仙台弁「ジャス」のルーツを調べてみた!

視聴者の方から寄せられたこちらの質問。

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「仙台ではジャージのことを「ジャス」という人もいますが
「ジャス」が“いつから”“どこで”使われているのか知りたい」

いったい、「ジャス」とはどの世代でいつから使われている言葉なのでしょうか。
ニュースサイト編集長安藤歩美さんと一緒に調べてみました。

街頭調査で聞いてみると…

まずは街の人に何と呼ぶのか聞いてみました。

「親とかはジャスジャスって言いますよね」
「ジャス・・・?聞いたことない」
「私たちの世代はジャスでした」
と反応はさまざま。

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14人にお話を聞いたところ、実際に「ジャス」と呼ぶのは2名。
一方で、6名は呼ばないけれど、言葉は知っているという結果でした。

衣料品店で「ジャス」の文字を発見!

ジャスはいつから使われているのか、さらに取材を進めました。
向かったのは名取市の衣料品店です。
すると…電光掲示板にもジャスの文字を発見!

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レシートにもジャスの文字が!

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お店の人に話しを聞いてみると、30年以上前からジャスと呼んでいるということでした。


東北初のスーパーマーケットを開いた会社にも取材!

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ジャスという言葉が昔から衣料品店でも使われていることが分かったので、
さらに、仙台で初めてスーパーマーケットを開いた会社にもお話を聞いてみることにしました。
当時、宣伝を担当していた方が、昔のチラシを調べてくれました。

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その方によると、1976年にジャスという言葉は聞いたが、チラシを調べてみるとジャスという言葉は入っておらず、スポーツウェアとかそのような表現をしているということでした。

ここでは50年近く前から「ジャス」が使われていることは分かったのですが、
正確にいつから始まったのかなぜ出てきたのか分かりませんでした。

でも、ご安心ください。ついにその情報を持つ人に私たちはたどり着きました。

方言のエキスパートが「ジャス」のルーツを教えてくれました!

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「ジャス」の由来について聞いたのは、この方。全国1000地点を調査する
ローカルワードのエキスパート!方言学を研究する東北大学の小林隆教授です。

小林教授は1997年に「ジャス」のルーツを調べていました。
その結果、「ジャス」は仙台市で生まれた言葉だと分かりました。

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小林教授
「仙台市から宮城県の北の方へ向けて調査を行った結果、1997年当時の仙台市青葉区では70代まで全員「ジャス」を使うという結果で、これが北の方の泉区や富谷町へ行くとだんだんとジャスを使う年齢が下がっていくということでした。仙台で70代まで使うということは古くから使っているということです。」


「ジャス」の由来とは?

ジャスの由来についても尋ねてみました。

小林教授
「ラグビー部が着用しているジャージがありますね。戦前から関東の学生がこれを『ジャッシー』という愛称で呼んでいたらしいです。『ジャッシー』という言い方がどうやら仙台のラグビー部に伝わり、宮城・仙台に入ってくることでそこの土地の方言になじみ、シとスの区別がない発音の影響を受けてジャスという風になったと考えられます。」

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戦後まもなく仙台に根付いたジャス。しかし、方言より共通語を使うべきだという風潮に押され、様々な宮城の方言と同様に「ジャス」も使われなくなっていったと言います。

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しかし、小林教授は、そんな方言には、大切な役割があると言います。

小林教授
「例えば震災の時にいろんな励ましのスローガンができましたよね。地元の人にとっては「がんばろう」よりも「がんばっぺ」の方が心に響いて力が湧いてくる、そんな声をたくさん聞きました。方言を使うことでお互いに気持ちが通じ合えて皆で一緒に何かをしようと一体感が生まれてきます。ぜひ、皆さん方言を大切にしてほしいです。」

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動画本編はこちら


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