ページの本文へ

  1. トップページ
  2. 地域の話題

地域の話題

トリニータ前監督・片野坂知宏さんが斬る!~第40節秋田戦 勝利のカギは?~

アナウンサーの西岡遼です。サッカーJ2リーグのシーズンは最終盤。残すところ3試合となりました(vs 秋田、金沢、群馬)。 この記事を書いている第39節終了時点で、トリニータは11位。J1昇格プレーオフ圏内である6位長崎との勝ち点差は4。 大変厳しい状況ですが、まだ昇格の可能性は残されています! NHK大分では、第40節秋田戦を生中継!(10月29日(日)午後1時~ 総合・大分県域) 大事な試合に向け、秋田戦での解説もお願いしているトリニータ前監督の片野坂知宏さんに、勝利のポイントやカギとなる選手について伺いました! (片野坂知宏さん) 鹿児島市出身の52歳。現役時代は広島や柏などで左サイドバックとして活躍し、2003年にトリニータで現役を引退。2016年にトリニータの監督に就任し、1年でJ3からJ2に復帰させる。さらに2018年にはJ2で2位に入り、チームとして6年ぶりとなるJ1復帰へ導き、J2優秀監督賞受賞。監督として自身初挑戦となった2019年のJ1では、予算規模が小さいなかで9位に押し上げ、J1優秀監督賞を受賞した。2021年に退任となったものの、指揮官として最後の試合となった天皇杯ではクラブ初の準優勝に輝いた。現在は解説者として活躍中。  カタさんが見る 最近のチーム状況 トリニータのシーズン前半(第1節~第21節)と後半(第22節~第39節)を比較しました。 シーズン前半折り返しまで2位だったものの、そこから勝ち点を積み上げられず今の順位にいます。 片野坂さん「シーズン中盤から主力選手のけがが相次いで、序盤の勢いを維持するのが難しくなった。フォーメーションの変更などで修正を図ってきたものの、ピッチ内の選手間で意思疎通がうまくいっていなかったように感じる」。 と分析。 「ただまだ昇格の可能性は残っている。見ている限り選手たちは、残り全試合の勝利に向けて準備していますね」とチームの練習を見ながら話してくれました。   ブラウブリッツ秋田 「走り勝つ」チームスタイル 対戦相手、ブラウブリッツ秋田とはどんなチームなのでしょうか。 現在13位。得点はJ2最少の33で、得点のおよそ半分がセットプレーから生まれています。 失点はJ2で5番目に少ない41です。 秋田の要注意なところは?という質問に、片野坂さんは ▼試合終了まで落ちない運動量  ▼前線からの激しいプレス  ▼奪ったらすぐに前へ放り込むロングボール の3つを挙げました。 片野坂さん「就任4年目の吉田謙監督が志向するサッカーはシンプルで強力。球際に強くいくこと、最後まで走りきること、サッカーの本質の部分で強い。簡単に勝てる相手ではない」。   秋田戦 勝利のポイントは?(攻撃編) では、どうしたら勝てるか?攻撃では ▼先取点をとること  ▼複数点をとること  ▼必ずしもきれいに崩すことにこだわらないこと をポイントにあげました。 そして、カギを握る選手には ◆左ウイングのFW18・藤本一輝選手 ◆中央の攻撃的なポジションFW11・渡邉新太選手をピックアップ! 片野坂さん「藤本選手のドリブルで相手を1枚2枚はがしてチャンスメイクをし、好調な渡邉新太選手を中心に得点に絡むシーンを増やしてほしい」。 と期待を込めます。さらに、 「攻撃の形ももちろん大事だが、このシーズン終盤でより大事なのが『泥臭く得点をもぎとる』こと。きれいに崩し切ることにこだわらず、どんな形であれリスクを恐れず複数得点を狙っていってほしい」とのことです。  秋田戦 勝利のポイントは?(守備編) 次に守備です。相手のストロングポイントである ▼ロングボール・セカンドボール ▼セットプレー・ロングスロー これらへの対応が焦点になると片野坂さん。 カギになるのは、ブラジル人センターバックの◆DF3・デルラン選手 ◆DF・31ペレイラ選手だと言います。 片野坂さん「秋田はFWの選手にどんどんロングボールを入れて、こぼれたボールを高確率で回収して攻撃をつなげてくる。対抗するためにはしっかりとロングボールで競り勝つことが大事。また、セットプレーが秋田の強みでロングスローもどんどん入れてくる。デルラン・ペレイラのセンターバックの高さと強さでボールを跳ね返してもらいたい」と期待していました。 そのうえで片野坂さんは、「無失点で勝利することがとても重要」と指摘します。 「無失点で試合を終えられると、次の試合に向けてメンタル面で大きく上向きになる」とのこと。 秋田戦含めた残りの3試合を勝ち切るためにも、まずは秋田戦を無失点におさえて波に乗りたいですね!    スコア予想は、ズバリ! 「2-0でトリニータの勝利!」 片野坂さん「複数点をとり、無失点で試合を終わらせ、次につながる気持ちよい勝ち方を期待したいです」。   【3連勝でJ1昇格へ望みをつなぐために】 最後に、秋田戦・金沢戦・群馬戦を3連勝でJ1昇格に望みをつなぐためのポイントを教えてもらいました。 「交代選手を生かす」 「展開や時間帯によって、攻め続けるのか・守り抜くのかをピッチ内全体で意思共有をはかる」 「集中力を最後まで切らさない」 の3点。私たちも気持ちを切らさず応援しましょう!   【J2第40節 大分トリニータ vs ブラウブリッツ秋田】 放送:10月29日(日)午後1時~ NHK総合(大分県域) 解説:片野坂知宏さん (実況・西岡遼)ぜひご覧ください!

執筆者 西岡遼
2023年10月27日 (金)

ぶどう名産地 "宇佐市安心院町"のシャインマスカット

種がなく皮ごと食べられて、爽やかな味の シャインマスカット‼ 6月ごろからハウスものの出荷が始まっていて、9月が露地ものの出荷の最盛期となっています。 大分放送局の早川愛キャスターが、旬のぶどうで賑わう街・宇佐市安心院町を訪ねました。   【旬のシャインマスカットを訪ねて】 まず訪ねたのは農産物直売所。 平日にも関わらず、ぶどう売り場には行列が…。 (お客さん) 「横浜の孫に送ってあげようと思って、シャインマスカットとぶどうの詰め合わせを買いに来ました」 (JAおおいた ふれあい市場 安心院店 岩男美智徳さん) 「ことしはぶどうの粒が大きいですし色合いもよいですから、また購入したいというお話もいただいています」    【生産現場へ・・・!】 農家の國年真悟さんです。 安心院でぶどう栽培を始めてことしで6年目。福岡県から移住してきました。 早川キャスター「この袋の中がシャインマスカットなんですよね?」 國年さん「見てみますか?」 早川キャスター「すごい!一粒一粒が大きくてずっしりしていますね!きらきらと輝いています!」 試食した早川キャスター 「パリッとした皮の中に、想像以上にみずみずしい果汁!口に入れた瞬間、ジュースを飲んでいるような感覚です!」   妻と2人でぶどうを育てている國年さん。家族みんながぶどうが好きだったため栽培を始めたそうです。 栽培にあたっての工夫は、土づくり。 堆肥を入れたり、落ち葉を入れたり、麦わらを入れたり…土を柔らかくして根っこが出やすいように工夫をしています。 毎日の丁寧な作業の積み重ねでおいしいぶどうが出来ていることを感じました。   【5年ぶりのワインまつり】 続いて、台風やコロナ禍による中止を経て、2023年に5年ぶりの開催となった「安心院フェア葡萄酒(ワイン)まつり」を訪ねました。 皆さん笑顔で楽しんでいて、久しぶりのワインまつりを待ち望んでいた様子でした。 会場には地元の高校生の姿も!県立安心院高校のみなさんです。 葡萄酒まつりとしては初めてのイベントを企画したそうです。 地元の高校生の視点で安心院の観光名所をバスで巡るおよそ2時間のツアー。 バスの中ではおいしいぶどうの見分け方など、ぶどうについての豆知識なども紹介されていました。  バスを降りて緑豊かな道を歩いていくと、、、 生徒たちがぜひ案内したかったという東椎屋(ひがししいや)の滝が見えてきました。 落差85メートル。日本の滝百選にも選ばれています。勢いよく流れ落ちる姿に、参加者も見入っていました。 (参加したお客さんは・・・) 「高校生が自主的にやっていて好感が持てます」 「生徒さんが上手に案内していてびっくりしました」    高校生による地元愛が詰まった観光ツアー。ほかにも「地獄極楽」という江戸時代後期に掘られた洞窟などにも案内したそうです。若い視点で地域を盛り上げようとする姿が印象的でした。 旬のぶどうで賑わう街、大分県宇佐市安心院町でした。

