いまサガインタビュー 小城市手話サークル代表 本村恵さん
- 2024年01月10日
2024年 全国障害者スポーツ大会を手話でサポートしたい
2024年は佐賀県で全国障害者スポーツ大会(全障スポ)が開かれます。
小城市手話サークルでは、全障スポに向けて、ボランティアとして聴覚障害のある方への情報提供やコミュニケーション支援を行うため、県の研修などを受けてさらに手話のスキルを磨いて準備しています。
サークルの代表、本村恵(もとむら・めぐみ)さんに、佐賀に来る聴覚障害のあるスポーツ選手や関係者、応援に来た方などを手話でサポートすること、また手話を学ぶことで考えてほしい気づきについて伺いました。今回は手話でもお答えいただきました。
小城市手話サークルの活動は20年以上。2024年の全障スポでボランティアとして活動するために、県の講習会に参加して準備をしているそうですね。
手話通訳者の育成には時間が必要なので、4,5年前から準備しています。
目前に迫っていますので、ボランティアのみなさんは、実際に会場に行って見学したりいろいろな障害者のスポーツを体験したりしています。
全障スポでの手話ボランティアの役割
ボランティアのみなさんは、それぞれの手話の技術に合わせて活動します。
例えば、佐賀駅や佐賀空港で出迎えをしたり、会場の受付で通訳のサポートをしたりします。
さらに、手話通訳の資格を持っている人たちは、聞こえない選手について通訳をしたり、会場での音声アナウンスを手話通訳したりします。
自分に合わせて自由に参加
サークルのメンバーは約40人。聴覚に障害がある方は3人ほどです。
活動は、毎週火曜日の午前中と、毎月第2、第4木曜日の夜に行っています。
それぞれ自分の都合に合わせて自由に参加しています。
先日のサークル活動にお邪魔しました。
サークルでは手話で会話するんですか?
聞こえる人も聞こえない人も、基本的に手話で会話します。
テキストを使った受講かと思っていましたが、実践形式で覚えていくんですね。
歌を歌いながらとか、絵本の読み聞かせなどを手話で表現しながら覚えることも多いんですよ。
「好き」と「大好き」の違いを追求されているのが印象的でした。
手の表現だけでなく、表情でも伝えることが大切なんです。
原点は「ありがとう」が言えなかったこと
本村さんご自身は聴覚に障害はありませんが、
なぜ手話を身につけようと思われたんですか?
佐賀から福岡に引っ越してきて、年末に行き来したときにJRの中でたまたま聞こえない方が4人手話で会話をされているのを見ました。
そしたら、声はないのにとっても明るくて楽しそうだったんです。
そのうち、小さい娘を連れた私にその方たちが席を譲って下さったんですが、私はその時「ありがとうございます」が言えなかったんです。
それがずっと頭にあって、その後、地元で手話の講座があるというのをきっかけに始めました。
それが原点で、今では手話通訳士としても活動されているんですね。
地元の小中学生を対象にした「手話の福祉学習」
本村さんたちは、地元の小中学生を対象にした「手話の福祉学習」という講座も、社会福祉協議会と連携して行っています。
なぜ、子どもたちに手話を教えているんですか?
ほとんどの子どもは聞こえている。だから耳で聞いて、声で話す。
でも、手話という別のコミュニケーションで暮らしている人がいるんだよ、それが当たり前のことなんだよっていうことを知ってほしいと思っています。
子どもたちの反応はどうですか?
手話の「あいうえお」の資料をもらうと、自分の名前をすぐに手話でできるようになります。
自分の名前できたよ!見て見て!って言ってくれます。
吸収力がすごいんですね。
しかも積極的に向き合ってくれるんですね。
みんなが楽しく過ごせる社会になるといい
本村さんの今後の目標を教えて下さい。
聞こえる人、聞こえない人関係なく、それぞれに自分に合ったコミュニケーションで、楽しく、自由に暮らせる社会になったらいいなと思っています。
手話という手段でコミュニケーションができるということをきっかけに、世の中には色んな人がいるんだよ、それぞれに合った必要なコミュニケーションを身につければみんなが楽しく過ごせる社会になるんだよということを伝えていきたいです。
改めて、全国障害者スポーツ大会への意気込みを聞かせて下さい。
間近に迫ってきました。県でも講習会が開かれています。
地域の私たちのサークルでも、少しずつ手話の技術を磨いたり、ボランティアの気持ちを育てていきたいと思っています。
「小城市手話サークル」代表 本村恵さん、ありがとうございました!
取材後期
本村さんが代表を務める「小城市手話サークル」の活動にお邪魔した際、メンバーのみなさんがとっても穏やかで、楽しそうで、生き生きとされているのが印象的でした。
手話の勉強以外にも、地域の保育園などで手話で歌や踊り通して「手話って楽しいコミュニケーションなんだよ」ということを伝えようとがんばっていらっしゃいました。
手話だけでなくその他の様々なコミュニケーションの方法があって、どの方法で会話してもそれは当たり前のことなんだよ、みんなが楽しく自由に暮らせる社会になったらいいよねというメッセージが印象に残りました。