日本の製造業の力が落ちていくことにつながっていく。大田区は、日本有数のものづくりの街であり、空の玄関口・羽田空港を有するすばらしい街だ。大田区から東京、日本を元気にするため、私が原動力になりたい。また、都の子育て支援策は評価しているが、まだ不十分で、所得によって教育格差が生まれないように塾代バウチャーを導入することなどを目指したい。


森 愛氏(無・元)  
先般の大田区長選挙に全てをかけて臨んだが、当選には届かなかった。今後の活動をどうするか、支援者の意見ももらいながら悩み抜き、大田区をより良くするために、今できる最善の道は再び都議会議員になり、大田区民の声を届けることだと決意した。英語のスピーキングテストに反対する。特定の教育産業と連携して、試験を実施し、生徒のビッグデータを独占させ、都立高校入試に使うことは不公平で不公正だ。そして何より、技能ではコミュニケーション能力を養うことが大切であるにもかかわらず、採点することで、話す意欲を萎縮させるからだ。また明治神宮外苑再開発は見直すべきだ。先人たちがつくり、育んできた都民の公共の財産が失われる。東京都の構想に明治神宮などの地権者を巻き込んでいったものが、今回の再開発であり、都が責任を持って見直すべきだ。


溝口晃一氏(無・新)
今回の補欠選挙は、本来、行われるべきものではなかった。欠員を埋めるための選挙だが、都議会議員が任期をしっかり全うすれば税金のむだづかいで選挙をするようなことはなかったと思っている。税金のむだづかいをなくし、引きこもり対策などへの福祉政策に力を入れたい。また都民税や自動車税など生活に直結する減税を行っていく。


原忠信氏(諸派・新)
海外から来る人にも差別がなく、同じ地球の人間として仲よく暮らせる多様性のある東京を目指す。男女平等で差別のない社会のほか、空気や水に汚染のないまちづくりを目指す。新型コロナも含めた感染症に対して、ワクチンの無料接種を行っていく。また、所得を倍増させる昇給ができるような企業作りを目指す。

新空港線 通称「蒲蒲線(かまかません)」についての立場

蒲蒲線とは

大田区の蒲田周辺にある2か所の駅を結ぶ新しい鉄道路線の通称です。
JRと東急の「蒲田駅」と、およそ800メートル離れた「京急蒲田駅」を結ぶ計画で、東京メトロ副都心線などとの相互直通運転を行うことで、渋谷や新宿、それに埼玉県を含めた首都圏北西部の羽田空港へのアクセスが向上すると期待されています。

大田区によりますと、事業費は1360億円で、3分の1を地方が負担することになっており、このうち7割を大田区が、3割を東京都が負担することで合意しているということです。

 


奥本有里氏(都民・新)
大田区のまちづくりと、新空港線をセットで進めていくという考え方で、広域ネットワークをしっかりつなぐ必要がある。よく比較される羽田空港アクセス線は海側を南北に走るラインで、蒲蒲線は東西に走るラインなのでもっと広域に連携できるようになる。


鈴木章浩氏(自民・元)
区長選挙で、見直しとか反対とかいう意見があったが、なぜ今反対と言い出すのか。予算のむだづかいという指摘もあるが、交付金がある。何度も見直しをしている中で、都としては決着済みなので、粛々と応援させてもらうスタンスだ。


細田純代氏(維新・新)
いろいろな意見があると思うが、蒲蒲線が整備されることについて、まちづくり全体という観点から捉えると、非常にプラスの効果はあると感じている。地域の意見を聴いて、対話をしながら進めていけばいいのではないか。


森 愛氏(無・元)  
羽田空港アクセス線と貨物を使った計画が率先して事業化されると、区が求めていた広域アクセスのメリットが本当にあるのかどうか、事業の採算性を都としても見直していかなければならない。区と都の費用負担の割合なども見直すべきだ。


溝口晃一氏(無・新)
蒲蒲線ができても、JR蒲田駅と京急蒲田駅を通過されたのでは、大田区の活性化にはつながらない。国際都市の玄関口にふさわしいまちづくりの推進をバックアップする。


原忠信氏(諸派・新)
経済の発展には交通の発展が不可欠だ。国際線の利用も増えて、海外からの来日客も増え蒲田にも訪れる人が増える。大田区蒲田が国際都市になるきっかけになる。

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