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沖縄伝統の踊りカチャーシー 原アナが体験 基本から教わる

おきなわHOTeye カルチャー探訪
  • 2023年12月19日

NHK沖縄放送局アナウンサーの原大策です!

沖縄伝統の踊り「カチャーシー」。
みなが手を振り上げて、会場が一体となって踊る光景は、沖縄の宴会や結婚式には欠かせないものとなっています。
でも私のような沖縄に来たばかりの人にとっては、踊り方がわからず、戸惑ってしまうもの。
そこで、カチャーシーの踊り方の基本と、どんな踊り方が観る人をひきつけるのか調べてきました!

街の人はカチャーシーを踊れるのか?

踊り方を教わる前に、まずは街の人たちにカチャーシーが踊れるのか聞いてみます。

60代男性:
「コツっていうか、こうやってね。窓を開ける、閉めるっていうか。」

70代女性:
「習う人もいると思うけど、そんなに踊りみたいにこうやるってことはないんじゃないかな。
見てやるっていうような。」

こちらの20代男性も巧みに踊りながら答えてくださったので、誰から教わったか聞いてみると…
「みんな多分、見よう見まねでしょう、沖縄は。みんな踊れると思います。音が鳴れば。」

20人くらいに話を聞いたのですが、沖縄出身の方はほとんど踊ることができました。
ただ、踊り方は人それぞれ。みなさん、見よう見まねで覚えたそうです。

レジェンドに教わる基本の踊り方

次に、基本の踊り方を教わりに、カチャーシーを練習している団体を訪ねました。

メンバーは30人ほど。
半数は県外から練習しにきている熱の入れようです。
毎年 宜野湾市で開催される県内最大のカチャーシー大会で、何度も優勝した経験がある実力派です。

宜野湾市で開かれた ことしのはごろも祭りの様子

教わったのは、代表の前川朝進(まえかわ・ちょうしん)さん。
大会の個人の部で4回、大賞を受賞した、まさにカチャーシーのレジェンド!
 

原アナ

カチャーシーはかき混ぜるが語源だといわれますけど、何をかき混ぜているんですか?

前川さん

幸せな気持ちになってるでしょ。
幸せなエネルギー、プラスのエネルギーが充満しているわけですよ。
それをカチャーシーでかき混ぜるからカチャーシーという人もいます。

原アナ

かき混ぜてどうするんですか?

前川さん

みんなで幸せを分かち合う。

沖縄には様々な種類のカチャーシーがありますが、多くに共通する基本の動きを教わります。
 

<ポイント①足の動き・蹴り足>
リズムにのって、足をけり上げるように一歩ずつ進みます。

原アナ

ちょっと足先を外側に開く感じですか?

前川さん

それがきれいですね。
この時、体の中心がぶれないようにするのがポイントです。

<ポイント②手>

前川さん
 

二つ目のポイントは、手です。
上手に見えるコツ。
自分に近づける方をきゅっと内側に向けて。離す方を外側に。

目は動かさなくてOK
前川さん

きれいなグーのこねり手。

原アナ

これ、こねり手っていうんですね。

前川さん

ここで裏技を教えよう。

なんてことはない普通のテニスボール

渡されたのはなんとテニスボール
ボールを持つと、手首を回転させる感覚が分かりやすくなります。
 

ボールを軸に手首をクルリと回転

<ポイント③腰(るーぶい)の動き>

前川さん

3つ目、それはるーぶいです。

原アナ

るーぶい

前川さん

腰の動き。上下に軽くゆする。

体を上下に揺らすこの動き。
忘れがちなこの動作が、カチャーシーのキモになるといいます。

なんとか踊れるように…

教わったポイントを意識して踊ってみると、何とかそれらしく…。

でも、みなさんの動きは、より美しく、楽しく見えますよね。
この差はどこからくるんだろう? 

踊り方は様々

科学で分析 人を惹きつける動きは?

名護市にある沖縄工業高等専門学校

カチャーシーの動きを科学的に分析している人がいると聞き、名護市にある沖縄工業高等専門学校を訪ねました。

神里志穂子(かみさと・しほこ)教授。
人の動きを細かく分析することで、福祉の分野で生かす研究が専門。
カチャーシーの動きが、見ている人にどんな印象を与えるかを研究しました。

原アナ

ずばり人にいい印象を与えるためにはどんな動きがポイントになるんですか?

神里教授

人に、おっ、スゴイなと思わせる動きっていうのが、複雑な動きの組み合わせから成り立っているというふうに結論づけます。

ここで、研究に使った動画を見せてもらいました。指先の動きが、赤と緑の線で示されています。

こちらの動画では、手の動きが比較的、単純なように感じます。

神里教授

一般的なカチャーシーの動き、カチャーシーを踊ってくださいと沖縄の人にいうと、こういう動きの繰り返しをみなさんされるかなと思います。

右側:手の動きがより複雑に

次に見せてもらった動画では、赤と緑の線が、先ほどの動画より、より広く、複雑になっているのがわかります。

神里教授

こちらの動きは、ちょっとだけ複雑な感じがするかなと思います。単調な動きというよりも、手先だったり、“こねり”だったりというところを組み合わせた形で、より表現を複雑にしていくと、工夫しているなというような形で好印象の踊りを踊れると思います。

さらに ”下半身の動き"も重要だといいます。

下半身が動かないCG
神里教授

下半身だけの動きを見てもらいたいんですが、下半身が 何も動かない状態で、手だけが優雅に動いたとしても、あまり動的というか明るい感じというか、そういうような印象は持たないかと思います。

原アナ

たしかに…!

下半身の上下運動(るーぶい)を取り入れた動画を見せてもらうと…。

下半身を動かすCG
神里教授

今度はひざとか、股関節も一緒に動かすっていうので、
手の動きが早く感じるような印象がないですかね。

原アナ

あります!
これ、手の動きは一緒なんですか?

神里教授

同じです。躍動感というか、動きが活発になったような印象を与えるかと思います。

原アナ

本当だ! なんでこんなに、上半身の印象まで、下半身で変わってくるんですか?

神里教授

たぶんそれは、躍動感みたいな、明るいとか、そういうのの印象には下半身の動き、上下の動きっていうのがさらに重要になってきていて、それを組み合わせることで、より人にいい印象を与えるのだと考えられます。

原アナ

奥深いですね~カチャーシーって!

最後にみなさんと一緒にカチャーシー
みなさんありがとうございました!

喜びを表現し、人と分かち合うカチャーシー。
大切なのは、「幸せを感じる心」と、それを「自在に表現できる動き」の両方であることがわかりました。

今回はカチャーシーの「動き」に注目しましたが、踊り手の前川さんは、「なによりも大切なのは、一緒に踊りたくなる笑顔」だと話していました。
私もこれから笑顔で、のびのびとカチャーシーを踊りたいと思います!

  • 原 大策 (はら・だいさく)

    沖縄放送局 アナウンサー

    原 大策 (はら・だいさく)

    2023年4月から沖縄放送局に勤務
    「おきなわHOTeye」メインキャスター
    離島をはじめ、沖縄の魅力を全身で発信中!

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