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佐賀 国スポ 伊万里市~半世紀受け継がれる“ホッケー愛”

NHKニュースただいま佐賀 さがめぐりまるっと20 あなたのまちの応援団
  • 2024年03月29日

伊万里の子どもたちが夢中のホッケー

一生懸命に練習しています

平日の夜、伊万里市では、地元の小学生と中学生が集まって、ホッケーの練習をしています。
その数、約50人です!

国スポでも競技会場になります

練習場所の1つが、伊万里市の国見台球技場です。国スポに合わせて改修されました。

「土」のグラウンドから「人工芝」のグラウンドへ

以前は土のグラウンドでしたが、2年前(2022年)、全国レベルの大会を開催できる「人工芝」に生まれ変わりました。照明設備も新しくなり、夜間も練習できます。
子どもたちにとっては、絶好の環境です。

ホッケーで使用する「スティック」
スティックは こちら側のみ「平ら」です

実は。。。
ホッケーでは、ボールを扱えるのは、スティックの片面、平らな面のみです。
反対側は丸みを帯びていて、使うことはできません。

チーム屈指のテクニシャン 仙名晴輝さん(中1)

チーム屈指のテクニシャン、仙名晴輝さん(中1)に、その技術の高さを見せてもらいました。
スティックの片面だけを使って、ボールを持ち上げ、コントロールする練習です。

足元でのドリブル練習

さらに、ドリブルの練習も。
スティックの面を細かく入れ替えながら、片面だけを使って器用にボールを操作します。

全員で基礎を染み込ませていきます

子どもたちは、日頃からこうした基礎練習を積み重ね、スティックさばきを学んでいます。

川久保尊琉さん(小6)
川久保
尊琉さん

(ホッケーは)めっちゃ楽しいです。点数を決めたり、相手を抜かしたり、相手のボールを止めて、味方にパスを回して、味方がきめたりしてくれることがとても楽しいです。

松本亜美さん(小6)
松本亜美さん

ゴールを守るときが楽しいです。
みんなと仲良くなれたりすることができるので、良いスポーツだと思います。

半世紀を越えた伊万里ホッケーの歴史

伊万里のホッケーの歴史は57年前に始まりました

そもそも、伊万里でホッケーが始まったのは1967年。佐賀県ホッケー協会が設立され、当時の伊万里商業高校(現・伊万里実業高校)には、県内唯一のホッケー部が誕生しました。

若楠国体 開会式の様子

1976年、佐賀での若楠国体で、伊万里はホッケー競技の開催地となり、その強化を図るためでした。

「広報いまり」 昭和51年10月10日発行

ホッケーの様子は、広報紙でも大きく取り上げられました。

「広報いまり」 昭和51年11月5日発行

若楠国体では、少年男子が準優勝するなど総合優勝に輝き、一気に競技熱が高まります。

しかし、時間とともに人気は下火に。競技人口も次第に減っていきました。

子どもたちを指導する川原邦弘さん(中央)

そんな中、危機感を覚えたのが高校の卒業生たちです。
小さい頃からホッケーに親しんでもらおうと、小学生クラブの設立に向けて動き出しました。
その1人、佐賀県ホッケー協会の川原邦弘さんです。

川原邦弘さん

ホッケーは、ボールにいくら触るか、経験するかでないかと自分では思ったので、ジュニアの方からやっていけたらいいなということで、今の子たちが、中学・高校・大学までホッケーを続けて、勉強をして帰ってきて、また子どもたちを指導していく。そういう循環がうまくできたらなと思っています。

こうして、地域の支えの下、1999年、小学生を対象に誕生したのが「伊万里ホッケークラブ」です。
クラブ設立により、小学生から社会人まで、地元で長く競技を続けられる環境が整いました。

受け継がれてきたホッケーへの愛情

子どもたちを教える西山コーチ

コーチの西山朱音さんは、子どもたちを教えて6年。自身もクラブの卒業生です。
高校卒業後、県外に出たのを機に一時競技を離れましたが、再び伊万里に戻り、指導に携わっています。

西山さんも伊万里ホッケークラブでプレー

小学5年生から競技を始めた西山さんは、全国大会にも出場するなど、高校まで伊万里で競技を続けてきました。

西山朱音さん

ホッケーを中学生、高校生、大人と続けてもらうために、まず、楽しくホッケーをしてもらいたいというのを意識しながら指導しています。
シュートを打って点数を決めたりとか、敵を抜いたりとか、ボールがとれたりという、ホッケーの1つ1つのプレーの中で、自分ができたという楽しさとか、達成感を得られるような部分ですよね。そこを大事にしています。

選手としてプレーする西山さん

西山さんは、今も現役のプレーヤーです。子どもたちの指導を終えると、、、すぐに選手に!
国スポの成年女子チームでもプレーしています。中学生たちの練習に合わせて、西山さんたち成年女子の選手が一緒にプレーすることもあります。

成年女子チームでは選手兼監督を務めています

チームメートには、ロンドンオリンピック代表の眞鍋敬子さんをはじめ、国スポに向けて国内の強豪チームでプレー経験のあるメンバーが加わっています。

子どもたちは真剣な表情で見つめます

子どもたちは、トップ選手のプレーを間近で見たり、一緒に試合をしたりすることで、刺激を受けています。

一緒にプレーした 仙名翔輝さん(中2)
仙名翔輝さん

声のかけ方だったり、細かいところが一個レベルが高かったりして、自分もまねしようと思います。周りの大人の人たちがいっぱいいるので、そういう人から自分に教えてもらったりして、レベルが高くなっているのかなと実感しています。

西山さんは、地元の国スポで佐賀県代表に選ばれ、プレーでも貢献したいと考えています。

笑顔の西山さん
西山朱音さん

国スポを通じて、伊万里でずっと昔から続いているホッケーという競技があるんだよ、ということが今回さらに浸透していくのかなと思います。
こんなおもしろい競技が地元でできるんだよ、というアピールにもつながるかなと思います!

伊万里市でのホッケー競技予定

国スポでは、伊万里市は4つの種別でホッケー競技を開催します。
成年男子と成年女子は、伊万里で活動する社会人チームを中心に、少年男子と少年女子は、伊万里実業高校を中心としたメンバーで構成される予定です。

クラブができて20年あまり、今では年代別の日本代表も数多く輩出しています。
西山さんの同期には、東京オリンピックに出場した鳥山麻衣選手などもいます。
オリンピアンも誕生するなど、着実に力をつけて、そのすそ野が広がっていると感じました!
                       (取材・構成:アナウンサー 飯塚洋介)

2024年に佐賀で開かれる国スポ・全障スポに向けて、県内20市町のそれぞれ魅力を伝えるプロジェクト「さがめぐりまるっと20」。こちらの特設サイトには、動画も掲載しています。ぜひご覧ください。

  • 飯塚洋介

    NHK佐賀放送局アナウンサー

    飯塚洋介

    札幌局時代に、アイスホッケーは数多く取材してきましたが、フィールドホッケーの取材は初めて。氷の上とは異なる、スピード感やテクニックに圧倒されました。

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