執筆者 早川愛
2023年09月29日 (金)

香り豊かな青ゆずの魅力 宇佐市院内町

宇佐市院内町で、9月、収穫の最盛期を迎えている「青ゆず」。 県内では、ゆずごしょうに使われることで有名ですが、実は、ひと工夫することですぐに料理にも使えるんです。 今回は、そんな青ゆずの魅力と、おすすめの食べ方をご紹介します。   豊作!院内の青ゆず ゆずを栽培している杉園康信さんです。ゆずを育てて21年。現在は、10アールの農園で、青と黄色、両方のゆずを育てています。 (杉園康信さん) 「去年は大不作でしたが、ことしは大豊作です。ことしは花芽の落ちが少なく、順調にいったんじゃないかと思います」 院内町では、昔からゆずの木が自生していたと言われるほど、栽培に適した土地でした。 (西垣キャスター) 「緑が濃くてきれいですね。青ゆずの特徴は何ですか?」 (杉園康信さん) 「一番は、皮を利用すること。ゆずは香りがいいので、いろいろな使い道があると思います」   皮をすりおろすと、さわやかな香り!青ゆずのおすすめの食べ方 杉園さんのご自宅にお邪魔しました。 青ゆずの香りを楽しむためには、おろし器で皮をすりおろすといいそうです。 皮をすりおろしていくと、いい香りがしてきました。 杉園さんは「青ゆずは皮が命」だと言います。 (西垣キャスター) 「ふわふわ!さわやかな香りです。強すぎない、すっぱい香りがしますが、長く続くアロマのような香りです」 皮をすりおろすことで、より豊かに感じる青ゆずの香り。   料理に使うのはとても簡単です。杉園さんのおすすめは、そうめんです。 「そうめんのつゆに、すりおろした青ゆずの皮をスプーン1杯ほど入れてください」 (西垣キャスター) 「おいしい!さわやかです!青ゆずの香りと風味が、きいています。夏場にそうめんをたくさん食べたという方も多いと思いますが、味を変えたい方にはぴったりですね」 他にも、豆腐や納豆、お吸い物にも、よく合います。 (杉園康信さん) 「今が旬です。院内町では青ゆずが盛んにできていますから、食卓で利用していただければいいと思います」 皮を削るだけで、いろいろな料理に合う青ゆず。期間限定の味ですので、見かけたらぜひお試しください!

執筆者 西垣光キャスター
2023年09月15日 (金)

【大相撲実況アナが元小結・松鳳山に挑戦!】

相撲に励む子どもたちを指導するために、別府市を訪れた元小結・松鳳山の松谷裕也さん。 今回、大相撲実況アナウンサーの私も、今後の仕事に活かすために、松谷さんに挑みました。 果たして、その結果は・・・。   勝負は仕切りから始まる 勝負師の鋭い眼光 まわしを締めて、しこを踏み、戦いの時に備えます。 実はこの稽古まわし、佐伯市出身の元関脇・嘉風の中村親方が現役時代に使っていたものです。 その貴重なまわしを今回、お借りしました。   勝負は仕切りから始まっていることを、今回強く実感しました。 まず私の目線で見てください。 松谷さんの顔、めちゃくちゃ怖いです。小心者の私は、これでだいぶ萎縮してしまいました・・・。とはいえ、勝負です。さあ、立ち合い。   太い腕に重い腰 元三役力士のすごみ 立ち合いに精いっぱい、当たりに行きましたが、岩のように重い体。 左四つに組み合いましたが、ただ組んでいるだけでも、圧力が強く、腰が「く」の字に。 さらに松谷さんの腕が太くて右の上手が届かない・・・。 作戦変更!右を巻き替えてもろ差しに。よし懐に入れた!あれ?びくともしない・・・。 これではダメだ。頭をつけよう。よし潜り込めた!と思った瞬間。体が裏返し。 上手投げで転がされてしましました。 決まり手は、私がけがをしないようにそっと投げてくれた「とても優しい上手投げ」でした。 当たり前ですが、「強い」。 大相撲の実況をするとは言えども、これまで実際に関取と組み合うことはありませんでした。 松谷さんに稽古をつけてもらい、あの腕の太さや足腰の強さを体感できて、非常にいい経験となりました。 土俵で相撲を取ったのは小学生のとき以来でしたが、とても楽しかったです。 情けない負け方でしたが、体ひとつで全力を出し切る。何とも言えない清々しさがありました。 これを機に、よりよい実況ができるように精進していきます!

執筆者 戸部眞輔アナウンサー
2023年09月06日 (水)

【元小結・松鳳山に挑む!女子中学生】

全国大会で優勝する選手もいるなど、女子の相撲も盛んな大分県。 今回、相撲に励む子どもたちにもっと強くなってもらおうと、別府市の道場に、特別講師として、宇佐産業科学高校出身で、大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也さんをお招きました。 今回は、松谷さんとの対戦を熱望していた女子中学生の夢が叶いました。   初の全国大会優勝を目指す 高いしこを踏む中学1年生 16人の小中学生が稽古に励む、別府実相寺相撲クラブです。 このうち、5人が女子選手です。 中学1年生の甲斐実里(かい・みのり)さんです。 甲斐さんは身体能力が高く、こんなに高いしこを踏むことができます。 しかし、誰もがここまで踏めるわけではありません。 優勝31回の横綱・千代の富士や、優勝22回の横綱・貴乃花も、高いしこを踏める力士でした。 高い柔軟性とバランス感覚がないと、高いしこは踏めません。 甲斐さんは、初めて出た相撲大会をきっかけに小学1年生から稽古を始め、去年、小学6年生の時には全国大会で準優勝しました。 相撲の魅力をこう感じています。 (甲斐実里さん) 「ものとか使わずに、自分の体で勝負するところが相撲のおもしろいところ。自分より体が大きい人に勝った時が楽しい」   基本的に体重別で争う女子の相撲ですが、線の細さが課題の甲斐さん。 まだ成し遂げたことのない全国大会での優勝に向けて、自分より大きな松谷さんと相撲を取ってみたいと考えています。 実は甲斐さん、こんなことがありました。 NHK大分が去年、宇佐市で開催した「教えて松鳳山」というイベント。子どもたちの質問に対して、松谷さんが実技を交えて答えるというものでした。 このイベントに参加した甲斐さんは、松谷さんに質問ではなく『私と相撲を取ってください』と申し出たのです。 (甲斐実里さん) 「元力士と相撲を取る機会はあまりないので、相撲を取って、思い出になったと思いました。自分より体が大きい人にどうしたら勝てるかを学びたいです」 そのとき対戦はできませんでしたが、今回、松谷さんへの挑戦が実現しました。   元小結・松鳳山に挑む中学1年生! きれいに掃き整えられた土俵に甲斐さんと松谷さんが入ります。 そして、立ち合い!踏み込んだ甲斐さんは左を深く差して、松谷さんの腰の右側に食いつきました。 左脚をうまく使いながら攻めますが、重い腰の松谷さんは動じません。 うまくまわしを切った松谷さんは、甲斐さんの背中に素早く回り込み、送りつり出しで土俵の外に甲斐さんを出しました。 めいっぱいの相撲を取った甲斐さんは、取組後、松谷さんから、大きな相手に勝つためのポイントを教わりました。 (松谷裕也さん) 「もっと密着して、相手に身動きをとらせないようにすること。こっちの脚で、相手の膝を刈りながら出ていく。そうすれば、もっと勝てると思う。当たりもよかったし、しこもきれいだし、このままがんばって!」 (甲斐実里さん) 「自分の良いところや改善点などを教えてもらったので、稽古して、全国で優勝できるようにしていきたいです」   今回、男子も含めて松谷さんから様々な指導を受けた子どもたち。いい表情をしていました。 (松谷裕也さん) 「相撲を取って、楽しいと思ってもらえれば、相撲は好きになると思うんで、それでなおかつ、試合で勝てるようになってくれば、もっと好きにもなると思う。稽古はきついですけど、その先に楽しいことが待っているので、そうやってもっと相撲を好きになってほしいですね」   子どもが稽古できる環境は、大分県内に6カ所(別府市、大分市、宇佐市、中津市、日田市、佐伯市)あります。 少子化の世の中ではありますが、男女問わず、相撲を楽しむ子どもたちが増えていくことを願っています!

