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"漬物"にささげる大学生の青春
西垣光(キャスター)
2023年06月16日 (金)
料理を引き立てる名脇役の”漬物”。大分県内の20歳の大学生が作った漬物が、国内コンテストで審査委員特別賞を受賞しました。
漬物に青春をささげる、その思いに迫りました。
20歳の漬物が、国内コンテスト審査委員特別賞!
色鮮やかなにんじん、そしてみかん…。名付けて「パリポリくろちゃん」。この漬物が脚光を浴びたのはことし春のことでした。
4月の漬物グランプリ2023で、別府市の大学生の漬物が、学生の部で審査委員特別賞を受賞しました。どんなこの漬物を作ったのか?
訪ねてみることにしました。
漬物にみかん!? まろやかな「パリポリくろちゃん」
大分市出身で別府大学発酵食品学科2年の永野衣祝(ながの・いのり)さんです。
漬物をつくり始めたきっかけを聞いてみると…。
(永野衣祝さん)
「実習の時にキムチを作ったんですけど、その時に調味液を作って、数グラムの差で味が全然変わるっていうのがおもしろくて」
そして、試行錯誤を重ねて誕生したのが「パリポリくろちゃん」でした。そのお味はといいますと・・・。
(西垣)
「あっさりしてます。酸味がとてもまろやかで、 漬物特有のツンとくる酸味ではなくて、ほんとにまろやかでおいしいです」
パリポリくろちゃんの「パリポリ」は、大根やキュウリなどの食感の音、「くろちゃん」は海藻のくろめを表現しています。
そして私が一番気になったのが“みかん”です。甘さと酸味のバランスをとるためだそうで、これが絶妙なんです。
大分の魅力を伝えるために 食材はすべて大分県産
素材選びにもこだわったという永野さん。買い出しについて行ってみることにしました。
永野さんが購入する素材は、野菜だけではなく、かぼす果汁やしいたけパウダーなどすべて大分県産。こうした食材をもとに、
「多くの世代の人に親しんでもらえる漬物」を目指したといいます。
(永野衣祝さん)
「浅漬けなんで、さっぱりしたさわやかな後味にしたかったんですけど、お酢を使うとお酢が苦手な人というのも中にはいらっしゃるので、酸っぱいだけでなく、その中にまろやかさも入れたくて工夫をしてみました」
永野さんが大分の食材にこだわったのは理由がありました。大学で出会った県外出身の友人たちが大分のことを知らず、
「大分の魅力をもっと知ってほしい」という思いを強くしたためです。
「パリポリくろちゃん」を友人たちにも試食してもらいました。大分の魅力は伝わったのでしょうか。
(福岡県出身の友人)
「くろめとか聞いたことなかったので、食べてみて、めちゃ相性良いなと思いました」
(宮崎県出身の友人)
「ご当地のものを食べて、本当においしいと思った」
漬物にささげる青春
日に日に強くなっていく漬物への探究心。ことしの春休みも、友人たちが旅行などで学生生活をおう歌する中、永野さんは漬物づくりに打ち込みました。こうした熱意が漬物グランプリでの快挙につながり、学内でもビッグニュースとなりました。
担当の大坪素秋教授は、パリポリくろちゃんが評価されたのは、味や彩りはもちろん、地域の食材をふんだんに使ったところだと分析しています。
(大坪素秋教授)
「私が思うに、パリポリくろちゃんのくろめですね。大分の特産で、なかなか、ほかの県の人たちは知らないと思うので、そういった大分の地域性が入っている作品だということで、評価されたんじゃないかと思います」
漬物に青春をささげる大学生。夢は膨らむばかりです。
(永野衣祝さん)
「今回この漬物グランプリで自分のオリジナルのお漬物を始めて作ったんですけど、初めて商品開発がおもしろいなって感じたので、将来は商品開発ができる企業に入りたいなと思っています」
永野さんと話をしていると、漬物会社のプロの職人にアドバイスをもらいにいくなど、漬物づくりにいかに本気で取り組んでいるのかが
ひしひしと伝わってきます。
気になるパリポリくろちゃんの作り方ですが、残念ながら、今後の商品開発を見据え、 秘密ということです。
その永野さん、漬物以外にも今、注目している食材があるそうなんです。
それはいま、国際的にも注目が集まっている昆虫食です。研究熱心な永野さんなら、またびっくりするような昆虫食を生み出すかもしれません。
忙しい学生生活だと思いますが、これからも 応援したいと思います。