佐賀 合格祈願!白銀に輝く 多久聖廟の手作りイルミネーション
- 2024年01月11日
多久市特集!イルミネーション中継
国スポ全障スポに向けて県内20市町の魅力を再発見するプロジェクト「さがめぐりまるっと20」。12月18日~の週は「多久市」特集でした。
多久市の観光名所と言えば、多久聖廟は欠かせないですよね。儒学の祖・孔子を、「学問の神様」としてまつる国の重要文化財です。実は、この多久聖廟の敷地内では、毎年12月中旬から1月中旬にかけて、地元の方たちが手作りしたイルミネーションが行われています。普段とは一味違った景観になっている、ということで、生中継を計画。当日現場に向かうと・・・
現場到着・・・ところが
この冬一番の寒気が流れ込み、あたり一面、銀世界。「一味違った」景観を求めて来たのは確かですが、これは別の意味で、普段と違いました。
明るい時間に到着しましたが、手元の温度計はすでに0度台、標高50mほどにある多久聖廟周辺には、すでに雪が5センチほど積もっていました。それでも、地域の方たちが一生懸命準備したイルミネーションを皆さんにお伝えしようと、技術スタッフと鼓舞しあいながら、準備を進めました。
そして、中継本番の時間を迎えました。
雪の世界を照らす イルミネーション!
多久聖廟の敷地内に入ると、イベント広場に設置されたイルミネーション。午後6時台とあって、あたりはすっかり暗くなっていましたが、白い雪が光を反射して、雪のない時よりも美しく見えました。
イルミネーションは、地域の住民たち総勢60人ほどが協力し、5日ほどかけて手作りで設置したもの。ことし15回目を迎えました。
イベント広場の真ん中に君臨するのは、青く浮かび上がる滝をバックに、2頭の「龍」。
龍は、多久聖廟の象徴のひとつで、建物には100を超える龍の装飾が施されています。その龍が、イルミネーションでも主役に。2024年は「辰年」ということで、龍もひときわ張り切って光っているように見えました。
一方、外の気温はというと・・・マイナス0.4度!吐く息は真っ白。でも、イルミネーションを楽しむにはこの雪景色がぴったりです。イルミネーションが光り出すと、雪にも関わらず、地元の方が何人も訪れて、光に見入っていました。子どもたちは雪にダイブ。憩いの場に寒さは関係ないですね。
テーマは “合格祈願”!
このイルミネーションには、実はテーマがあって、それは「合格祈願」。
多久聖廟と言えば、先ほどお伝えしたように、儒学の祖・孔子を「学問の神様」としてまつる場所。受験シーズンの冬は、多くの受験生が県内外から成功を願いに訪れます。
例えば、イベント広場を囲むように光り輝く木々。暗い中、目を凝らしてみると、すべて桜の木です。この時期は葉も落ちて、裸の状態ですが、ピンク色の電飾をつけて、開花。合格の「サクラ咲く」をイメージして作られていました。
また、冒頭で紹介した龍。これも「蟠龍(はんりょう)」という姿の龍で、ちゃんと意味が込められています。天に飛び立つ前に、地面でとぐろを巻いている様子をこう呼び、多久聖廟の天井にも、この蟠龍が描かれています。受験生が天に昇る=次のステージに進むために、虎視眈々と準備する姿が想像されます。
イルミネーションの光には、確かに「合格祈願」の思いが込められていました。
いちばんの見どころ「光のトンネル」
そうした合格祈願のイルミネーションで、最も力を入れたというのが、こちら。
光のトンネル。その形に、注目すると・・・枠が5角形。5角、5~角、合格!ということで、「合格門」と名付けられました。イベント広場から多久聖廟までの参道40メートルが、このブルー1色のトンネルで囲まれています。
くぐってみると、とても明るい!LED電飾は、イルミネーションすべて合わせるとおよそ30万球も使われているそう。
実は去年まで20万球だったそうで、15回目の節目のことしは、1.5倍にパワーアップ。地域を盛り上げてほしいという人たちからの寄付のほか、多久市の補助金や地元企業の協賛によって成り立っているということでした。
トンネルは参道に合わせて、ゆったりとしたカーブになっていますが、市内の大工さんも加わって、難しい曲線も作り上げました。木枠は、地元の皆さんで山から切り出してきたものだそうです。木を切るところから、手作りなんです。
トンネルを抜けると「ライトアップ多久聖廟」
光のトンネルを満喫してくぐり抜けると、奥に見えるのは、ライトアップされた多久聖廟。夜の雰囲気も相まって、より神々しく見えました。
生中継の前に聖廟の前までいくと、そこには願いを込めた絵馬がたくさん吊り下げられていました。
大変失礼して、読ませていただくと、志望校や進路、就職・・・いろいろな願いがしたためられていました。そのなかで印象的だったのは、自分ではなく、「友人」や「家族」の成功を願う絵馬がとても多かったこと。頑張る人の裏には、多くの「応援する人」の姿があることを感じて、温かい気持ちになりました。本当に、自分の力を信じて、成功をつかんでください!
イルミネーションを手掛けた「多久美化クラブ」
イルミネーションを手掛けたのは地元の市民団体「多久美化クラブ」。団体を率いる南里(なんり)カヂ子さんにお越しいただきました。
多久美化クラブには、30代から80代までの市民60人ほどが所属していて、年間を通じて地域の清掃や花壇の手入れなどの活動をしています。
15年前に始まったイルミネーションも毎年の定番行事に。皆さんどんな気持ちで作っているのか南里さんに伺いました。
「1年目よりも2年目、2年目より3年目という思いで地元のみんなで取り組んできて、15回目という節目を迎えることができた。だから、ことしはGO!GO!(5!5!)という気持ちで頑張ることができました。イルミネーションを見て、合格門をくぐってもらって、多久聖廟にお参りすることで、みんなにマル印が来ることを願っている。」
「来年は、辰年にちなんで、飛び上がるような多久、明るい多久になるように、またみんなで頑張ろうと思います。」
多久美化クラブには、来年も大活躍してほしいと思っています。多久聖廟のイルミネーションは、2024年の1月15日まで。日没の午後6時から午後9時ごろまで行われています。入場は無料です。
取材後記
多久美化クラブを代表して、今回は南里さんに出ていただきましたが、団体には最高齢で80代の方もいらっしゃって、お元気に活動にあたっています。ほかのメンバーの皆さんも、寒い中で現場に訪れていただいて、声をかけてもらいました。皆さんが主導して「地域で作り上げている」ことがわかりました。合格祈願だけではなくて、地域のおもてなしの心が詰まったイルミネーションだと感じました。放送に協力してくださって、本当にありがとうございました。