与那国島 最西端のクリスマスパレード
- 2023年12月27日
最西端のクリスマスパレード
日本で一番遅く太陽が沈む島・与那国。
日没後の集落にやってきたのは、キラキラ輝くイルミネーションで飾りつけられた車・車・車。
クリスマスの時期、与那国島の恒例行事となっているクリスマスパレードです。
まるでテーマパークが現れたかのよう。
このパレードのキャストは島の若者たち。
なんと20年ほど前から行われています。
準備はトップシークレット
イルミネーションを飾りつける作業はトップシークレット。
子どもたちに見つからないように、集落から離れた倉庫でおよそ2週間、準備を重ねてきました。
仕事が終わった後にみんなで集まり、夜遅くまでかかって車を飾りつける日々。
本番当日のこの日は子どもたちを喜ばせるための最後の仕上げです。
夕暮れまであとわずか。準備の状況を聞いてみると・・・。
ギリギリじゃない(笑)
そう答えるのは、5代目代表の杉本茂之さん(33歳)です。
子どもたちもやっぱり楽しみにしてる分、毎年毎年形も変えながら楽しんでほしいなっていうことで、ことしも寒い中みんなが頑張って準備してくれたんで、子どもたちも喜んでくれると思っています。
与那国島は人口およそ1700人の小さな島。
子ども向けのイベントが少なく、子どもたちのために何かしてあげたいと、有志で始めたのがこのクリスマスパレードでした。
コロナ禍で開催できなかった年もありましたが、20年ほど続いています。
子どもたちを楽しませたいという思いから毎年デザインを変えていて、その規模は年々大きくなり、今では車が4台にまで増えました。
参加する若者たちは“元・子ども”
ここ数年でメンバーもすっかり代替わりし、今は20代から30代の若者たちが中心です。
進学などのために一度は島を離れて戻ってきた若者たち。
子どものころに見たパレードがメンバーになるきっかけでした。
パレードが上から、山から下りてくるのをみんなで下から見てるっていう景色だけ覚えてて、すごいいい思い出だなって思います。
なかには、親が担っていた役割を引き継いだ人も。
去年就職で帰ってきたときに、親父がアナウンスを引退することになって、じゃあおまえがアナウンスやれってことになって去年からアナウンスさせてもらってます。町民は知ってる人が結構いるんで、ちょっといじってみたりとかしてます。
いよいよ子どもたちのもとへ!
サンタやトナカイの格好に着替えて準備は完了!
いよいよ子どもたちのもとへ向かいます。
2日間かけて島内にある3つの集落すべてをまわります。
「メリークリスマス!比川集落のみなさん、ことしもサンタがやってまいりました!プレゼントを配りますのでみなさんお越しください!」
キラキラ輝くイルミネーションに集落の人も続々と集まってきます。
子どもたちはもちろん、大人たちも大喜び。
サンタからお菓子や風船をもらったり、写真を撮ったりして楽しんでいました。
この日はさらに山を越えて隣の久部良集落へ。
島中の子どもたちに年に一度のクリスマスプレゼントです。
パレードを企画した若者たちも子どもたちの様子を見て嬉しそうです。
ことしもたくさんの子どもたちの笑顔が見られて嬉しかったです。よかったです。
寒い中でしたけど、子どもの笑顔でだいぶあたたまりましたね。
やっぱり子どものことが一番。島の活気づけっていうかたちで今後ともずっとこれが続いていけたらいいかなと思います。自分たちの次につなげていくようなかたちになっていったら、自分もそれが一番嬉しいですね。
帰っていくパレードにむかって子どもたちからは、
「またあそびにきてねー!メリークリスマース!!」
なごりを惜しむかわいい声がキャストたちへの最高のクリスマスプレゼントになりました。
【取材後記】
小雨が降ったりやんだりの天気でしたが、キラキラ輝くクリスマスパレードには多くの子どもたちが集まっていました。
「去年はインフルエンザにかかっていて見られなかったけど、ことしは見られた!」と嬉しそうな子も。
代表の杉本さんは「与那国島には高校がないため、ほとんどの子が中学を卒業すると島を離れてしまいます。クリスマスパレードが島で過ごした思い出の一つになってほしいですね。」と話していました。
島を盛り上げようとする若者たちと、嬉しそうな子どもたちの様子に心が温かくなりました。