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「魅力度ランク」本当に最下位?再選の山武市長に聞いてみた

  • 2022年04月20日

九十九里浜・イチゴ・サンブスギ。山武市は、観光資源にあふれながらも、おととし民間の「魅力度ランキング」で全国最下位になってしまいました。この山武市のリーダーを決める4月17日の市長選挙で、現職の松下浩明さんが2回目の当選を果たしました。果たして山武市は、本当に魅力度が低いのか?松下市長に、入局2年目の記者が取材した市民の声を伝えて、「魅力度UPに向けた秘策」について聞いてみました。

(千葉放送局 記者 渡辺佑捺)

魅力度ランキング 全国最下位は本当なのか?市民に聞く

「山武市長選挙を担当して、選ばれた市長へのインタビュー取材をしてほしい」。
3月下旬、上司のデスクから電話がかかってきました。「はい、分かりました」と答えたものの、市長選挙を担当するのは初めてです。
おととし、民間の調査会社「ブランド総合研究所」が、全国1000の都市を対象に認知度や地域のイメージなど84項目についてインターネットで調査を実施。その「魅力度ランキング」の調査で、山武市は最下位になってしまいました。山武市の「魅力」が、本当に全国最下位なのか、まず市民の声を聞いてみることにしました。

山武市(山武市公式YouTubeより)

4月初旬のある晴れた日、山武市に到着しました。中心部にある成東駅周辺に、ファストフード店やスーパーマーケットなどはなく、人通りは少なめです。「駅前で市民に話を聞くのは難しいだろうな」と、人がいるところに移動しました。

親子連れの女性「プールやホテルの観光資源を生かして」

 

向かったのは、「さんぶの森公園」。満開の桜の木の下でレジャーシートを敷いて、子どもとともに、お花見を楽しんでいる女性に話しかけてみました。

記者「山武市長選に向けて、市の魅力について話を伺っています。山武市の魅力を上げるために、どうすればよいと思いますか?」

親子連れの女性(33)
「蓮沼海浜公園のプールにはたくさん人が集まるので、魅力だと思っています。近くにはホテルがあるので、ホテルと連携して安く利用できるようなキャンペーンなどをしてくれたら、観光地としてもっと盛り上がるのではないかと思います」

市民に話を伺うと、「大きな魅力のある街なのに、市のPRが少ないと感じている」と思いました。女性が話していた蓮沼海浜公園という場所を知らなかった私は、そこに行ってみることにしました。

中学生たち「最下位って逆にすごい」 プールもっとPRを

蓮沼海浜公園

どこまでも続く水平線と美しい砂浜。おぉーこれが歌で有名な九十九里浜か。その海辺に沿って蓮沼海浜公園はありました。あ、地元の中学生を発見!

記者「もうすぐ山武市長選が行われるので、街の人に話を聞いています。こうしたら市の魅力が上がるんじゃないかって、思うことはありますか?」

中学生たち
「知ってます。逆に最下位ってすごいなと思いました。この公園にあるプールをもっとPRしたり、人が集まるようなイベントを開いたりすればいいと思います。松尾地区で開かれていた「せんげんさま」というお祭りもコロナの影響で中止になって、ひとが集まる機会がどんどん減ってきてしまい、寂しいです」

蓮沼海浜公園のプール (「蓮沼ウォーターガーデン」公式サイトより) 

「蓮沼海浜公園のプール」。やはり、山武市民にとって自慢のスポットなんですね。山武市は、このプールをもっとPRしたほうが、良さそうに感じました。

高校生「もっとイベントを開いて」

夕方、学校を終えて帰宅する高校3年生からは、市内でイベントの開催を願う声が聞かれました。

記者「山武市の魅力を上げるために、市にやって欲しいことはありますか?」

高校生「私が幼いころ、S1という、ストロベリーグランプリが開かれていました。蓮沼海浜公園でやっていたと思います。こういうイベントなど、お客さんが集まることをもっとしてほしいです」

取材を続けると、ほかにも大学生から「山武市のイチゴはおいしいのでもっとPRしてほしい」とか、70代の男性から「朝ドラや大河ドラマのロケ地にも選ばれてほしい」、50代の男性からは「浪切不動という観光名所に向かうまでの道をもっと広くしてほしい」、50代の女性からは「市長がもっとPRしてほしい」などの声があがりました。
みなさん、取材へのご協力、ありがとうございました。

「山武市の魅力」 再選した松下市長に市民の声を伝える

再選後、初登庁する松下市長

4月17日、現職の松下浩明さんが、1万826票を得て、2回目の当選を果たしました。翌18日、再選後、初登庁する松下市長に、取材で得た市民の声を伝えるために山武市役所に向かいました。松下市長は花束の受け取りや当選証書の授与、幹部職員への訓示を終えたあと、忙しい合間を縫って、取材の時間を取ってくれました。ドキドキします。深呼吸をして応接室に入り、インタビューに臨みました。

