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"激ムズ"!!高崎山自然動物園のサル博士検定
飯尾 夏帆アナウンサー
2023年03月24日 (金)
アナウンサーの飯尾夏帆です。
大分に来て4年。ずっと取材したかった場所がありました。
それは、野生のサルを餌付けしている全国でも珍しい動物園、「高崎山自然動物園」。
小学生の時、家族旅行で訪れて以来、大好きな場所です。
※小学3年生の飯尾。当時はサルがちょっぴり怖くてソーシャルディスタンス…
(1)幻の激ムズ検定、復活!
その「高崎山自然動物園」は、今月(2023年3月)で開園70周年。
それを前に、今年1月、幻の検定が復活しました。その名も、「高崎山サル博士(はかせ)検定」。
試験は「筆記試験」と「実地試験」があります。
「筆記試験」は、1問2点、計40問で80点。
「実地試験」は、1問10点で、計2問。合計100点満点です。
90点以上取ることが出来れば「高崎山サル博士(はかせ)」に認定されるんです。
かつて2006年から3回実施されたものの、これまで「博士」になった人はいません。
なぜかというと・・・それは難しすぎるから!
(2)博士を出したい!初の“受験対策講座”が開かれた
そこで、今回初めて、受験対策の事前講義が開かれました。
まずは、筆記試験対策。
2時間ほどかけて、高崎山の歴史やニホンザルの特徴を学びました。
続いては、実地試験対策。
実地試験は、制限時間20分で、指定されたサルを2頭探すというもの。
なんと、1000頭近くいるサルを見分けなければならないのです。
無謀…だと思いますよね?
そこで開かれたのが、「サルの見分け方講座」です。
教えてくれたのは、試験官の下村忠俊(しもむら・ただとし)さん。
下村さんは、一目見ただけでサルを見分けられる“敏腕ガイド”です。
(下村さん)
「あのサルは『オオムギ』って言います。5番目にえらいサル。
このサルには入れ墨が入っています。鼻の上と、下にもありますね。」
黄色い丸の中、黒や青色をしているところが、個体を識別するために入れられた「入れ墨」。
入っている場所や色が1頭1頭違うんです。
こうした見分けるポイントを教わりましたが、
そうはいっても、1000頭近くいる中から2頭を探し当てるのは至難の業。
どうしてこれほど難しい問題を出すのか?
そこには、サルをじっくり見てほしいという下村さんの思いがありました。
(下村さん)
「高崎山はニホンザルしかいない。でも本当は顔が違うし個性がある。
1頭1頭の個性を見てもらいたいので、識別を1番のポイントに持ってきている。」
(3)全国からサルマニアが集結!
高崎山サル博士の称号を狙うべく、全国各地から35人の“猛者”が集結しました。
さあ、ここからは、個性豊かな受験者たちをご紹介します。
まずは、福岡県から参加した、西竹さんご一家。
父の伸一さんが大分に赴任していた5年間に家族で何度も高崎山に通ったそう。
高崎山は家族にとって大切な場所になっています。
(父・西竹伸一さん)
「娘と2人で来たり、家族で来たり。高崎山に行く時は前の日から楽しみです。」
(母・西竹幸呼さん)
「1番のコミュニケーションをとる時間」
(娘・西竹栞さん)
「3人で話すことはあんまり無いので、そういう面でいったらいいのかな。」
受験勉強は、家族ワンチーム。
事前講義で教わったことを、互いにクイズで出し合いました。
② 仲良しだけどライバル?!隅田さんご夫妻
家族での参加はほかにも。
熊本から参加した、隅田翔太さんと亜紀さんご夫妻です。
高崎山が好きすぎて、大分で転職できないか本気で考えているほどの高崎山ファン。
共通の趣味が「高崎山」。子どもの手が離れた今は、もっぱら2人で高崎山デートしているそう。
熊本から高崎山へのドライブは、ナビなしでも運転できるようになったといいます。
ただ、夫の翔太さん。事前講義の際のインタビューでは、こんなことを話していました。
(夫・翔太さん)
「ライバルです。一緒には勉強しない。」
(妻・亜紀さん)
「私がたくさん質問するのが嫌なのかも?別々に勉強します。」
といいつつ…受験勉強の途中経過を取材すると、2人で勉強する写真が送られてきました。
受験期間中に迎えた亜紀さんの誕生日にも、2人で高崎山デートしたそうですよ。
ライバルだけど、やっぱり仲良し。夫婦愛でサル検定に臨みます。
③ カメラ片手に全国行脚“撮りサル”の喜熨斗さん
他にもアツい思いを持った人がいます。
事前講義の2日前。カメラを片手にサルを見つめる男性。
神奈川県在住の喜熨斗健弘(きのし・たけひろ)さんです。
事前講義の日は仕事があり、自習するために別の日にやってきました。
喜熨斗さんは、休みの度に全国各地にサルを見に行き写真を撮る、ニホンザル愛好家。
コロナ禍でステイホームが続き、人との関わりが薄れる中でたどりついたのがサルの動画だったといいます。
(喜熨斗さん)
「自分の中で、猿と言う字を書いて猿分(えんぶん)補給。
次の日からの仕事の活力になる。とにかく癒しをもらっています。」
④ 推しサル“マルオ”のために移住 袖澤さん
最後は、こちらの女性。おやおや?バッグにサルの写真…?
バッグとスマホケースに印刷されているのは、高崎山でも人気のサル『マルオ』。
(マルオは穏やかな性格で、観光客とツーショットが撮れると話題のサルなんですよ!
皆さんもツーショットの撮影に挑戦してみてくださいね!)