執筆者 戸部眞輔アナウンサー
2023年09月06日 (水)

駆除される鳥獣を少しでも活用したい ジビエアカデミー開設

おいしそうなシカ肉の赤身のステーキ。この料理の材料「ジビエ」が今回のテーマです。ジビエについて、国の食品安全委員会は、「狩猟の対象となり、食用とする野生の鳥獣、またはその肉」と定義しています。牛肉や豚肉、それに鶏肉に比べると、なかなか食卓でお目にかかれません。そんなジビエを普及させようと、ことし5月、宇佐市に加工技術などを学ぶ施設、「ジビエアカデミー」が開設されました。どんなことを学ぶのか、講習の様子に密着しました。 鳥獣被害との葛藤 駆除された鳥獣を少しでも活用したい 宇佐市に開設されたジビエアカデミーです。こちらでは、ジビエを実際に加工して、おいしく処理するための技術やポイントなどを学んだり、加工する様子を見学したりすることができます。 アカデミーでは、実技のほかに、ジビエの持つ栄養価なども学びます。ジビエを専門に学べる施設は、ここが全国初と言われています。 アカデミーを設立した山末成司さんです。宇佐市内で食肉加工会社を営んでいます。アカデミー設立の背景には、各地で相次ぐ農作物への鳥獣被害がありました。県内でも去年、被害額が1億5000万円に上りました。 対策として地元の猟友会のメンバーなどが鳥獣を駆除しますが、そのほとんどは廃棄され、ジビエとして流通するのはごくわずかです。山末さんは廃棄される鳥獣を、少しでも活用したいと考えていました。(山末成司さん)「ジビエが、殺されてただ捨てているだけの状況になっていた。それをなんとかしたいと思って、おいしいジビエを作るには、やっぱりこういう施設が必要だという思いで、立ち上げました」 アカデミーでは、駆除されたイノシシなどを引き取り、加工したり、教材として使ったりしています。(猟師)「ここに持ってきたら引き取ってくれるし、胸が痛まない」 県外から学びに来る人も ジビエならではの難しさアカデミーには、県内外からジビエに関心のある人が学びに訪れます。 群馬県から訪れた増田充宏さんです。群馬にジビエの処理施設を開設しようと、5日間の日程でノウハウを学びに来ました。 (増田充宏さん)「せっかくいただいた命。最終的には、全部処理できればいいんじゃないかと思います」 解体技術の講習です。 増田さん自身も、半世紀近く牛や豚などの食肉加工に携わってきたベテランですが、これらを一から解体したことはほとんどありませんでした。初めは手際よく処理していましたが、食用に飼育された牛などと違い、ジビエは個体差が大きく、処理するのが難しいと言われています。さらに、皮をはいだり、関節を外したりするなど、普段行わない作業もやらなければなりません。 (増田充宏さん)「牛も豚も飼育されているものですから、ある一定の範囲に収まっているんですね。ところが、ジビエは自然のものですから、個体差がまるっきり違います。目から鱗じゃないけど、こうやればいいのかという感じでやらせてもらいました」 一人でも多くの「ジビエ伝道師」をイノシシなど、鳥獣の命を無駄にしないとともに、ジビエのおいしさを多くの人に知ってほしい。山末さんは、この施設から一人でも多く「ジビエの伝道師」が巣立っていくことを願っています。 (山末成司さん)「牛、豚、鶏に次ぐ、第4の肉として、みなさんのご家庭の食卓に並べられるように頑張りたいと思っています」 地元の農家の方も、被害を受けるのは嫌だけど、駆除されたイノシシなどを見ると、つらい気持ちになるそうです。私もジビエが運ばれてくる様子を見た時は、何とも言えない気持ちになりました。ジビエアカデミーには、地元の高校生なども見学に訪れていました。今後、このアカデミーで学んだ人たちが各地でジビエの普及を担っていくかもしれません。

執筆者 西垣光キャスター
2023年08月31日 (木)

温泉がヒラメを救う

東京・新橋の日本料理店で、最近、看板メニューとなっているのが、ヒラメのお刺身。このヒラメ、大分の養殖場が出荷したものです。出荷量日本一を誇る大分の養殖ヒラメですが、厳しい一面もあります。 (養殖業者)「お金をかけても半数近くが死んでしまって、経営的にもつらい部分があった」 そんな中、ヒラメの養殖現場を改善しようというものが出てきました。キーワードは、大分が誇る「温泉」です。温泉が養殖ヒラメをどのように救おうとしているのか、取材しました。 温泉から、傷口の腫れなどに効く藻の一種を発見! 温泉の湧出量日本一を誇る別府市にある、研究施設です。この施設の会長、濱田茂さんです。化粧品会社を経営する濱田さんは、以前から温泉の効能に注目していました。 (濱田茂さん)「昔から温泉は体にいいねとか、そういう話がいっぱいあるんですけど、何かがいるんじゃないかということでずっと研究してきています」 濱田さんは研究を進める中で、あるものに注目します。 それは、温泉の中に入っている、体長3ミクロンの藻の一種です。80℃の強酸性の源泉の中にしました。厳しい条件の中で生息するその生命力に注目して、研究を進めたところ、傷口の腫れや化のうを抑える効果があることが分かりました。 92番目に見つけたことから、「RG92」と命名。特許を取得して、アトピー性皮膚炎の人も使える化粧品などを開発しました。さらに、広島大学や順天堂大学などと共同で研究を進めたところ、体内へのウイルスの侵入を抑える効果があることもわかりました。 温泉がヒラメ養殖を救うこのRG92の効果に意外な人が注目しました。それはヒラメの養殖業者です。 佐伯市でヒラメの養殖場を経営する木野雄貴さんです。ヒラメは免疫力が弱く、病気にかかりやすいため、体内にウイルスが侵入すると高い確率で死んでしまいます。このため、稚魚から出荷にたどり着くのは、全体の6割ほどです。育ちにくい上、エサ代や電気代の高騰もあり、最盛期には佐伯市内に250あった養殖業者は、16にまで減っています。 (木野雄貴さん)「お金をかけても半数近くが死んでしまい、悪循環でエサ代も上がる、最悪な状態でした」 そんな中、知人を通して濱田さんの研究のことを知ります。いちるの望みを託す思いで、RG92をエサに使いたいと相談したのです。2人は去年3月から実験を始めました。 RG92を混ぜたエサと、そうでないエサをヒラメに与えて、その違いを調べました。すると、RG92を与えたヒラメは、実験開始から4か月っても、まったく病気にかかりませんでした。さらに予想していなかった効果もありました。通常のエサに比べて、食いつきが良かったのです。8か月後、RG92を与えたヒラメは、そうでないヒラメに比べて、平均で300グラム以上重くなったのです。 (木野雄貴さん)「まんべんなくエサを食べて、太りもいい。大きさだけじゃなく、厚みもつく。最終的に味はどうか心配したが、それがまさに相乗効果」  プロの料理人も認めるうま味!木野さんが養殖したヒラメは、プロの料理人の間でも注目を集め始めています。 東京・新橋にある日本料理店です。天然のヒラメに引けを取らないほど、うまみが強く、しかも年間を通して味が安定していると言います。 (日本料理店 料理人)「脂の乗りはやっぱりいいですよね。淡泊すぎずにちょうどおいしい状態になっているのがすごいなあと思います」 (和田アナウンサー)「とっても濃厚で、クリーミーです。すごく歯ごたえがしっかりしていて、弾力があります。本当にうまみがぎゅっと詰まっています」  (日本料理店 料理人)「僕がすごく信頼を置いているのは、養殖場の中でお魚が死なない、健康的なヒラメだということなんです。クオリティも高いので、ぜひおすすめしたいヒラメです」 大分が誇る温泉が、出荷量日本一の養殖ヒラメを助けようという取り組み。大分ならではのコラボレーションが、新たな可能性を広げようとしています。 (木野雄貴さん)「おんせん県の大分県で日本一の生産量を誇るヒラメ。この2つをくっつければ、強いブランドになると思ったんですよね」 (濱田茂さん)「今まで化粧品という分野で研究してきたんですけど、それがこうして魚とかのお役に立って、よりこの研究を加速させて、多くの人に貢献できるように、ますます頑張らないといけないなと思っています」  ヒラメ以外にも広がる可能性ヒラメ以外にも、シマアジやタイ、トラフグやチョウザメの養殖現場でも、RG92を使った実験が行われています。また、スリランカでは、エビの養殖でも使われているそうです。このほか、畜産の分野でも、RG92を混ぜたエサも使う取り組みが行われています。大分の温泉が、食の分野でもその効果を見せようとしています。引き続き、大分の温泉効果について、様々な角度から取材を続けたいと思います。

