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静岡 大井川鉄道 「記録雨」被害 全線復旧は NHK 三上弥アナ

【詳報】令和4年9月の台風15号に伴う記録的大雨で被害を受けた大井川本線 今後の復旧の道筋は
  • 2023年06月20日

三上弥 NHK「現場のことば」第42回【随時更新】

「記録雨」半年=令和5年3月23-24日 
その後の動きは

鉄道・運輸機構が新たに発足させた「鉄道災害調査隊」が、令和5年6月19日(月)から静岡県の大井川鉄道に派遣されました。調査隊の派遣は全国で初めてです。
記事を更新します。 <令和5年6月20日 更新>

台風15号に伴う記録的大雨
令和4年9月下旬 
静岡県に被害もたらす

令和4年の台風15号接近に伴う記録的な大雨が静岡県に被害をもたらしたのは、9月23日(金)「秋分の日」の夜から翌朝・24日(土)にかけてでした。

NHKニュース 
令和4年9月24日(土) 午前3時15分

令和5年3月23日(木)で半年がたったことになります。

大井川本線 全線復旧に至らず

NHKニュースでは、令和4年12月16日に、大井川鉄道の大井川本線が、静岡県島田市内の一部の区間・金谷(かなや)駅と家山(いえやま)駅の間で運転を再開したという情報をお伝えしました。

SL列車の旅客運行でも知られる大井川本線は、両方向とも令和4年9月23日の最終電車の1本前まで全区間で運行を終えたあと雨量が規制値を超えました。このため、9月23日の最終電車以降は、両方向とも運休となりました。ここでいう最終電車というのは、SL列車ではなく、地元の人たちが主に利用している電車です。

9月26日からはバスによる代行輸送が続けられてきて、一部の区間とはいえ、12月16日の運転再開は84日ぶりです。

NHKニュース 令和4年12月16日(金)
一部区間=金谷ー家山間 84日ぶり運転再開の日の朝
氷点下の冷え込み

しかし、全線復旧には至っていません。

島田市にある家山駅から川根本町(かわねほんちょう)の千頭(せんず)駅まで「全線復旧」できるかが、今後の課題です。

静岡県による「公的支援」は得られるのか。国や地元の市・町はどう対応するのか。

「川根路(かわねじ)」と呼ばれている地域の鉄道の早期復旧が求められています。

家山-千頭22㎞余 復旧のめどは

家山駅と川根本町の千頭駅までの22キロ余りの区間は、なかなか復旧の見通しが立ちません。

家山・千頭間は、引き続きバスによる代行輸送が行われています。

大井川本線では、復旧していない区間のほうがまだ長いというのが実情です。

こちらの地図をご覧ください。

路線図

▼青い線が復旧した区間、▼赤い線がまだ復旧していない「家山と千頭の区間」です

大井川鉄道によりますと、この区間で被害を受けたのは13か所です。

復旧にかかる費用が多額にのぼり、鉄道会社が自力、つまり、自己資金だけで復旧作業進めるのは難しい現状があります。

このため、鉄道会社は、静岡県や川根本町などの担当部署に対し、いわば「お願いベース」で公的資金による支援を受けられないか、相談してきました。

大井川鉄道には、蒸気機関車の運行に象徴される観光事業だけでなく、地域公共交通の事業者という側面もあります。いわゆる「川根路」の公共交通機関を確保するという観点からも、行政などによる公的支援が不可欠です。

令和5年1月 鉄道会社が静岡県に支援要請

年が明けて、令和5年1月18日(水)、大井川鉄道が動きました。

自力での復旧は困難だとして、社長が静岡県に対して支援を要望したのです。

NHKニュース 令和5年1月18日(水)
静岡県庁

県は、令和4年度内、つまり令和5年3月31日までに、沿線の関係者が意見交換を行うための場を設ける考えを示しました。

要望書によると、今も運休が続く区間は運転再開のめどが立たず、自力での復旧は困難だとしたうえで、コロナ禍で利用客も減っているため、持続可能な地域の公共交通のあり方について議論する協議会の設置を求めました。

【支援要請┃取材】 静岡県政担当 井ノ口尚生 記者

令和5年3月 検討会初会合

沿線の関係者が意見交換を行うための場「検討会」が、令和4年度内に設けられました。

初会合は、令和5年3月22日(水)です。

NHKニュース 令和5年3月22日(水)
静岡県庁

大井川鉄道の復旧に向け、県や沿線の関係者で作る検討会が発足しました。

検討会は、今も一部の区間で運休が続く大井川鉄道が、県に設置を要望したの受けて発足したものです。

3月22日の初会合には、県や国、沿線自治体などが参加しました。

静岡県地域交通課長のあいさつです。

大井川鉄道本線=「大井川鉄道 大井川本線」

家山-川根温泉笹間渡 令和5年10月めどに再開へ

ことし10月めど=「令和5年10月めど」

冒頭を除いて協議は非公開だったものの、大井川鉄道側から、不通区間のうち、土砂の流入が少なかった大井川本線の家山駅から川根温泉笹間渡(かわねおんせん・ささまど)駅までを令和5年10月をメドに再開させる方針が示されたということです。

