宮城には『音が鳴る砂浜』がある?

今回のみやぎUP-DATEは、夏っぽい“あの場所”で直接疑問を集めてきました!

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調査員
「夏、真っ盛り!
今日は荒浜海水浴場にやって来ました。
みなさんの疑問、聞いてきたいと思います!」

この日の最高気温は33度!
夏休みということもあり、多くの家族連れで賑わっていました。

寄せられた中から今回取り上げるのは…

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「『鳴き砂』っていうんだっけ?
鳴くところ。どこだっけ、あれ。」

“砂が鳴く”とは一体どういうことでしょう?


砂を見てみよう!

ここからは安藤さんにバトンタッチ!
鳴き砂がどんなものなのかを知るために、亘理町の吉田浜海岸へ向かいました。

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安藤さん
「砂を調べてる方がいらっしゃいますね。
こんにちは~、いま何をされてるんですか?」
早川さん
「いま、鳴き砂の調査をやってるんですよ。」

今回お話を伺うのは、宮城県の沿岸を中心に鳴き砂を調査して20年になるという早川 紘之さんです。

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安藤さん
「鳴き砂っていうのは、どういうものなんでしょう?」
早川さん
「心地よい音が出る砂のことが、鳴き砂なんです。
これをこするとね。こう、きれいな音が出るんですよ。」


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安藤さん
「あ!キュッキュッって音が!」

早川さんが言うように、確かに心地の良いきれいな音が鳴ります!
(砂の音はぜひ動画でお聞きください…!)


どうして音が鳴るの?

ルーペを使って砂を見てみると…

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安藤さん
「すごい、キラキラしたところばっかりですね…」

キラキラして見えたものは、砂に含まれる透明な鉱物「石英(せきえい)」
これが音を鳴らしていた正体です。

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砂に石英が多く含まれていると、摩擦し合って音が鳴るのです。


鳴き砂には”弱点”も…

実は鳴き砂にはいくつかの天敵がいます。

1つ目は「水分」。
砂に水をかけてみると…

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安藤さん
「全然鳴らない…」

先ほどまでのキュッキュッという音が鳴らなくなってしまいました。
雨や波はもちろん、湿気で砂が湿るだけで摩擦が起きにくくなり、音が鳴らなくなってしまうのです。


そして2つ目は…

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安藤さん
「けっこう落ちてますね。」

見つけたのは、流れ着いた発泡スチロール。

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砕けて細かくなったものや、ペットボトルなどのプラスチックが劣化したものが砂に混じって石英に付着することで、摩擦が起きにくくなり音が鳴らなくなってしまうのです。

少しの汚れにも反応する鳴き砂は、環境のバロメーターとも呼ばれています。


震災では大きな影響も

12年前の東日本大震災では、砂浜に泥やがれきが押し寄せ、音が鳴らなくなったといいます。

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早川さん
「こういう船も打ちあがってて、やっぱり鳴らなくなってましたね。
津波の泥でだいぶ汚されてしまったので、なかなか元には戻らなかったですね、最初は。」

しかし、がれきの撤去や、市民による砂浜の清掃活動の広まりによって、次第に砂浜から鳴き砂の音色が聞こえるようになりました。

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早川さん
「自然からの贈り物ですからね、これだけは。
人工的には作れないんですよ。
残していきたいっていう感じはありますね。」

吉田浜では、年に2回100人近くが参加して清掃活動を行い、きれいな海岸を維持しようとしています。


鳴き砂は宮城でしか見られないの?

日本ナショナルトラストの調べでは、鳴き砂がみられる砂浜は全国におよそ30か所あり、そのうち7か所が宮城県内にあるそうです。

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石巻や女川、東松島の浜で見られ、場所によっては「鳴り砂」とも呼ばれています。
また、気仙沼の十八鳴浜(くぐなりはま)と九九鳴き浜(くくなきはま)は、国の天然記念物に指定されています。

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ちなみにこちらの九九鳴き浜は、キュッキュッという鳴き砂の音からその名がついたといわれています。
大切に保護されているため、気仙沼の観光協会では砂の持ち帰りは控えて欲しいとしています。


安藤のひとこと。

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安藤さん
「鳴き砂というのはとても貴重なものなんですが、ごみのポイ捨てですとか放置によって今後砂がならなくなってしまうということも起こりうる事態です。
ぜひ宮城県みんなで環境への意識これからも高めることで、この自然からの贈り物を大切に守っていきたいなと強く感じました。」





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