執筆者 和田弥月アナウンサー
2023年08月31日 (木)

【目指せ 女子相撲日本一】教えて松鳳山!

「相撲」というと男子のイメージが強いかもしれませんが、実は大分県は、女子の相撲が盛んです。 女子の大会は基本的に体重別で行われ、これまでに大分県から、全国大会で優勝する選手のほか、世界大会で表彰台に上がる選手も出ています。 夏休み、全国大会での優勝を目指す小中学生に、今回、強力な講師をお招きました。 宇佐産業科学高校出身で、大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也(まつたに・ゆうや)さんです。 松谷さんのアドバイスで、子どもたちがどう変わったのか、見ていきましょう。   男子と一緒に稽古する女子 小学1年生から中学3年生まで、男女16人が稽古する別府実相寺相撲クラブです。 このうち、女の子は5人で、稽古は男の子と一緒に行います。 女子選手たちは、自分の体だけで戦う相撲に魅力を感じています。 (左 中学2年生 黒岩由莉香さん) 「自分が勝っても負けても、そこで負けたとしたら、自分がどんなところが悪かったのか、そういうところを考えて、自分で改善していくところがおもしろいです」 (右 小学3年生 安本奈未さん) 「得意技は下手投げです。(下手投げが決まったときはどう?)監督に『それで行け』って言われる」   このクラブを立ち上げて30年になる末宗公明(すえむね・きみあき)監督(73)です。 これまで、全国大会で優勝を成し遂げた女子選手を4人育ててきました。 女子選手が活躍する理由についてこう考えています。 (末宗公明監督) 「女子だからって気を緩めることもありませんし、男子と同じメニューで、すべてやります。小学生の間は、むしろ女子の方が体幹が強い場合があるんですね。だから、男子に勝てるということが、一番相撲にはまっていく要素かもわからないですね」   特別講師・松鳳山、別府に現る! 夏休み、相撲に打ち込む子どもたちにもっと強くなってもらうため、今回、この方に来てもらいました。 大相撲の元小結・松鳳山の松谷裕也さんです。 松鳳山は、激しい突っ張りと、相手の懐に入る相撲で、金星5個、三賞4回を獲得。38歳まで関取として活躍した人気力士でした。 現役時代の黄金の締め込み姿で指導する松谷さん。 まずは相撲の基本「すり足」を、自ら見本を見せて教えました。 (松谷裕也さん) 「ただ足をすって前に出ればいいものではない。自分の目の前に対戦相手をイメージして、その相手をおっつけて押す、脇を締めて押す。こうやってイメージしながらすり足をやることが大事。バスケットボールを持つようなイメージで手を構えると、自然と下から手が出てくる」 さらに得意の突っ張りも伝授しました。 「後ろに回すイメージで。前に突くより、腕を引くことが大事。じゃないと、次の手が出てこない」 わかりやすいことばで指導し、子どもたちも熱心に取り組んでいました。   隙のない相撲を! 全国大会優勝を目指す小学5年生  ことし6月の全国大会で優勝した、小学5年生の黒岩香莉奈(くろいわ・かりな)さんです。 中学2年生の姉、由莉香(ゆりか)さんと、小学1年生の弟・香之介(こうのすけ)くんとともに相撲に励み、力をつけてきました。 まわしを引いてからのうまさが最大の持ち味です。 (黒岩香莉奈さん) 「自分の技が決まったら気持ちいいし、相手を押し出したらうれしい」 ことし10月に行われる全国大会でも優勝を目指す中で、松谷さんに自分の相撲を見てもらいました。 しかし、2学年上の中学生との稽古では、懐に入られて、寄り切られてしまいました。 松谷さんが気になったのは、香莉奈さんの右手の使い方でした。 まわしを引いて力を発揮する香莉奈さんですが、苦しくなると、深い位置のまわしを引いてしまいます。こうなると、相手に深く差されてしまうため、脇が空いて攻めにくくなります。 (松谷裕也さん) 「差されちゃダメ。深い上手では、絶対に相手に力も伝わらないし、どんどん苦しくなるでしょ。まわしを取ったら、そのまま懐に入るか、そこで我慢しないと。相手の腕をおっつければ、相手は苦しくなって腕を抜いてくれる。そうすれば、中に入れて次が攻めやすくなる。地道に、地道に、コツコツとやっていこう」 松谷さんのアドバイスを受けて、稽古を再開した香莉奈さん。 今度は右手をうまく使って、浅い位置のまわしを引きました。松谷さんのアドバイス通り、そこから相手の懐に入ることができました。 最後は得意の投げも駆使して勝ちました。 (黒岩香莉奈さん) 「教えてもらえて楽しかった。手の使い方が大事。全国大会に向けて、普段の練習でも使いたいです。全国大会で1位になりたいです」 (松谷裕也さん) 「中に入った後は、切り返しや技も上手だったので、もっと体の使い方がうまくなれば、もっと勝てるようになるんじゃないかと思います。女子も世界大会があるので、そういうところを目指して、がんばってほしいですね」   今回、男子選手も指導していただきましたが、これまで稽古場であまり勝てなかった小学4年生の選手が、松谷さんのアドバイスを受けて相撲が変わり、稽古場で連勝するシーンがありました。 松谷さんの指導力もさることながら、子どもたちの吸収力にも驚かされました。 これをきっかけに、大分の子どもたちに、もっともっと相撲が好きになってもらえたら、うれしいです。

執筆者 戸部眞輔アナウンサー
2023年08月30日 (水)

