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通学路の安全 スクールバスの課題を探る 千葉・白井市の試み

  • 2022年05月02日

幼稚園や保育園はあるのに小学校になるとほとんどなくなるスクールバス。
バスに乗れたら安全なのにーーー。そんな不安を抱いた保護者も多いのではないでしょうか。
この春、スクールバスを始めた千葉県の公立小学校を取材すると、導入に向けた課題が見えてきました。

(千葉放送局記者 荻原芽生)

今春から導入 千葉県白井市

千葉県白井市では、2022年4月から市内2つの小学校でスクールバスの運行を始めました。
このうち、取材に訪れたのは白井第二小学校。利用するのは全校児童の7割にあたる63人。3台のバスに分乗し、およそ20分で学校に到着します。

白井第二小学校でスクールバスから降りる児童
小学2年生

スクールバスは家の前まで来てくれるので、安全だと思います。

姉妹が通う母親

ほっとしています。以前は大きな道路を渡らなければならなかったので、安心です。

通学路の安全 長年の課題も対策は進まず

白井第二小学校では、通学路の安全対策は地域の長年の課題でした。
学校周辺には工業団地があるため、子どもたちは、トラックなど多くの大型車両が行き交う国道や幹線道路を通らなければ、登校できませんでした。
途中の道路もガードレールや信号機が少なく、学校は県や警察に対策を要望してきましたが、思うように進みませんでした。

ガードレールがなく、狭い路側帯
佐々木健教頭

信号機やガードレールを設置してほしいという要望はこれまでにもたくさんしてきました。しかし、信号と信号の間が短いなど構造上の問題があったようでなかなか実現しませんでした。

小学5年生

通学路の細い道路を友達と歩いていて、ひかれそうになったことがあります。こわかったです。

児童5人が死傷した去年6月、八街市の交通事故

こうした中、同じ千葉県の八街市で児童5人が死傷する事故が起き、市はスクールバスの導入に踏み切ったのです。
 

白井市学校政策課
鳥海孝一郎主査

この痛ましい事故をきっかけに、地域の課題をとにかく解決していこうと意識が変わりました。市として、できることはないかということで、スクールバスの導入を決めました。

見えてきた課題① 停車スペース

スクールバスの導入を決め、検討を始めると課題も見えてきました。そのひとつが、「バスを止めるスペース」です。

スクールバスの導入を見送った七次台小学校です。対象となる児童450人がバス通学するには、10台の大型バスが必要でした。しかし、学校の駐車場も正門前の道路にもスペースがありません。

学校の駐車場 大型バス10台は止められない
正門前の道路 バス10台を連ねることは困難
白井市学校政策課
鳥海孝一郎主査

学校の駐車場に大型バス10台が出入りできるスペースも、止めるスペースもありません。正門前の道路を検討しましたが、交通量が多い朝の時間帯に、大型バスを10台連ねて止めることは難しい。さらに、子どもが乗り降りすれば逆に危険が増してしまうのではないかと考えました。

検討した結果、市内にある9つの小学校のうち子どもが安全に乗り降りできると確認できた2校でスクールバスを試験的に導入することになりました。
公立の小学校はもともと子どもが歩いて通学できるよう、学校まで4キロ以内になるよう学区が設けられていて、多くの学校がバス通学を想定していません。このため、スペースの課題は多くの小学校で大きな制約になっています。

課題②コスト。

2つめの課題は「コスト」です。
経費を削減するため民間に委託したものの、2校で年間計3300万円に上ることがわかりました。
国から補助を受けられる制度がありましたが、白井市は条件に当てはまらず、全額を負担しなければなりません。予算を見直すことで経費を捻出したといいます。

市の予算資料
白井市学校政策課
鳥海孝一郎主査

市の財政は厳しい状況ですが、子どもの安全を第一に考えようと、予算を見直すことにしました。大きな負担になりましたが、必要な経費だと思っています。

国の補助制度では、バス通学をする子どものうち、学校まで4キロ以上離れた子どもが半数以上いなければ対象になりません。スクールバスを遠距離通学の支援として位置づけているためです。国はいまのところ、見直す予定はないということです。

取材後記

取材を進めると、導入にはコストだけでなく停車スペースの問題も課題になっていることがわかりました。こうした制約がある中で、白井市が通学路の安全対策を目的にスクールバスを導入したことは、ほかの自治体にとって参考になると思います。
白井第二小学校では、バスの運転手が「おはよう」と児童1人1人に声をかけ、車内ではことし3月まで校長先生を務め退職した男性がボランティアとして見守りにあたっているなど地域が一体となって取り組んでいることが印象的でした。また、バス通学を見送った七次台小学校などでは、通学路にある標識を増やすなどスクールバスに代わる対策に乗り出していました。

通学路には新しい路面標識
(白井市のホームページより)

制約がある中でも、地域の実情に応じて対策を組み合わせ、通学路の安全を高めていくことが大切だと思います。私も学校の近くを運転する時は子どもたちに優しい運転を心がけたいと思います。

  • 荻原芽生

    千葉放送局

    荻原芽生

    初任地は徳島局。ことし2月から千葉局。警察取材などを担当。 趣味は静かな林道を愛車でドライブすることです。

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