川遊び 何に気をつけたらいい?

連日、厳しい暑さが続く中、川遊びに出かけたいという方も多いのではないでしょうか。
一方で、全国では子どもが亡くなる水難事故が相次いでいます。
身近な川に潜む危険や遊ぶ際の注意点を取材しました。

(仙台放送局 記者 宮崎竜之輔)


【久しぶりの川遊び 全国では水難事故相次ぐ】

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夏休みに入った7月下旬、川遊びができる宮城県登米市の公園は、多くの家族連れでにぎわいを見せていました。訪れた人たちからは、新型コロナが5類に移行され、数年ぶりに子どもたちを連れて来ることができたという喜びの声が聞かれた一方、こんな声も聞かれました。

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登米市の60代の女性
「おととしかな、大人でもここで溺れていたんですよ。普通にふざけているのかなと思ったら違ったんです。溺れた時は『助けて』と声に出せない様子でした。だから川遊びをする時は気をつけて見ていないとだめですね」

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水難事故はことしも全国で相次いでいます。7月には福岡県で川遊びをしていた小学6年生の女子児童3人が溺れて亡くなるなどしていて、登米警察署の警察官も川周辺の見回りを強化して注意を呼びかけていました。

【川遊びにはどんな注意点が?】

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川遊びではどのようなことに注意したらいいのか。川での安全な活動を行うための資格を持つ菅原正徳さんに仙台市内の川で話を聞きました。菅原さんは、仙台市の民間団体「カワラバン」の代表を務め、子どもなどを対象に川遊びの体験会を開く活動などを行っています。
菅原さんは、川には子どもだけで行かせず、必ず大人が一緒に行くことが重要だと指摘しています。

菅原正徳さん
「子どもからいっときも目を離さず、できれば大人も一緒に川に入って遊んでほしいです。万が一、子どもが転んだり流されたりした際、すぐに手が差し伸べられるような態勢を取ることが大事だと思います」


【急に深くなる地形に注意】

川遊びのポイントは、まず、遊ぶ場所を見極めることだといいます。川は、その場所によって、水深や流れの速さなどが異なります。川遊びに出かけた時に、その川のどのような場所なら安全に遊べるか見極めることが重要で、その際に急に深くなる地形には注意が必要だといいます。

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菅原正徳さん
「岸から急に深くなるような場所は、その先に行って流されたり足がつかなくなってパニックになったりすることが考えられるので、遠浅な場所を選ぶことが大事です。深い場所の見分け方は、川底が見えないというのが1つの目安です。ただし例外もあり、上流域では透明度が高く、深くても底が見えることがあります。底が見えるから浅いと勘違いしてしまいやすく注意が必要です。また、川のカーブの外側も深く危険な傾向があります」


【遠浅でも流れが速い場合には注意】

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しかし、遠浅な場所を選べば安心とも言い切れないといいます。遠浅でも川の流れが速い場合には注意が必要です。

菅原正徳さん
「瀬音が響いているような場所は、流れが速いため、ひざ下の水深であっても体重の軽い子どもなどは流される可能性があります。水深だけでなく、流れの速さも考慮して遊ぶ場所を決める必要があります」


【橋脚やせきの周りでは遊ばない】

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さらに気をつけてもらいたいのは、橋脚や川を横断するせきなどの周りだといいます。

菅原正徳さん
「橋脚やせきなどの人工物の周りは、深くなっていたり流れが複雑になっていたりして 危険です。実際に事故も多く発生しているため、そうした場所では遊ばないことが大事です」


【安全のための装備を】

安全な場所を選ぶのにも難しさがある川遊びですが、いざというときに備えて装備に気を配ることも重要です。

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まず、ライフジャケットです。川の流れは複雑で、浮き続けていることが難しいため、菅原さんは着用を呼びかけています。脱げ落ちないように体にフィットしたものを選び、ひもや腰のベルトをしっかり締めて着用してほしいとしています。

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足元も重要です。川底の石はコケなどで滑りやすくなっています。川専用の靴に加えて、
日ごろ使っているような運動靴も滑りにくく適しているといいます。

菅原正徳さん
「運動靴は底も厚く、生地もしっかりしているので足のけがも防げますし、何より脱げにくいことがポイントです。川で履いている物が脱げて流されると、誰しもが取りに行こうとしてしまいますが、その先が深くなっていたり流れが速かったりして事故につながることがあります。ビーチサンダルは脱げやすく危険なので避けて下さい」

このほか、菅原さんによりますと、東北の川は上流域など場所によっては夏でも水温が20度以下と冷たい場合があるということです。長時間、体がぬれたままでいると、低体温症になるリスクがあるため、乾きやすい化学繊維の素材の服を着ることも大事だといいます。

【川遊びに行く前にもポイントが】

このほか、天気にも注意すべきポイントがあるといいます。夏場は急な雷雨などがたびたび
起こり、雨が降れば川の状況も変わります。菅原さんによりますと、川遊びで訪れた場所で
雨が降っていなくても、その上流で雨が降った場合、数時間後には10キロから20キロ下流まで影響してくることが考えられるため、上流の天気にも気を配ることが必要だといいます。
また、川遊びに行く数日前から雨の降り方や川が増水していないかなど水位を確認することも重要だということです。

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菅原正徳さん
「川は身近な環境ではありますが、多くの危険が潜んでいる場所でもあるので、そうしたことをしっかり踏まえて、川遊びをしてほしいです。川は入っているだけで気持ちがいいですし、さまざまな生き物がいて、日常では得られない楽しみがたくさんあります。注意をした上で出かけてみてください」

 


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仙台放送局記者
宮崎竜之輔
2022年入局
主に事件・事故の取材を担当
趣味は釣り