甘くてシャキシャキ 杵築のスナップエンドウ

県内では、杵築市を中心に生産されているスナップエンドウ。さやごと食べられる手軽さと甘さが人気です。杵築市では平成14年から生産が始まり、生産量を増やしてきました。 旬の時期に生産者のもとを訪ねて、おいしい食べ方を教わってきました。   関西や福岡で人気! シャキシャキして甘い、スナップエンドウ。県内一の産地・杵築市では、年間およそ120トンを生産しています。   生産を始めて7年目の大村哲弥さんです。合わせて20aの農業用ハウスでスナップエンドウを栽培しています。杵築のスナップエンドウの魅力とは? (大村哲弥さん) 「ハウス栽培が多い杵築では、実の太りもけっこう大きいので、おいしい豆ができていると思います。ことしは、非常にいい出来になっていると思います」 品質の高さが人気を集め、全体のおよそ9割を関西や福岡など県外に出荷しています。その人気の秘密は、収穫作業にありました。 スナップエンドウは傷がつきやすいため、ひとつひとつ丁寧に収穫していきます。期間中、多い年ではおよそ70万本収穫し、出荷に向けた作業を夫婦で手分けして行っています。 (大村哲弥さん) 「妻もけんしょう炎になったり、けっこう大変な目に遭わせていますけど、手をかければかけた分、いいものができるので、それを収穫した時はうれしいです」   燃料費高騰で、ハウスみかんからスナップエンドウへ 大村さんのこの農業用ハウス、かつては、みかんを栽培していました。杵築市では、昔からハウスみかんの生産がさかんで、県内一の生産量を誇ります。しかし、燃料費高騰で収益が圧迫され、21年前から、寒さに強いスナップエンドウに切り替える農家が出てきました。大村さんは6年前、自動車関連の仕事を辞めて、両親のみかん用のハウスを引き継ぎ、スナップエンドウ栽培を始めました。大村さんによりますと、栽培にかかる燃料費は、みかんと比べて6分の1以下で済むということです。 (大村哲弥さん) 「自分が生まれ育った近所にも空きハウスがあったので、そういうのを見ると寂しくなってしまう。スナップエンドウは冬場の作物ですが、あまり油を焚かない作物なので、誰か参入する人でもいたら、できるだけ紹介して、スナップエンドウなどで空きハウスをなくしていきたいなと思います」   生産農家のおすすめ!スナップエンドウの調理法 大村さんおすすめの食べ方がこちらです。 白だしあえと、ベーコン巻きです。まず白だしあえの作り方です。 最初に塩ゆでします。ゆで時間は2分。それ以上ゆでると、しんなりしすぎてしまいます。それを焦げ目がつくくらいに炒めて、薄めた白だしにつけるだけです。 かつおぶしをかけると、さらにおいしくなります。スナップエンドウの甘さとだしのうまみが調和したおいしさが、口の中に広がります。 続いては、ベーコン巻きです。塩ゆでしたスナップエンドウにベーコンを巻いて、塩こしょうで焼くだけです。こちらも簡単に調理できます。まずベーコンとスナップエンドウのシャキシャキの食感から始まり、そこからスナップエンドウの甘さがやってくる、2段階でおいしい料理です。 (大村哲弥さん) 「スナップエンドウは、どんな料理を作っても合うと思うので、新たな料理を色々作ってもらって、楽しんでもらえたらいいかなと思います」

執筆者 戸部眞輔
2023年05月08日 (月)

センバツへ!一回り大きくなった大分商業

3年ぶり7回目のセンバツ出場となる大分商業。春夏通じて22回目の甲子園は、県内最多です。センバツに向けて、持ち味の守備力に加えて打撃力向上に努めるチームを取材しました。  堅い守備でつかみ取ったセンバツ出場 大分商業の伝統は堅い守備。WBC日本代表の源田壮亮選手もこのグラウンドで鍛えられました。その伝統はことしのチームも継承しています。秋の公式戦の失点は、1試合平均1.5点。しまった試合運びでセンバツ出場をつかみました。 守りの中心は2人の投手 先発をつとめるエースの児玉迅(こだま・じん)投手は、ストレート130キロ台中盤ですが、バッターの手元で伸び、切れ味で勝負します。この冬は、主に下半身を鍛え、終盤でも球威が落ちない体づくりに取り組みました。 児玉投手「まっすぐには自信があります。球速以上のものを出してバッターをつまらせて打ち取るのが強みだと思います。練習してきた分、 自信はありますし、甲子園という舞台に向けてしっかり仕上げていきたいと思います」 ピンチの時にチームを救うのが、飯田凜琥(いいだ・りく)投手。秋は出場6試合全てリリーフで登板。防御率は0.96でした。決め球は、バットの芯を外す鋭いスライダー。 さらにこの冬、スライダーとは反対方向に曲がる変化球など、新しい球種を習得し、バッターに狙い球を絞らせません。 飯田投手「甲子園でもピンチでマウンドに上がることがあると思います。抑えてしまえば流れを全部こっちに持ってくることが出来るので、負けん気で強気のピッチングをしていきたいです」  勝利のカギは打撃力向上 一方の攻撃。ランナーが出るとバントや進塁打でチャンスを広げて点を奪うのが大分商業の野球です。秋の公式戦はホームラン0と長打力こそありませんが、8試合で76本のヒットを打っています。 去年8月に就任した那賀誠監督は、打撃力のさらなる向上が甲子園で勝ち上がるポイントと考えています。 那賀監督「非力だったんです。九州大会の他の出場チームは力強くて、 打線全体としては格段に体格も太さという面で劣っていたんです。 九州大会を終えて、選手たちももっとしっかり体を作ろうという意識は高くなったと思います」  ウエイトトレーニング強化! そこで、この冬はウエイトトレーニングに力を入れてきました。器具も新調し、週2日程度、90分。打撃や守備の練習を削って筋力アップに時間を割きました。さらに、月1回は県外の専門トレーナーから指導を受け、トレーニングの質を高めました。   こうした成果を特に感じているのが、4番の羽田野颯未(はだの・かざみ)選手です。 羽田野選手「秋の時は160㎏ぐらいのバーベルを担いでスクワットをするのが限界だったんですけど、   今では200㎏担いだ状態でスクワット出来るようになりました。   以前はズボンがOサイズだったんですけど、太ももが大きくなって、XOサイズにあがりました」  トレーニングの結果、打球のスピードと飛距離が大きく伸びました。他の選手も体重が平均5~6キロ増え、強い打球が打てるように。攻撃のバリエーションを増やした大分商業。持ち前のつなぐ野球を進化させ、甲子園に臨みます。  いざセンバツへ 大道主将「要所で一発も出せる力もついてきました。   小技と一発のバッティングを絡めながら1点ずつ重ねていきたいと思います。   守備から流れを作って攻撃につなげていく自分たちの野球ができたらしっかり勝てると思います」

執筆者 西岡遼アナウンサー
2023年03月17日 (金)

国東の絶品ネギをPRせよ!

