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閑散から一変 旅行者急増で水際の検疫は 大型連休の成田空港

  • 2022年05月09日

3年ぶりとなった行動制限のない大型連休。空の玄関口、成田空港は海外で過ごそうという旅行者たちが久しぶりに戻ってきました。一方、懸念されていたのが水際対策を担う空港検疫。入国者の急増に対応できるのか。この連休を振り返ります。

(千葉放送局成田支局記者 佐々木風人)

空港は閑散から一変

4月28日。コロナで閑散としていた成田空港は一変。航空会社のカウンターは、連休を海外で過ごそうと大きな荷物を持った人たちで長い列ができていました。
ことしの大型連休は新型コロナの感染状況が改善し、アメリカやイギリスなど106か国への渡航制限のレベルが引き下げられたことを受けて、旅行会社などがハワイへのツアーをおよそ2年ぶりに再開。
成田空港会社では、4月28日から5月8日までの大型連休中、成田空港から出入国する人はおよそ10万人、去年の同じ時期に比べて4倍になるという見通しを示していました。

大好きなハワイに行きます。久しぶりすぎて、わくわくしています。満喫したいです。

コロナでずっと海外に行けなかったので、感染状況をみて、そろそろいいかとタイ旅行を決めました。ホテルのプールでのんびり過ごしたいです。

水際対策の空港検疫 懸念は

一方、懸念されたのが水際対策となる空港での検疫。全員を対象にした抗原検査などこれまでの対策が維持されていて、帰国が集中する連休後半には混雑が予想されました。
検疫では、全ての入国者を対象に▼出発前の検査で陰性が確認されていることや▼ワクチン接種を済ませていることなどを確認するほか、▼抗原検査などを行っています。
検疫所は混雑を防ぐため、4月中旬から待機スペースを1点5倍にまで拡張。しかし、連休前でも、ほぼ満席になる時間があり、所要時間は平均で3時間、場合によっては7時間かかっていました。
連休中はこれ以上の混雑が予想され、待機スペースに入りきれない場合は、機体の中でとどまることを求めなければならないとしていました。

拡張された待機スペース
成田空港検疫所
井手一彦 検疫第一課長

空港内で検疫に使えるスペースは限界に来ている。旅行者が増えた場合、さらに混雑することが想定される

連休後半、検疫の混雑は

検疫はスムーズに流れるのか。
帰国は金曜日の6日から始まりました。検疫所はこの6日と7日、それに8日の3日間に帰国者が集中すると予想。具体的には6日の入国者は6200人と連休前に比べて1点2倍。7日は6000人と1点2倍、8日は7400人と1点4倍となるという見通しでした。

この3日間、到着ロビーは大きな荷物を持った家族連れなどで賑わいました。

検疫を待つ人たち 6日撮影

検疫はこのうち、7日と8日に一時、混雑が見られましたが、大きなトラブルはありませんでした。到着ロビーで検疫を終えた旅行者に話を聞くと、専用のアプリを使ったという声が多く聞かれました。
このアプリでは検疫で必要な▼質問票や誓約書の記入▼出発前の陰性証明書や▼ワクチン接種証明書をスマートフォンを使って事前に登録することができます。
検疫所は、ハワイ便など利用者が多い路線を中心にアプリの活用を呼びかけていて、功を奏したと見ています。

検疫の”時短”専用アプリ
井手課長

連休前はどうなることかと心配していましたが、大きなトラブルもなく、ほっと胸をなで下ろしています。多くの方がアプリを活用していただき、感謝しています。

政府は緩和検討 今後の水際対策は

政府は6月以降、訪日外国人観光客の受け入れを段階的に再開する検討を始めています。また。1日あたり1万人としている現在の入国者数の上限の扱いを巡っても議論を始めています。水際対策を維持するのか、検疫のあり方も問われることになりそうです。

取材後記

 私が成田支局に着任したのは、去年11月。その後、オミクロン株の出現などもあり、ずっと閑散とした日本の玄関口を見てきましたが、この大型連休、空港を行き来する人で景色は一変しました。連休中に成田空港を出入国したというおよそ10万人はコロナ前と比べるとまだ10分の1程度ですが、「やっぱり旅はいいですね」と、大きな荷物を抱えて到着ロビーから出てきた人の声を聞くと、久しぶりに明るい気持ちになりました。
一方、入国者の大幅な増加で、水際対策を担う検疫は普段に比べて混雑し、「なんでこんなに時間がかかるんだ」と職員をどなりつける人もいたということです。政府は6月以降、日本を訪れる外国人観光客の受け入れを段階的に再開することを検討していますが、入国する全員に対して抗原検査を求めるいまの水準を保つのは現実的なのか、今後の検疫のあり方にも注目し、取材を続けていきたいと思います。

  • 佐々木風人

    千葉放送局成田支局

    佐々木風人

    新聞社を経て、2018年入局。成田空港内のテナントも最近はオープンする動きが出始めています。少しずつでも、明るくなっていく日本の玄関口のいまを発信したいです。

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