路線図40年でどう変わった? 蔵出し映像でたどる地域の鉄道
この40年で、多くの地方鉄道が姿を消しました。国鉄民営化が議論されていた1981年と、2020年を路線図で比較します。廃線になった路線を含む、NHKが保存する全国各地の鉄道の映像もご覧になれます。
全国
北海道
国鉄時代に北海道の隅々まで走っていた鉄道は、この40年で次々と廃止されました。
JR北海道が発足した1987年には幌内線が廃止、翌年には青函トンネルが開業して本州と結ばれましたが、1989年には名寄本線・天北線といった長距離路線が姿を消しました。
2016年11月にはJR北海道が「道内の路線の半分以上は維持困難」と発表。その後も2020年に札沼線の北海道医療大学駅―新十津川駅間、2021年に日高線の鵡川駅―様似駅間を廃止するなど、厳しい経営が続いています。
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東北
1981年の路線図には、まだ東北新幹線はありません。
盛岡駅まで開業したのが1982年、その後2002年に八戸駅、2010年に新青森駅と延伸しました。
岩手県三陸沿岸のリアス線も1981年時点では未完成です。1984年に田老駅―普代駅(北リアス線)・釜石駅―吉浜駅(南リアス線)がそれぞれ開業しました。
岩泉線は2010年に発生した土砂崩れの被害から復旧することなく、2014年に廃線となりました。
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関東
1997年、長野新幹線(現在の北陸新幹線)の開業で、信越本線の碓氷峠区間(横川駅―軽井沢駅)が廃止され、2020年の路線図ではその区間が途切れています。
茨城県内では筑波鉄道(1987年)や鹿島鉄道(2007年)が廃止される一方で、1985年には鹿島臨海鉄道、2005年にはつくばエクスプレスが開業するなど路線図に大きな変化がありました。
1980年代から90年代にかけて埼京線や京葉線が開業、2010年には成田空港への新たな路線が完成するなど、首都圏の鉄道ネットワークは変化を続けています。
東海北陸
石川県の能登半島では、のと鉄道七尾線の穴水駅―輪島駅間が2001年に、能登線(穴水駅―蛸島駅)が2005年にそれぞれ廃止されています。
愛知県や岐阜県では、揖斐線・谷汲線・三河線(一部区間)といった名古屋鉄道のローカル線が2000年代に相次いで廃止されました。
静岡県にあった清水港線は、1960年には「国鉄一の黒字路線」になったこともありましたが、1984年の廃止時には通学用の列車が朝晩1往復走るだけになっていました。
近畿
兵庫県内では高砂線(1984年)や鍛冶屋線(1990年)が廃止になっています。
明延鉱山にあった明神電車は「1円電車」とも呼ばれ、その名前の通り1985年に廃止されるまで片道運賃は1円のままでした。
和歌山県内を走っていた私鉄のうち野上鉄道は1994年に、有田鉄道は2002年に廃止されました。
大阪近郊では、大阪モノレール・阪神なんば線・近鉄けいはんな線などが新たに開業。
1994年に開業した関西空港には、JR西日本と南海電鉄が乗り入れています。
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中国四国
島根県の大社線は、旧国鉄の赤字ローカル線のなかで最後まで残っていましたが、1990年に廃止されました。
広島県と島根県を結んでいた三江線は2018年に廃止。JR発足以降、本州で100キロを超える路線が廃止されたのは初めてでした。
一方、JR可部線は2003年に可部駅―三段峡駅間が廃止されましたが、2017年には可部駅―あき亀山駅間が再び開業。
いったん廃止された鉄道の区間が復活するのは、JR発足以降全国で初めてのことでした。
四国では予讃線の内子経由のルートが1986年に開業、1988年には瀬戸大橋線により本州と鉄道で結ばれました。
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九州沖縄
福岡県の添田線・勝田線・上山田線など、かつて筑豊地区の石炭輸送に活躍した路線の多くが、国鉄再建に伴って姿を消しました。
九州南部では鹿児島交通枕崎線(1984年)・大隅線(1987年)・志布志線(1987年)・山野線(1988年)などが廃止されています。
宮崎県の高千穂線は、第三セクターの高千穂鉄道に転換後、2005年の台風14号による被害を受けて廃止となりました。
沖縄では2003年にゆいレールが開業しました。それまでは戦前の軽便鉄道以来、60年近く「鉄道のない県」でした。