年内=「令和5年の年内」

検討会では、今後、被災した場所の視察などを行った上で年内に検討結果をまとめ、復旧への支援に生かす方針です。

会合のあと、鉄道会社の社長はこう語りました。

【検討会初会合┃取材】 静岡県政担当 仲田萌重子 記者

地域の公共交通機関をどう考えるか

この記事の公開時に、全国的にも知られているSLの走行映像を見て、大井川鉄道が令和4年の台風15号による記録的な大雨の被害から復旧したと捉(とら)えるのはまだ早すぎます。

「大井川本線では、復旧していない区間のほうがまだ長い」ということを忘れてはなりません。

静岡県の大井川沿線住民の通勤・通学をはじめとした生活、観光や産業、雇用などを考えた場合、この鉄道の存続は欠かせません。産業面では、川根路は茶の産地でもあります。

道路とは異なり、鉄道は原則、事業者が負担して復旧工事を進めます。東日本大震災や台風、大雨などの自然災害で被害を受けたあと、なかなか復旧しない鉄道が各地にあるのは、枠組みとしてこうした事情があるからです。

早期復旧が求められている
家山駅から千頭駅方向をのぞむ
国や県、地元の市・町による「公的支援」などの対応は?

静岡県の「川根路」に欠かせない鉄道路線の復旧はどうなるのか。

支援を求める民間鉄道事業者に対して、県がどのような対応をとるか、さらに、国や沿線の地元自治体がどのように対応するかが、今後の焦点です。

大井川鉄道に全国初 
“鉄道災害調査隊”を派遣

NHKニュース 令和5年6月19日(月)
画像クリックで原稿・動画にアクセス👆

令和4年9月の記録的な大雨で被災し、一部区間で運休が続く静岡県の大井川鉄道に、鉄道・運輸機構が新たに発足させた「鉄道災害調査隊」が令和5年6月19日から派遣されました。

調査隊の派遣は全国で初めてです。

静岡県島田市 

鉄道・運輸機構は、自然災害で被災した鉄道施設の早期復旧を支援しようと、令和5年6月13日、専門的な知識のある職員でつくる「鉄道災害調査隊」を新たに発足させました。

6月19日は国土交通省からの要請を受けて、令和4年年9月の記録的な大雨で被災し、一部区間で運休が続く大井川鉄道の大井川本線に調査隊のメンバー10人が全国で初めて派遣されました。

NHKニュース 令和5年6月19日(月)
空撮 静岡県川根本町 令和4年10月

今回の調査では、運休が続く千頭駅から家山駅までの22キロあまりの区間のうち、土砂が流れ込んだ線路など大きな被害を受けた39か所を6月20日までの2日間で確認します。

空撮 千頭駅  静岡県川根本町  令和4年10月

その上で、早期の復旧に向けて技術的な面からアドバイスしたり、復旧にかかる費用や時間を算出したりするということです。

「鉄道災害調査隊」の責任者の大中英次さんは「大井川鉄道が計画している復旧計画の妥当性を技術的な視点から精査し、しっかりと助言したい」と話していました。

大井川鉄道の鈴木肇社長は「調査隊の皆さんに指導していただき、ただ復旧させるだけでなく鉄道を持続的に運営させることにつなげていきたい」と話していました。

【鉄道災害調査隊派遣┃取材】  平田未有優  記者


【発生時から┃取材・全体構成】 
NHKアナウンサー   三上 弥


駅の位置関係・再開区間 
ワンポイント

川根温泉笹間渡駅は島田市にあります。
家山駅から千頭駅方向に2つ目の駅です。
途中に抜里(ぬくり)駅があります。
残るおよそ20㎞の区間・川根温泉笹間渡駅と千頭駅の間は、復旧のめどが立っていません。

検討会初会合で出た「川根温泉笹間渡駅まで再開」が実現しても、大井川本線の鉄道の運行区間は川根本町(かわねほんちょう)まで達していないという点がポイントです。

ここで「鉄道の運行区間」と書いたのは、バス代行ではなく、鉄道による運行を実施している区間を意味しています。

都市部・地方を問わず、ふだん鉄道を利用している人に想像していただきたいのは、もし自宅や職場の最寄り駅に半年余り鉄道が通らないとどんな感じになるのかということです。

家山駅より千頭駅方向にある各駅では、半年余りにわたって、代行バスの利用を余儀なくされている現実があります。

令和4年度内に「検討会」が設けられ、年度内の令和5年3月22日に静岡県庁で初会合が開かれたのは、あくまで第一歩です。

全線運転再開に向けて、国や県を中心とした行政がどのような具体策を出して真剣に取り組むかということが、令和5年度以降の実務的な運営や「全線運転再開」という目標の実現に深く関わってきます。

早期復旧を求める鉄道路線
全国各地に

自然災害で被害を受けたあと早期復旧を求める路線は、全国各地にあります。

地域に欠かせない交通機関を守るためにも、鉄道の早期復旧には、国や都道府県を中心とした行政が具体策をもってどう取り組んでいくかがポイントです。

大井川鉄道大井川本線は、どのような道筋で復旧を遂げていくのでしょうか。


 

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  • 三上 弥(わたる)

    アナウンサー

    三上 弥(わたる)

    平成6年度、NHKにアナウンサーとして入局。
    NHKニュース、国会中継をはじめ、報道分野の業務を中心に担当。
    NHK WEB に「現場のことば」連載中。

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