        どうですか! 切り口から滴るこの水分!  化学肥料や農薬を使わずに作られているコネギ香り、味ともに絶品! ネギしゃぶなどにすると最高です!   どんなところでどんな方が作っているのか国東市の畑を訪ねました         このネギを作っているのは、森夏樹さんサラリーマンだった森さんは、6年前、子供が生まれたことを機に農業に取り組みはじめます 前職のサラリーマン時代は子どもと過ごす時間がまったくなくて子どもと一緒に仕事がしたくて農業がいいなとずっと思っていました本当に楽しくて子供と一緒に遊びながら仕事ができる。理想の状態ですね         鹿児島から移住し、国東にネギを栽培するハウスを構えます農薬も除草剤も使わないネギづくり畑ではニワトリが虫を食べ、雑草はヤギが食べてくれています自然の力をそのまま利用して育てるネギは、地域の人たちにも好評です          森さんのところのネギは、味ももちろんなんですけど、日持ちが全然違うんですね!あれば、やっぱり森さんのところのネギを買いたいなって思います   多くの人に食べてもらいたいと思う反面、家族経営の森さんは、おいしさを広めるまで手が回りませんでした 正直、農家っていいもの作ろうというのが本来の形だと思うし、作るので手いっぱいで時間もない誰かがインターネットとかそっちの苦手な部分をやってくれるのであれば、たぶんうまくいくかなと   そんな森さんに手を差し伸べた人がいます。それが…   若い力が、農家を“売り込む!”         立命館アジア太平洋大学4年の吉川龍さん交換した名刺には…         三雲:一次生産業専門デザイナーというのは? 吉川:農家さんとか漁師さんとか一次生産業をやっている方々のホームページや商品のポップを作って、宣伝をするお仕事をしています   吉川さんは1年生の時、新型コロナで販路が減少した生産者を助ける事業に参加そこで森さんと出会います そのとき感じたのが森さんと自分の「役割分担」の必要性 結局作っただけでは売れないっていう内情があるので、何でネギがおいしいかとか他と何が違うかって差別化してお伝えして、やっと手にとっていただけるっていう流れなんで、そこをとにかく伝えるっていうのが僕の役割になっていますね   吉川さんは独学でwebデザインを学び農家の取り組みを伝えるホームページの作成に取り組みます   そこで伝えるのは、農家の作物にこめた思いや栽培方法へのこだわりいまではイチゴ農家や養鶏場のホームページやパッケージのデザインを担当顔と顔をつきわせるからこそわかる“農家の本音”をくみ取って細かい要望にこたえることで売り上げ向上につなげています   かいま見た厳しい現実から リアルで新しいデザインを生み出す さらに吉川さんは、仮想空間だけでなく、リアルな世界のデザインにも挑戦していますきっかけは畑で見た現実でした 実際にこういうネギが、捨てられている光景を見たときに「え、捨てちゃった」みたいなものがきっかけだったんですけど         私たちが店頭で見ているコネギは、右のもの 全体のごく一部にすぎません 左側の、太いものや、葉分かれが多いものは基準にあわず、私たちの手に届くことはないんです   そこに吉川さんは新たなデザインの種を見つけました この捨てる部分、食べられるんで商品にもともとなってない側をどうするかを考えようっていうので加工商品を作れないかなっていうので   それが、森さんの畑で採れたネギをふんだんに使ったネギ餃子!試作を重ねる現場に潜入!         例えば、色とか。皮の中透けて見えるくらいの緑色とか絶対この形でいきたい、、、!!妥協したくない グッと揉むとたぶんいけるかなって気もするんですけどね 杵築市の餃子店の協力を得ながらの作業さて、お味のほうは?          吉川:ネギ感はこっちの方が断然ありますわ 森:あ、違う?? 全く違います ええ! そんな違わないかなと思ったけど、そんな違うんだ?          吉川さんと森さんの思いがひとつの形になりました         自分が理想とする野菜作りに“飽くなき取り組み”を重ねる農家 それを新たな視点で“目に見える形”にしていく若きデザイナー   森さんと吉川さんの間には年代を超えた信頼関係が生まれてきています 森:正直年齢が息子みたいな年齢じゃないですか。大学生がひょっと現れて、あーだこーだ言ってくるんですね。最初は何だこいつ!でも言っていることがまともすぎて気づかさせることが多かったので、本当楽しく一緒に仕事出来ている。農業の世界でもいままでやったことないことやってみたい 吉川:僕の意見を聞いてくれる方々あっての僕の活動なので、そういう大人の方々に協力していただきながら、話聞いていくなかで、ご自身も気づいてない魅力たくさんあると思うので掘り出しながら、そういう役割を担っていきたいなと思っています   このネギ餃子、これまで廃棄されてきたコネギの活用先として商品化を目指していくことにしています   さらに森さんはいま、農薬を使わないコメ作りに向けて新たな仲間たちと取り組みをはじめています   吉川さんのような、若い、新たな視点が大分の一次産業を、これからも盛り上げていってほしいと思います

執筆者 三雲 紫恩(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

ハチミツでふるさと豊後大野を元気に!

みなさんの「ふるさと」ってどんなところですか?  誰しもがふるさとへの思いを抱いているはず もし、そのふるさとがなくなる瀬戸際だとしたら… 今回は過疎化が進み忘れられようとしているふるさとを自らの手でよみがえらせたいと模索している男性のお話です   その模索の“相棒”が、こちら ニホンミツバチです   さまざまな花から蜜を集める習性がありその蜜は「百花蜜」として知られていますよね 実はいま豊後大野の山中で採れるハチミツがひそかな話題になっているんです そのハチミツを集めているのは羽田野弘文さん 羽田野さんは、定年退職後地元・豊後大野に戻って養蜂を始め今年で10年目になります  今年獲れたハチミツを一口いただきました  わぁ!あま~い!濃厚です。   私がうかがった11月はミツバチの越冬準備の時期寒さに弱いため冬に備えて寒さ対策をするそうです 羽田野さんはそんなミツバチに注目しました   小さなミツバチたちの頭脳の高さって すごいなって思いましたね。 みつばちに惚れこんだっていうのがひとつと 巣を作り生活を営んでいるというのに非常に興味ありますし かわいらしいですよね。おとなしいですし     荒廃するふるさとをなんとかしたい   羽田野さんは地元の高校を卒業後東京で観光の仕事を40年以上続けてきました   Uターンを決意したのはふるさとの過疎化でした   私の住んでいたところは山あり谷ありの僻地でございまして 忘れ去られているような地域です 少子高齢化で過疎化していっている 私が通っていた小学校、中学校、高校は すべて廃校になっています 帰るたびにそういう話を身内から聞かされまして なんとか歯止めをかけるじゃないですけど   山あいの地域でできる産業を探していたところたどり着いたのが養蜂でした   奮闘する羽田野さんを妻の弘子さんも応援しています 本当に一生懸命 家庭の方は守っているので 自分の好きなことをやればいいかなと思っています   羽田野さんは養蜂に関する本を何冊も読み養蜂家のところに見学にいくなどして少しずつ知識を増やしていきました   蜂は、羽があるので、山でも谷でも飛んでいける ミツバチを飼うってことは蜜源植物を植えたくなる 蜜源植物、蜜を作り出す花ですね 蜜もできるし、蜂蜜が蜜をとることで、 受粉、実になり種になると循環ができる それが産業になるのではないかと思いまして   いま羽田野さんが力を入れているのが蜜の源となる植物を植える植栽活動です これはプラムの木  荒れた土地を整地し4年前に植えました春には花が咲き、蜜の源となっています   荒地、休耕田を整地して植物を植えることで 植えた木に花がつき、実になり ハチの力を借りて受粉をすることによって草木が成長して 環境も整ってくっていうこのサイクルですね、連鎖   羽田野さんはこれまでにプラムやカボス、ナシなど10種類およそ2000本の木を植えてきました    一人ではじめた羽田野さんの取り組みはハチだけでなくいま人も呼び込み始めています   「ひろちゃ~ん。手伝いに来たよ~」 「ありがとう!今日もよろしくお願いします!」 草刈りや植樹、剪定作業を一緒にすることでなくなりかけていた地域の絆も深まっています。 先駆者でハチミツとかいろいろ花植えとか 地域をちょっとでも活性化しようということで ここら辺が良くなればということで大変ありがたいです   そんな羽田野さんは新たな取り組みをはじめました ハチミツを使った新たな特産品づくりです   考えたのは干し柿をハチミツに漬けたオリジナルスイーツ    私もいただきました(今回の取材、私、食べてばかりですね…) みためは普通の干し柿のようですが…    上品な甘さが口いっぱいに広がっておいしいです  甘い渋柿に輪をかけてハチミツの甘さがありますが  くどくなく、いくらでも食べられそうです   この柿は、地域固有種の渋柿しっかり干して甘みが出たところでハチミツに漬けるタイミングや期間など試行錯誤しながら羽田野さんは商品化にこぎつけました 地域の特産物を作りたかった ここから地域の活性が成り立っていくんじゃないかなって はちみつと加工品であるハチミツ干し柿 こちらの方を軌道に乗せて 地元に貢献できればなと思っております     羽田野さんの養蜂が軌道に乗ってハチミツが販売できるようになるまで6年 そして干し柿のハチミツ漬けはそこから更に4年かかってできあがったもの   それだけの長い時間がかかった分羽田野さんのふるさとへの思いがつまっていると感じます   干し柿のハチミツ漬けは、豊後大野市の道の駅「あさじ」で販売されていますまた、市のふるさと納税の返礼品にもなっています   ゆくゆくは販売経路を拡大したいと羽田野さんは話しています ふるさとを何とかしたいという羽田野さんの思いがふるさとの新たな名物を生み出しましたこれからの羽田野さんの取り組みに注目です!        

執筆者 三雲 紫恩(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

ボタンボウフウでまちおこし!

