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解熱剤 “子どもへの使用避けるべきものも” 医師会が注意喚起 千葉

  • 2023年12月28日

全国的にインフルエンザが警報レベル前後の水準で流行し、新型コロナウイルスの患者数も4週連続の増加となるなど、本格的な冬を迎え、さまざまな感染症の拡大が続いています。

医療機関で解熱剤を処方されるケースも多いですが、千葉市医師会では「子どもへの使用を避けるべき解熱剤がある」と警告しています。「保護者の方にも、子どもの発熱には基本的に『アセトアミノフェン』を使用すると覚えてほしい」ということです。詳しく見ていきます。

(千葉放送局記者・金子ひとみ)

子どもの解熱剤は種類に注意

千葉市医師会は11月、会員の医師向けに「小児への解熱剤処方に関する留意点について」という文書を出しました。国などが子どもへの使用を控えるべきとしている解熱剤が処方された事例が複数確認されたことを受けての対応でした。

文書では、子どもの発熱には基本的に「アセトアミノフェン」を使用し、インフルエンザ脳症との関連が指摘されている「メフェナム酸」や「ジクロフェナクナトリウム」などは「使用を避けるべき」としています。

「メフェナム酸」の例としては「ポンタール」、「ジクロフェナクナトリウム」の例としては「ボルタレン坐剤」「アナバン坐剤」「ドセル錠」をあげています。また、「サリチル酸系医薬品」として「アスピリン系」「サリチル酸系」をあげています。

千葉市医師会 公衆衛生担当理事 玉井和人 医師

「使わないほうがよい解熱剤の処方が散見されたので、再確認という意味で注意喚起を行いました。これらの薬に関する国の注意喚起は20年以上前のもので、小児科を専門としない医師などの中には内容をしっかりと把握していない人がいる可能性があることを心配したのです」

11月、千葉県保険医協会が県内の医療機関に行った調査でも、これらの解熱剤を子どもに処方した事例が複数あったということです。

「基本的にアセトアミノフェンを」

千葉市医師会の子どもへの解熱剤処方の考え方は以下のとおりです。

●基本的には、小児の発熱にはアセトアミノフェンを使用する

●アセトアミノフェンが使用できない子ども(過敏症や副作用のため)には、クーリング(冷やす)などの対策を講じる

●生後6か月以下の乳児には、原則として解熱剤は処方しない(低体温発現のため)

千葉市医師会 公衆衛生担当理事 玉井和人 医師

「私自身はもう何十年もの間、解熱剤としては、アセトアミノフェン以外は処方していません。今回、千葉市薬剤師会にも、懸念される解熱剤が処方された際には、薬局側から医療機関側に本当にこれを使っていいのかを疑義として問い合わせてほしいとお願いしました」

お薬手帳での記録も大事

Q.保護者が気をつけるべきことはありますか?

玉井医師

保護者の方にも、子どもに使っていい解熱剤は、アセトアミノフェンだけだと思っておいてほしいです。アセトアミノフェン以外は熱に対しては使わないくらいのつもりでいらっしゃった方がいいと思います。それ以外の薬が出ていないか、注意して確認してほしいです。

解熱剤は、熱を下げるというよりは、ぐったりしたりつらくなったりするのを和らげるのが目的です。使ったから早く治るとか重くなるのを防げるとかいうものではないので、高熱が出た際に、慌てて、熱を下げなくてはならないと考える必要はありません。

Q.感染症にかからないようにするための呼びかけをお願いします。

新型コロナウイルスが感染拡大したときからさんざん言われてきたことですが、手洗いや消毒の徹底ですね。あと、せきがひどいときなどは、マスクをしていただくことが大事かなと思います。

千葉県内の感染症最新情報は

小児科の診察

12月27日、千葉県は、12月24日までの1週間に県内の医療機関から報告された感染症の状況を発表しました。

インフルエンザは、1医療機関あたりの感染者数は25.30人で、前の週の30.86人から減少しましたが、依然として高い水準です。市原保健所管内が43.27人、君津保健所管内が38.77人、海匝保健所管内が34.00人などとなっています。

▼子どもを中心に高熱や結膜炎などの症状が出る咽頭結膜熱の1医療機関あたりの感染者数は3.79人で、前の週の3.65人から増え、国が定める警報の基準、3人を超える状態が11月の中旬以降、続いています。船橋市保健所管内が8.1人、印旛保健所管内が7.4人、柏市保健所管内が5.7人などとなっています。

新型コロナウイルスは、1医療機関あたりの感染者数は4.73人で、前の週の4.18人から増え、6週連続で増加しています。香取保健所管内が9.00人、印旛保健所管内が6.92人、市原保健所管内が6.18人などとなっています。

感染性胃腸炎の1医療機関あたりの感染者数は7.72人で、前の週の7.66人から増え、4週連続で増加しています。船橋市保健所管内が11.09人、香取保健所管内が10.67人、松戸保健所管内が9.92人などとなっています。

▼主に子どもが感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、1医療機関あたりの感染者数は6.11人で、前の週の8.30人から減少しましたが、依然として高い水準です。海匝保健所管内が22.0人、船橋市保健所管内が14.0人、長生保健所管内が10.8人などとなっています。

  • 金子ひとみ

    千葉放送局 記者

    金子ひとみ

    処方される薬の種類にもっと敏感になろうと思いました。

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