アクションスポーツの世界最高峰の大会「Xゲームズ」が日本で初めて開催されました。開催地になったのは千葉市。東京オリンピックで注目されたスケートボードなどの「アクションスポーツ」が地元の活性化につながるのではないかと期待が寄せられています。新しいスポーツイベントの誘致に力を入れている千葉市やスケートボード競技でオリンピックを目指している地元の中学生を取材しました。
(千葉放送局記者 渡辺佑捺)
日本初開催となるアクションスポーツの世界最高峰の大会「Xゲームズ」が今月22日から3日間、千葉市の「ZOZOマリンスタジアム」で開催されました。
「Xゲームズ」は、スケートボードや自転車のBMXなどのアクションスポーツの世界最高峰の大会で、1995年にアメリカで始まりました。これまで世界12か国で開催され、600万人の観客を動員しています。競技だけでなく音楽やアートの要素も含まれるイベントとなっていて、その様子は190か国以上で放送されます。今回の千葉大会では、スケートボード、BMX、モトクロスのフリースタイル「MotoX」の3競技、10種目が行われました。
大会初日、さっそく来場したファンたちはXゲームズの開催について喜びを語りました。
「日本で開催すると知って、すぐにチケットを取りました。オリンピックでスケートボードが盛り上がって日本に来てくれたと思うので、うれしいです」
「千葉で初開催されると聞いて、すごいなと思いました。オリンピックに出場したレベルの高い選手が見られるので楽しみです」
今大会では、東京オリンピックに出場して金メダルを獲得した堀米雄斗選手と四十住さくら選手がそれぞれ優勝し、その種目で日本選手が表彰台を独占するなど4万人の観客を熱狂させました。
なぜXゲームズが千葉市にやってきたのでしょうか。実は千葉市はこれまでも新しいスポーツイベントの誘致に力を入れてきました。
2019年まで、小型機の操縦技術を競う「エアレース」の世界選手権を日本で初めて開催しました。エアレースは高さ25メートルの空気で膨らませた障害物の間を小型機で通過してタイムを競うもので、幕張海浜公園近くの会場にコースが設置され、多くの観客を集めました。
こうした実績もあり、今回Xゲームズの組織委員会からの申し出を受けて千葉市での開催に至ったのです。市は、多くの人を呼び込み地元経済の活性化につなげるため、アクションスポーツを活用したいと考えています。
「東京オリンピックが開催されてから、若者にも人気のスポーツが盛り上がりを見せていると思います。千葉市としてもこうした盛り上がりをまちの起爆剤にして、活性化につなげていきたいと思っています。コロナで落ち込んだ経済の回復にもつながってくれることを期待しています」
スケートボード競技に取り組む市原市の中学3年の古賀魁気さん(14)は、兄の影響で小学1年のときに競技を始めました。スケートボード男子ストリートの全国大会に何度も出場し、入賞経験もあります。得意な技は、バックサイド360。体と板を両方とも360度回す技です。
ふだんは、県内や都内の専用施設で練習を重ねていますが、スケートボードを禁止する公園が多く、気軽に練習できる場所が少ないと感じています。そのため、Xゲームズが日本で開催されることで、スケートボードを練習できる場所が各地に整備されることを期待しています。
「スケートボードをやっていないひとにも興味を持ってもらい、スケートボードの練習場が増えて、どこでも滑れるような環境になってほしいです。みんなで楽しく滑ったり新しい技を覚えたりすることがいちばんいいことです」。
こうしたなか、今月、千葉市中央区の「蘇我スポーツ公園」にスケートボードやBMXなどの専用施設が新たにオープンしました。オープニングイベントには四十住さくら選手も参加し、子どもたちにスケートボードを教える教室が開かれました。
「小さい子どもたちがスケートボードを始めてくれてうれしくなりました。このような施設が身近にあるのはとてもよいことだと思うので、楽しんでもらいたいです」
古賀さんは、ことし3月に開かれたオリンピック選手も出場した大会で、6位に入賞しました。今後のさらなる活躍が期待されます。世界最高峰の舞台を刺激に新しい施設などで技術を磨き、将来の目標に向かって練習を続けていきたいと話しました。
「目標はプロスケーターで、将来はオリンピック選手になりたいです。たとえプロになれなかったとしても、誰が見てもかっこいいと思われるスケーターになりたいです」
わたしも開催初日のXゲームズを取材しました。オリンピックで活躍した世界中の選手が集まって、トップレベルの技を披露し、より高い順位を目指して果敢に難易度の高い技に挑戦する姿に目を奪われました。大会終了後、Xゲームズジャパン組織委員会は来年もXゲームズの日本での開催を目指しており、「千葉市と一緒に検討を進めていきたい」と話していました。日本国内のアクションスポーツの熱が、千葉市を中心に高まっていくことへの期待が膨らみました。