おいしそうなソフトクリームまわりに振りかけられている緑色の粉なんだと思います?ちなみに抹茶ではありませんこの粉になるのはある植物大手化粧品メーカーが化粧水や栄養補助食品として注目しているんです大分県内では豊後高田市の香々地地区でこの植物を活用したまちおこしをしているということで取材に行ってきました 香々地で味わえるボタンボウフウ 取材には体力も必要まずは甘いものを食べて元気をつけて…と自分に言い訳をしてみましたがこの粉の正体はセリ科の植物 ボタンボウフウ葉っぱがボタンの葉に似ていることからこの名がつきました専門機関の調査では野菜の王様といわれるケールよりも鉄やビタミンなどを多く含んでいるとのこと地元では「一株食べれば一日長生き」沖縄では「長命草」とも言われているそう   おすすめの食べ方は「天ぷら」葉をそのまま揚げていますお味のほどは?西垣:かめばかむほどボタンボウフウの風味が広がります思ってたよりも苦みが少なくて食べやすいです!ほかにもボタンボウフウを刻んで入れた卵焼きなどどんな料理にもあうんですやはり先人はいいものを知っていたんですね 自生から栽培への挑戦 海沿いに生えていたボタンボウフウを採ってくるだけではいつかなくなってしまいますそんなボタンボウフウを栽培していこうと取り組んでいるのが渕秀幸さんです本職は90年近く続く和菓子屋さん10年ほど前からボタンボウフウを使ったまちおこしに取り組んでいますここがボタンボウフウの畑です海沿いに生えていたのを畑に持ってきて植えたのが最初です 1年中採れますが主な収穫時期は春と秋なんだそう 地域を活性化させる産業に育てたい! 渕さんが住む香々地地区は人口の減少などで旧豊後高田市と合併過疎と高齢化が進むふるさとを元気にしたいと海に近い香々地ならではの特産品としてボタンボウフウに注目しましたボタンボウフウで地域おこしをしているところが沖縄にあると聞いて人が少なくなった香々地地区の新たな産業になればなと 畑での作業には地元の農家や地域おこし協力隊の人たちがあたっています収穫量も安定商品化も幅広く行えるようになりましたお茶や青汁、まんじゅうなどなど次々と新商品が開発され道の駅や「昭和の町」で販売され人気を集めていますそれにあわせ渕さんたちは畑を今の2倍に拡大地域を支える産業としての足掛かりを作っていますまだ知名度もないんで皆さんに知ってもらって我々もおいしく食べられる方法や産業として成り立つ方法を今後も探っていって地域の雇用につながるようなものにしていければと   外からのものをありがたがるのではなくもともと地域にあったものに注目する 地域おこしの大切な視点だと思います豊後高田では去年第1回となるボタンボウフウフェアを開催渕さんたちの取り組みが実をむずびつつありますさらなる可能性を秘めたボタンボウフウ今後の展開に期待したいところです

執筆者 西垣 光(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

いまを生きるために死を考える

みなさんは「死」についてどれだけ考えていますか?誰もが迎えることとはいえ遠い将来のこと、と考えているかもしれませんいま大分市内で「デスカフェ」というイベントが開かれ多くの人が関心をもって訪れていますどんな場所なのか取材してきました どんな”最期”を迎えたいか考える場 この日のカフェに参加していたのは10人ほど一人で参加する人や友人と参加する人などさまざまですこのカフェではゲームをしながら和やかな雰囲気のなかで死について考えよりよく生きる方策を探します 使うのはトランプのような「もしバナカード」このカードには「意識がはっきりしている」「大切な人とお別れする」などの言葉がかかれています自分の余命があと半年だと想定し最期をどのように過ごしたいのか自分の大切な価値観は何かをカードとともに考えますルールは「自由に、思いのままに話すこと」そして「それを否定しないこと」ほかの人のいろいろな意見を聞いてさらに考えを深めていきますこちらの男性が選んだのは… 「最終的に残ったのが、 ”私の価値観や優先順位を知る” ”意思決定支援者がいる” ”意識がはっきりしている” 自分が何を望むのか家族と確認することで口論を避けられる」 ”自分以外の人に自らの意思をちゃんと伝えていきたい”という思いがあふれていました 大分でデスカフェが始まったのは2022年1月口コミで人気が広がり月1回だった開催がいまでは月2回になっています主宰している木原寛さん神奈川で貿易の仕事をしていましたが高齢の両親と暮らすために大分に戻りこのカフェを開くようになりましたこれまでは死は縁起が悪い、むやみやたらに話すもんじゃないって避けられていた話題だと思うんですけど死を見つめることによってやり残したことはないか、いまをどう生きようっていうのを考えるきっかけになればと思っております 実際に行動に移した人も 家族のことを思って行動にうつした人もいますデスカフェに初めて参加したという小崎和子さん最近自分の死について考えることが多くなったといいますコロナ禍で終活アドバイザーの資格を取ってみたりして死とは何だろうって考えたときに聞いてみたいな、話してみたいなって思って参加しました ご自宅にうかがって拝見したのが…小崎さん)こちらになります西垣)わ~ ご家族で家族に声をかけ葬儀に使う遺影を撮影したそうなんです次男が小学校に入学するタイミングで記念撮影しようというときにいっしょに撮りました小崎さんの写真を選んだのは次男の響君その理由を聞いてみるとママ、髪型が違う かわいい!小崎さんは葬儀の準備で忙しい家族が写真選びに困らないよう先に準備することにしたそうです私が急に亡くなって夫が私の写真を選んだ時に「あら、もう少しいい写真あったんじゃないかな?」ともしそんな写真が選ばれたら残念な気持ちになりそうだったのでちゃんと自分の目でさきにお気に入りの写真を決めておきたかったというのがありますね   小崎さんにとって家族と死を考えることがどのように生きていくのかを考えるきっかけになっているようです取材しながら私だったら何を重視するか考えてみました私は「意識がはっきりしている」を選ぶかなと思いますいろいろな人にちゃんと挨拶をしてお別れしたいと思ったからですみなさんはどんなことが大切だと考えますか?デスカフェについてはまるっと終活大分支援協会のホームページをご覧ください

執筆者 西垣 光(いろどりOITAキャスター)
2023年01月23日 (月)