これ、自作なんだそうです。袖澤こずえさんは、コロナ禍であまり高崎山に来られなくなったことを機に、
なんと横浜に家族を置いて、大分に移住したという根っからのマルオの大ファンです。
⑤ 高崎山愛を試したい!飯尾も挑戦
実は私も・・・・本気でサル博士検定に挑戦しました!
仕事終わりに、大学受験以来の猛勉強。
事前講義で習った内容をノートにまとめ、赤い下敷きで、赤字で書いたキーワードを隠しながら受験対策しました。
(4)いよいよ検定本番!
そして迎えた1月14日。
大学入学共通テストが行われた日、高崎山でも検定試験が行われました。
まずは、筆記試験。
高崎山の歴史や、ニホンザルの特徴などの4択問題、40問が出されました。
例えば、こんな問題です!皆さん、考えてみてください!
【問】
メスザル『サヤカ』が、息子『ゲンキ』を生んだ年齢と日付は?
【選択肢】
①10歳の時、6月9日に産みました
②11歳の時、6月10日
③12歳の時、6月11日
④13歳の時、6月12日
さあ、どれでしょう?
…どうです?なかなかの難問ですよね。
ちなみに正解は④。私はこの問題間違えました…。
90分間、こうした筆記問題を解き終えた後は、サルを見分ける「実地試験」です。
この日姿を現したB群・約700頭の中から、指定された2頭を探します。
制限時間は、なんと20分しかありません!
さらに、一度でも間違うと点は与えられないというシビアな試験です。
私が探すのはこの2頭。オスの「ハジメ」と、メスの「フウケイ」というサルです。
検定に向けて、週1回は高崎山に通い、ひたすらサルの名前を覚えた私。
B群のNo.1からNo.12までは見分けられるようになっていました。
「ハジメ」も覚えたうちの1頭。
高崎山1のおじいちゃんで、足取りがゆっくりなんです。
そして、実地試験開始からわずか1分!
ハジメと思わしきサルを発見。
これだと思ったサルをスマホなどで撮影しなければならないのですが…
(飯尾)
「全然止まってくれない。きゃー!ごめんなさい!怒られちゃった!」
写真を撮るために、サルと目を合わせてしまい、飛びかかられてしまいました。
高崎山のサルは普段はおとなしく、子どもでも安心して楽しめるのですが、目を合わせるのは要注意です!
検定に夢中になりすぎて、サルに申し訳ないことをしてしまいました…。
そうこうしているうちに20分経過。
「ハジメ」と「フウケイ」だと思った写真を撮りました。
撮影した写真は、試験官の下村さんに判定してもらいます。
(飯尾)
「まずハジメなんですけれど、どうでしょうか?」
(下村さん)
「正解です。」
(飯尾)
「本当ですか?やった~!でも次が自信ないんですけど、フウケイはどうでしょう…?」
(下村さん)
「残念です。飯尾さんが撮影したのはハキというサルですね」
私は、実地試験、2問中1問正解しました。10点獲得です。
(5)結果発表?初の博士は出たのか?!
検定の結果は、後日、郵送で送られてきました。
90点以上が「高崎山サル博士」
80点以上が「高崎山サル修士」
70点以上が「高崎山サル学士」
60点以上が「高崎山サル研究生」です。
さきほど紹介したみなさんの結果は、こうなりました。
高崎山が家族の団らんの場になっている、西竹さんご一家。
父・伸一さんは70点で「学士」、母・幸呼さんは60点で「研究生」でした。
検定を通して、高崎山への愛が深まったといいます。
(母・幸呼さん)
「こんなにサルの勉強したのも、こんなにサルの顔を真剣に見たのも初めてでした。
これまでは夫に連れてこられていたけど、次からは私からみんなを誘いたくなるかも。」
(父・伸一さん)
「来るときはもちろん家族で。今回検定に来られなかった息子と合わせて4人で行きたい。」
高崎山デートを重ねる隅田さんご夫妻。
夫・翔太さんは68点で「研究生」、妻・亜紀さんは72点で「学士」でした。
全国のサルを撮影している喜熨斗さんは、74点で「学士」。
検定後に電話でお話を伺うと、「今度珍しいサルを見るために海外旅行に行く」との報告が。
この検定を通して、サル愛がさらに深まったといいます。
高崎山でも人気のサル『マルオ』が好きすぎて大分に移住した袖澤さん。
なんとサルの見分けは2問とも正解。
合計82点で「修士」に認定されました!
(袖澤さん)
「今まではマルオしか追いかけていなかったのが、
色んな子が分かるようになって面白かったですし、
高崎山の歴史もそうですし、勉強すれば面白いかもと。
また楽しいことを見つけたなと思いました。」
そして、前人未到の博士は…今回…なんと…出ました!!!!!
別府市在住の50代男性で、
数年前にふらっと高崎山に立ち寄ったことをきっかけにその魅力にはまり、
それ以来、週2~3回通い続けている常連さんです。
初の”博士”は「一生かけて高崎山の全部のサルの名前を覚えたい」と話していました。
博士が出たことについて、試験問題を作成したガイドの下村さんに話を聞きました。
(下村さん)
「初めて博士が誕生したことに祝福したい気持ちと、
手に届きそうで届かない称号であってほしかったという気持ちの両方があります。
それでも30人以上の受験があった中での1人ですので、本当に努力されたのだと思います。
祝福の気持ちでいっぱいです。」
3月26日(日)に行われる70周年記念式典で「高崎山サル博士」の表彰が行われる予定です。
小学生の頃に訪れた大好きな「高崎山自然動物園」。
検定期間中何度も訪れる中で、1頭1頭の表情やしぐさの違いが分かるようになりました。
「いつもストーブの前にいるなあ」とか、「きょうも毛並みがきれいだなあ」とか…
1頭1頭に愛着が湧いてきて、高崎山のディープな魅力にはまってしまいました。
大分を離れても、ずっと見守っていたいです。