「財政状況が厳しく 市民にも協力いただきたい」

インタビューする記者と松下市長

記者
「市民から、蓮沼海浜公園のプールをもっと活用、PRしてほしいという声があがっていました」

松下市長
「蓮沼海浜公園のプールは、市民のみなさんと協力してPRしていきたいです。ただ、財政状況が厳しいのも事実。市でやれることをやっていきますが、市民のみなさんも『自分たちでなにかやろう』という姿勢で協力してもらえるとうれしいです。将来の山武市を一緒に築いていくので」

そうか、山武市は厳しい財政状況なのですね。たしかに、この応接室や市長室がある市庁舎もなかなか年季が入っています。
山武市の財政状況を分析した資料を見ると、「市内に中心となる産業がないため財政基盤が弱く、また、生産年齢人口の減少に伴う市税の減少が今後も見込まれる」などとされています。
朗らかな笑顔が印象的な松下市長ですが、財政の話になると厳しい表情となる理由がわかりました。

市の知名度アップへ 市長からアイデア次々と!

しかし、今回の取材は目的は、魅力度ランキングの最下位を受けて、いかに市の魅力をPRするか市長に話を聞くことです。財政が厳しいということを伺うだけでは、取材の目的は果たされていない。さらに市長に質問しました。

記者「市の魅力を上げるため、市長の一押しスポットはありますか?」

本須賀海岸(山武市公式YouTubeより)

松下市長「3年前には、市内の本須賀海岸が質の高い美しいビーチとして認められたことを示す国際的な認証『ブルーフラッグ』を取得しました。県内ではここだけです。これを市民のみなさんにもっと使ってもらえるようにしたいと思っています」

記者「中学生や高校生からあがった、イベントを誘致してほしいという要望については?」

松下市長「コロナ禍でイベントが減ってしまっているのですが、感染状況が落ち着くときに向けてイベントを考えていかなくてはいけないと思っています。選挙中にも『一緒にイベントをやらせてほしい』と面白い話をしてくれた若い方々がいました。今の時代にあったPRの手法を取らなくてはいけないと思っています。千葉商科大学の学生さんたちに、本須賀海岸でインスタにあげられるようなスポットを考えていただきたいと思っています。あと、山武市出身の悠木碧さんという声優さんがいるので、これからお会いして山武市のPR大使をお願いできないかなと思っています。いろんなアニメに出ている方なので、そういうところから始まって聖地になったら面白い。ロケ地にも手を上げてみたいという思いもあるんですよ」

意欲的な松下市長。インスタに、声優さん、20代でアニメ好きの私には、グイグイ突き刺さってくる話です。ありがとうございます!さらに、大学生に協力をあおいだり、財政が山武市よりも豊かな浦安市の資金支援を得たりすることで、予算をかけず効果的にPRするアイデアも、次々と話してくれました。

松下市長「あと、ほかの大学や企業にも入ってもらって、『いちごビール』などの地ビールや、サンブスギの樹脂を使ったタンブラーなどの開発にも取り組んでいます。浦安市と協定を結び、浦安市に費用負担してもらいながら森林整備も加速していきたいと思っています」

記者「最後に市民のみなさんに伝えたいことはありますか?」

松下市長
「とにかく山武市はこれからの4年間、非常に大事なときであると思っています。今地球の環境もいろいろ変わっていく中、戦争なども起きて社会情勢もいろいろ変わっている中で、将来をつくっていくために、この4年間使わせていただきたいと思っています。そういう意味で、市民からアドバイスをいただきながら一緒にやっていきたいと思います。大きな方向性を示すのは僕の仕事かなと思っています。そこをちゃんとやっていきます」

取材後記

記者という仕事に就き、市長に直接インタビューで聞くことができる、仕事の重みを感じる取材でした。「市の魅力をどうやってアップさせるのか」という、市民の声を届けたとき、松下市長はとても生き生きとしていました。そして印象に残っているのは「市民の皆さんと一緒に」という言葉です。市長ひとりよがりのまちではなく、市の職員、そして市民とともに、将来に向けたまちづくりをしていきたいという強い思いが感じられました。財政状況が厳しい中で、市の魅力を向上させることは、簡単ではないと思います。2期目を務めることになった松下市長が、魅力ある山武市の将来をどのように作っていくか期待したくなる、初めての市長選挙取材でした。

  • 渡辺佑捺

    千葉放送局 記者

    渡辺佑捺

    2021年入局。警察・司法取材を担当。選挙取材も本格的に進めます。インスタ映えスポットにはいち早く写真を撮りに行く派なので、山武市の本須賀海岸は楽しみです。

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