環境保護につながる大入島のカキ養殖

ぷりっぷりのカキおいしそうでしょう?これは佐伯市の大入島のブランドカキ「大入島オイスター」年々漁獲量が増えていて東京や関西、海外でも人気となっていますこのカキ島の活性化だけでなく環境保護にもつながっているんですまずは佐伯市のカキ小屋を訪ねました何事にも味わってみないと取材は始まりません!よね   人気! 大入島オイスター   私の目の前に運ばれてきたカキ身がとってもきれいですいただきます! う~~~ん♪とっても甘くて濃厚な味が口いっぱいに広がります!とろとろしていてとてもおいしい♪カキ小屋のお客さんもその味に感動していました 中身がジューシーですごくおいしかった身がぷりぷりでとってもおいしかったです! みんなを感動させる味わいの大入島オイスターどんなところで養殖されているのかいざ!大入島へ   おいしさの秘密は育て方にあり!   訪ねたのは島のカキ漁師 宮本新一さん 10年ほど前からカキの養殖を始め以来試行錯誤を重ねてきました大入島のカキ養殖はシングルシードという方法で行われていますカキの養殖はロープで吊り下げたホタテの貝殻に種ガキをつけて行うのが一般的ですただこの方法だとカキ同士がくっついてしまうこともしばしば一方、シングルシード方式だとかごの中ではなればなれに育つので身が大きく成長します 波に揺られカキとカキがぶつかりあうことで殻にフジツボなどが付着することもなく丸みを帯びたきれいな見た目に育つんだそうですさらに成長に合わせて出荷までに3回かごを入れ替えますかごの中のカキの大きさをそろえることで餌となるプランクトンがまんべんなくいきわたるようになります そしてもうひとつの工夫がこちら 矢印の部分、よく見てくださいカキの入ったかごが海面からでていますよねこれ、「天日干し」しているんですかごをひっくり返して海水から出し空気にさらしてストレスを与えるんだそうでも、なぜこのようなことを? 宮本さん?宮本:天日干しをすると日光に当たるので水分が逃げないよう耐えるために固く口を閉じるので貝柱が鍛えられ、太くて甘みの強い貝柱になります 大事にしながらも、ときに負荷をかけることで成長をうながす人間にも同じことが言えそうですね   カキが海を守る? その働きとは?   大入島のカキは佐伯湾の環境を守ることにもつながるのではと期待されているそうなんですどういうことでしょう? かつて佐伯湾では大規模な赤潮がたびたび発生6年前にはおよそ2億円にのぼる被害が出ましたカキ漁師の宮本さんは、当時アワビやサザエなどの漁をしていましたがほとんどが死んでしまったそうです 宮本:絶望的でお先真っ暗な感じでした収入がなくなるので他のアルバイトに行ったりしていました でもカキだけは赤潮の被害をうけなかったことから本格的にカキ養殖に取り組みはじめました実は近年の研究でカキは赤潮の被害を受けないだけでなく発生を抑える効果があることがわかってきています この日宮本さんのもとを訪れたのは大分県農林水産研究指導センターの宮村和良さん県も赤潮対策としてのカキの存在に注目し定期的にデータをとったり補助金を出したりしてカキ養殖をサポートしています宮村:カキはプランクトンをエサにするため養殖を拡大することで赤潮プランクトンの異常増殖を防げるといわれていて赤潮の被害軽減に役立つのではないかと考えています 大入島オイスターは佐伯の海を守る存在としても注目され始めているんです   カキと地域を未来へつなぐために   大入島全体のカキの生産量は当初のおよそ6倍にいまでは東京や関西などのオイスターバーのほか海外にも輸出するようになっていますカキ漁師の宮本さんは大入島を新たなカキの産地にしようと養殖協議会を設立しました島全体で大入島オイスターのブランド力をアップさせようと自分が得た知識やノウハウを惜しみなく仲間たちと共有していますカキ養殖がうまくいけば次の世代が続いてくれると思うのでこの島でカキ養殖を成功させて人口減少に歯止めをかけたり若い人の仕事がこの島にあったりすることで移住したりビジネスモデルを作ったりすることになるとおもうそれが原動力となっています 大入島オイスターの貝殻は細かく砕いて家庭菜園用キットの肥料にも使われているそうですSDGsという観点でも注目ですね大入島オイスターは佐伯市のカキ小屋でたべられますまた佐伯市のふるさと納税の返礼品にもなっていますみなさんもぜひ味わってみてください!

執筆者 和田 弥月(NHK大分アナウンサー)
2023年01月19日 (木)

気分はお殿様⁉ 人をつなぐうすき"輪"菓子

あ、タイトルの輪菓子は誤植ではありませんよ  この謎は読み進めていっていただければおよそ2分後に解けます…  城下町として栄えた臼杵には 今も当時の風情ある街並みが残っています  その臼杵市で今、 江戸時代にお殿様が食べたとされる 和菓子を再現する取り組みが進んでいます  挑戦した理由 そこでの工夫やこだわりを知るために 臼杵を訪ねてきました    ひとつの古文書に記された謎が謎を呼ぶ  臼杵藩を治めていた稲葉家には ある古文書が伝わっています  それがこちらの「菓子製法」 見せていただいたのは複写したものです  当時の藩主がおやつを選ぶために使っていた メニュー表ではないかとのこと  彩り豊かなお菓子が描かれていますね その数、およそ100種類   ただ、この古文書には、実は大きな問題が…  臼杵商工会議所の吉田さんによると  これお菓子の絵が載っているんですけど、  絵と名前は書いてあるんですが  レシピは一切ないんですよ   え?そんなことってあるんですか?もう一度見てみましょうたしかに絵と名前は書いてありますが 材料や作り方に関する記述は一切なし…    これだけでも十分に謎なのですが さらに謎を呼ぶのがこちら  これ、見た目はしいたけですよねでも赤線のところを見てください 「きんとん」と書かれています しいたけなのに、きんとん?    さらに吉田さんが見せてくれたのは…  吉田:和田さん、これ何に見えます?  和田:これ、お刺身ですよね 鯛のお刺身かなんか?  吉田:ぽいですよね   ただぼくもちょっとわからないですけど  おそらくお菓子であろうと…    刺身のように見えるけど、実はお菓子…  だんだんわからなくなってきました       謎の和菓子に現代の粋人が挑む     お殿様が食べていた 「しいたけ」や「刺身」とはどんなものなのか その謎に挑もうと考えたのがこの方  臼杵商工会議所の中村充さん 300年続く呉服屋の16代目です  中村さん、なぜ再現してみようと思ったんですか? 菓子製法が臼杵市の市報の裏にいくつか載っていて すごいなんかいろどりが良くてきれいだなと思って 僕自身が茶道をしていたので茶道時代の仲間と  このレシピを復刻させて、みんなでこう楽しめたら  何か面白いことが起こるかなと思って  この取り組みをスタートしました    臼杵市内の和菓子屋に声をかけ 再現する作業にとりかかりました  まず挑戦したのが、こちらの芋ようかん  ただ、わかっているのは、この鮮やかな色味だけ  そこで用意したのが、 臼杵産のサツマイモ「紅はるか」  作業に当たった芦刈さん曰く有機野菜のお芋で本当にそのお芋がよくて  色もすごくきれいなので  やっぱり原材料の素材がいいと  すごくきれいに仕上がるんじゃないかなと    「紅はるか」の特徴はその柔らかさ  それを活かすためていねいに裏ごしすることに  すると、どうでしょう♪なめらかな食感の黄金色の芋ようかんに 仕上げることができました  もう一つ再現したのが琥珀糖  寒天という文字がみえますが味の手掛かりは一切なし  ならばそこは現代風にアレンジしてみようということで… 特産のカボスを使い酸味を生かすことで お殿様も味わったことのない現代風の味わいに   特に苦心したのは透き通るような淡い緑色 カボスの皮を一度茹でてからミキサーにかけ 更にそこから煮込むという手間と細かい手順を踏むことで できあがったのが…この透明感、いかがですか?    中村さんたちは この和菓子を“うすき輪菓子”と名付けました さあ、ここで冒頭の謎が解き明かされます!ここまで何分かかりました? 中村さん、「和」を「輪」に置き換えたそのこころは?   この“輪菓子”を通じて人と人とのつながりが  どんどん輪っかのように広がっていってくれたら  うれしいなという思いがあります  そしてこの復刻したお菓子を  臼杵のいろいろな町並みで  いろんな方が召し上がれるようになれば  嬉しいなと思います    中村さんはうすき輪菓子の未来をこんな風に思い描いていますここからはイメージ映像でご覧ください臼杵では訪れた人が和服に着替えて街を歩く そんな粋な取り組みが行われています   参加した人たちに再現した和菓子を食べてもらう その場所は…  臼杵藩主下屋敷の茶室で開かれるお茶会  お茶うけの和菓子はもちろん“うすき輪菓子”  お抹茶と一緒に 「黄金の芋ようかん」と 「カボスの琥珀糖」をいただきます 参加者:自然な甘みでお抹茶にとてもあって美味しかったです    中村さんはこの輪菓子が 臼杵を知ってもらうきっかけになればと考えています    この“うすき輪菓子”の味や歴史を通じて 臼杵の素晴らしい場所を皆様に知っていただいて  盛り上げたいという気持ちがありますし 市の外、県外、日本へとどんどんつながりを増やして  盛り上げていきたいと考えています。     これまで再現されたお菓子は4種類 現在は高校生と5種類目のお菓子を開発中です    うすき輪菓子の販売の予定はいまのところありませんが これからは臼杵市内での販売のほか インターネットなども利用しながら 多くの人に手に取ってもらえるようにしていきたいということです  中村さんをはじめ、プロジェクトにかかわる皆さんが 楽しみながら和菓子の再現に取り組まれている姿が とても印象的でした 「うすき輪菓子」が人と人とをつないでいき 大きな輪になっていってほしいと思います

執筆者 和田 弥月(NHK大分アナウンサー)
2022年12月22日 (木)