「ビキーニョ」で名取を元気に!

ブラジル原産とうがらし、「ビキーニョ」はピクルスなどとして関東では最近、人気が高まっているそうです。東日本大震災で被災し、使われていなかった名取市の農地で、このビキーニョを栽培するブラジル出身の女性を取材しました。

【仙台放送局 記者 宮崎竜之輔】


【名取でブラジル野菜】

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名取市沿岸部でビキーニョを栽培しているのは鴇田ミリアン由美子さん(55)。
ブラジル出身の日系三世です。

(鴇田ミリアン由美子さん)
「ほのかに辛みはありますが、子どもでも食べられる程度です。形がかわいいので女性にも人気があり、さまざまな料理にあいます」


【きっかけは東日本大震災】

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ミリアンさんは1995年に建築を学ぶため東北大学に留学生として来日。そのまま仙台の造園会社に就職しその後、日本人男性と結婚し、仙台市内で夫と息子の3人で暮らしています。

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ビキーニョ栽培のきっかけは、東日本大震災後に友人の紹介で始めた仮設住宅でのボランティア活動でした。
被災した人にふるさと、ブラジルの味を届ける活動を続けるうちに知り合いが増え、名取を元気にしたいと考えるようになりました。

(鴇田ミリアン由美子さん)
「ブラジル料理を作ってみんなにふるまったところ大好評でした。被災した場所で何かできればみんなをもっと元気にできるのではないかと思いました」


【ブラジルにはつながりも】

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名取市はブラジルと深い関係がありました。その昔、名取からブラジルに渡った移民が現地で成功し戻ってきたことがきっかけで、ブラジル南部のグアララッペス市と姉妹都市になっていたのです。

【広がる支援の輪】

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ミリアンさんの活動を支援しようと協力する住民も出てきました。地元の小松菜農家、森義一さん(70)は震災の津波で家を流され、仮設住宅で暮らしていました。津波で被災したあと使われていなかった農地を活用してほしいと、ミリアンさんに畑を提供しました。

(森義一さん)
「震災のあとミリアンはじめみんなにお世話になりました。ミリアンが地元でいろいろとやりたいと話していたので、協力してあげたいと思いました」

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活動には地元の学生たちも参加しています。名取市にある尚絅学院大学で栄養学を学ぶ学生たちが「チームびき~にょ」を結成し、ビキーニョを多くの人に食べてもらえるようレシピ作りに取り組んでいます。

【いざ試作品作り!】

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9月下旬、学生たちと一緒にビキーニョを使った料理の試作品を作りました。試作品は、ギョーザの皮の上にビキーニョやピーマンなどを乗せて焼いたピザや森さんが栽培した小松菜と炒めた料理など全4品。

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「ピザはビキーニョの食感と香りが生きておいしい。ビキーニョは種が気になるという人もいますがピザで焼けば気になりません」

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(鴇田ミリアン由美子さん)
「どれもすごくおいしい。ビキーニョにはまだまだ無限の可能性があると思っています」


【ミリアンさんの夢】

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ビキーニョの栽培を始めてことしで5年。ブラジル野菜作りをきっかけに人とのつながりが生まれています。ミリアンさんは、来年はさらに収穫量を増やして県内のスーパーなどに出荷し、いずれは地域の特産品にしたいと考えています。

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(鴇田ミリアン由美子さん)
「栽培量を増やしてビキーニョを使った名取を元気にする地域おこしができるよう頑張っていきたい」


【取材を終えて】

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ミリアンさんはとても明るく前向きで、周りにいる人たちを笑顔にさせる力をもっている女性でした。ミリアンさんの作るビキーニョのピクルスをいただきましたが、ピリ辛でやみつきになるおいしさでした。もっと手軽に手に入るようになったらいいなと思いました。これからの活動に期待したいです。

【取材:宮崎竜之輔】



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