ページの本文へ

滋賀WEBノート

  1. NHK大津
  2. 滋賀WEBノート
  3. 1枚の絵が「紫式部特別電車」に!! 別井敬之アナが密着

1枚の絵が「紫式部特別電車」に!! 別井敬之アナが密着

「源氏物語」ゆかりの地・大津を盛り上げるラッピング電車 出発進行
  • 2024年04月25日

「紫」の電車

4月20日、滋賀県大津市を走る京阪石山坂本線に新たなラッピング電車がお目見えしました。

ラッピング電車 四宮駅に700形が入線するのも貴重

京阪といえば「緑」ですが、この電車は「紫」。

さらに、遊覧船や桜満開の琵琶湖疏水など現代の大津を紫式部が旅する様子が描かれています。

びわ湖ではおなじみのあの船と紫式部
平安時代にはまだ存在しなかった琵琶湖疏水の桜とともに

車内は吊り輪の色も紫に。

大河ドラマ「光る君へ」の放送にあわせて大津の観光を盛り上げようと、京阪電鉄が走らせるものです。

デザインを手掛けたのは、水戸星七(みと・せいな)さん・24歳。

ヘッドマークを掲げる水戸星七さん

実はこの電車、水戸さんが描いた1枚の絵から生まれたのです。

水戸さん

まさか、ちょっとしたお話からこんなに大きくなったので、本当にうれしく思っています。驚きの方がちょっと強いですけど。

なんでも描きます!ホテル公式「イラストコーディネーター」

水戸さんは、大津市内のホテルでレストランの接客を担当しています。

接客する水戸さん

幼い頃からイラストを描くのが大好き。その腕を見込まれ、ホテルのあらゆるイラストを手がけています。

名刺には“イラストコーディネーター”の肩書が。

作業はびわ湖の見える部屋で

相棒は33色の色鉛筆。
アクリルなども試しましたが「繊細さが出せるから」と、いまは色鉛筆「一択」だといいます。

水戸さん

きっかけは、レストランで日本酒の飲み比べをする際にわかりやすいようにラベルの絵を描いてお出ししたところ、それが上司の目に留まり『ほかにもいろんなものを描いてみない?』と言われて。
いまでは、日本酒ラベルに、ホテル周辺の山野草を描いた絵ハガキ、散策マップ、サイクリングマップにレンタサイクルのポスター、ショップのメニューとポップ、大浴場の『きょうはゆずのお湯ですよ』という絵などなど。
何種類かはわかりませんが、依頼があれば全部描くようにはしています。

メニューの挿絵からラッピング電車に

1月、レストランで行われる会席のメニューに“挿絵”を描いてほしいと依頼を受けた水戸さん。

鉄道会社の幹部が出席すると聞き、思いついたのが、、、

水戸さんの挿絵が載ったメニュー(実物)

電車に乗って現代の大津を旅する紫式部の姿でした。

この絵が関係者の目に留まり、ラッピング電車の実現に動き出したのです。

水戸さん

役員会の方たちが『だったらこれを電車にラッピングしよう』という風に言われて、そのときは「ありがとうございます」と言って。
はじめは車内の吊り広告のところにするのかなと思っていて、それだけでも光栄だと思っていたのに、、、

水戸さん

実際に話がきたら外側のラッピングの話で。次の日にはもうその話がきて、トントン拍子で依頼などがあって、いまに至ります。

水戸さんは、2両編成にラッピングを施すためにイラストを増やし、あわせて4枚を作成しました。

装飾を施されるのは700形の705・706編成。

1992年製 元500形

運転開始の2日前、大津市の錦織車庫で「紫」に変身しました。

ヘッドマークも装着し最終確認

初日限りの特別運転 紫式部の足跡をたどる「石山詣」

4月20日。

記念すべき、この「紫」のラッピング電車の最初の運転は、特別な経路で行われました。

平安貴族が都から石山寺をめざした「石山詣」にならい「京都(四宮)発、石山寺行」

京津線から石山寺への直通は10年ぶり

紫式部も辿ったとされる道のりを、令和の時代に再現する1本限定の特別運行。

かつては京都の中心部・三条と結んでいた京津線が、地下鉄に乗り入れるようになって以降、普段石山坂本線を走る2両編成の電車が京都市内を走ることはなくなりました。

京阪電鉄によれば、10年前に臨時列車として走って以来だそうです。

1本だけの「令和の石山詣」特別電車

水戸さんは「車掌」として乗り込み、アナウンスも担当。

車掌マイクでご案内

魅力あふれる大津へ、たくさんの方にお越しいただきたいという思いでデザインいたしました。
この電車は、逢坂山を越えて、紫式部が「源氏物語」の着想を得たといわれる石山寺へまいります

「源氏物語」にも登場する逢坂山はトンネルで通過。

逢坂山トンネルを抜ける(700形車内より)
山を越え大津の町へと進むラッピング電車

平安貴族が1日かけて歩いたところを、特別電車は30分で石山寺に到着しました。

駅も紫
石山寺駅では「紫式部図」がお出迎え

(電車のイラストの)この絵は誰が描いたのかななんて思いながら見ていただくだけでもう私は幸せでございますので、乗りながら紫式部や「源氏物語」ゆかりの地を巡っていただけたらうれしいです。

やっぱり見たい!! 「光る君へ」号との並びを公開!

別井アナ

ところで、どうして「紫式部を電車に乗せて現代の大津を観光してもらう」というイラストを思いついたのですか?

水戸さん

大河ドラマを実際に見ていて、紫式部を題材にした絵を描きたいなとずっと考えていて。みんなが思いつかないようなものを描いた方が目に留まるかなというのはありました。
あとはわかりやすさ。「これ、京阪電車じゃん!」と気づいていただける。
「まひろ」(吉高由里子さん演じる主人公・紫式部)は、いろいろなものに縛られて過ごしているのを見て、もし現世でなんの縛りもなく散策できたり観光できたりしたら、きっと汽船や琵琶湖疏水の桜を楽しんで見たのかなと、想像して描きました。

また、京阪石山坂本線といえば、2月から大河ドラマ「光る君へ」のラッピング電車が走っています。

現場の皆さんには「光る君へ」号と呼ばれています。

運転初日は、途中すれ違うことはあっても駅での「並び」は実現していません。

実は、錦織車庫での作業が済んだところで、今回の「紫」のラッピング電車と「光る君へ」号が並んでいるんです。
そのときの写真を公開します!!

「光る君へ」号と「紫」ラッピング電車
「まひろ」と紫式部

この紫のラッピング電車は、当分の間、滋賀県大津市の京阪石山坂本線(石山寺~坂本比叡山口)で運転されます。

ページトップに戻る