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新潟県 熱中症に注意! 県内で対策進む

職場や部活動の現場で始まった対策を取材
  • 2023年07月04日

熱中症に注意が必要な時期を迎えています。県内では2022年5月から9月までの間に、1200人あまりが熱中症の症状で搬送されました。企業や教育機関の現場ではさまざまな対策が始まっています。対策を取材すると、私たちに日常の対策にも生かせるヒントが見えてきました。  
(新潟放送局記者 野口恭平、猪飼蒼梧)

ものづくりのまち燕市 工場では室温を下げる試み

燕市にある工場

工場など働く現場では、熱を反射させる「遮熱材」のシートを天井などに張り付けて電気の使用量を増やすことなく室内の温度を下げ、熱中症を防ごうという試みが進んでいます。

天井に貼られた「遮熱材」

こちらは遮熱材を取り扱う燕市の会社が作ったモデルルームです。

遮熱材はアルミはくやポリエチレンを組み合わせたシートになっていて熱を反射することができ、天井や屋根、壁などに貼り付けることで熱の伝導を遮ることができるといいます。

遮熱材がない部屋の室温
遮熱材を貼った部屋の室温

取材に訪れた6月19日正午すぎ、遮熱材のない部屋の室温はおよそ32度でしたが、ほとんと同じ構造で遮熱材のある部屋の室温はおよそ26度に抑えられていました。

電気代が値上がりする中、熱中症対策として問い合わせも増えているといいます。

遮熱材のメーカー経営 塚原裕康社長

塚原社長
暑さ対策として今までだったらエアコンを増設するくらいしかありませんでしたが、電気代の高騰ということでそれもなかなか大変になっている。そんな中でエネルギーを使わないものとして注目されていると思います。

遮熱材の効果は?実際に導入した工場では

工場の天井に貼られた遮熱材

この遮熱材を導入している燕市の建築金具のメーカーです。これまで、従業員が作業中に熱中症で体調を崩したケースがあったことから熱中症対策に力を入れています。

遮熱材を導入した工場の責任者 高野陽一工場長

高野工場長
これまで熱中症で体調が悪くなる人も何人かいました。35度を超えるとどうしても水分補給が大事になってくるので、1時間ごとに強制的に休憩とって水分をとってもらったりする時間を作っていましたが作業性が落ちてしまうので大変でした。

「遮熱材」を天井に貼り付け、これまでも使っていた冷風機や扇風機を組み合わせることで電気の使用量を増やすことなく働きやすい環境を維持できているということです。

遮熱材を導入した金属金具メーカー経営 原田雅史社長

原田社長
遮熱シートを導入しても効果が出ない場合は新たな空調設備を導入しなければいけないと考えていましたが、いまのところその心配はないので電気代も抑制できてるんじゃないかなと思います。従業員には引き続き熱中症にならないように気をつけながら休み時間も長くとって作業してもらいたい。

教育現場でも 夏もトレーニングをする運動部では

新潟医療福祉大学 陸上部

夏場も練習が欠かせない運動部では選手の体調に気を配っています。
取材したのは新潟医療福祉大学陸上部です。

屋内でストレッチを行う部員たち

この日は日中の最高気温が30度を超えたため練習の開始時間を遅らせました。また練習前のストレッチは屋内の練習場で行うなど、熱中症対策を徹底しています。

「栄養サポート部」も 熱中病対策を栄養面から支援

「栄養サポート部」の部員たち

さらに選手の熱中症を防ごうと活動しているのが「健康栄養学科」に所属する栄養サポート部の学生たちです。自らも選手として活動した経験や大学で学んだ栄養学の知識を生かして、学内の選手たちをサポートしています。

選手たちから食事内容の報告を定期的に受け、足りていない栄養素を見つけたり栄養のとりやすい食事方法などを考えたりします。

この日は▼食欲が落ちる暑い時期は食べる量が減らないように食べやすく工夫すること▼スポーツドリンクやカットフルーツを用意するなど練習中の栄養補給も確実に行うことなどといったアドバイスを陸上部の選手たちに伝えていました。

 選手たちは栄養指導が記録やパフォーマンスの向上につながったと話していました。

 

栄養サポートを受けた陸上部員

パフォーマンスの向上や貧血予防、けがをしている時の食事など、その時々の自分に必要な目的に沿ったアドバイスをしていただけるのですごく助かっています。

大学に入って寮生活になり自炊する場面が増えたので、自分の知識だけでは栄養が偏ってしまう部分がありました。足りていない部分や摂取量などを教えていただけているのですごく助かっています。

栄養サポート部助手 宮本真菜さん

栄養サポート部の活動の中心となっている大学院生の宮本真菜さんは、食欲が落ちているときに、いかに食事や水分補給を行うことができるが重要だと話します。

宮本さん
夏場は食事量が落ちてしまう選手が多いので、どのように工夫したら食事を今までどおりとることができるのかというのを一緒に相談して工夫することを決めています。運動中の水分補給はもちろんですが自分の中で1日の中で水分をとるタイミングを決めて水分補給をするというのがとても重要かなと思います。

熱中症 私たちが取るべき対策は

現場で行われた対策と同じようには重要なのは▼暑さを避けることと▼水分をとること。

気温が高い日には、まずは▽不要不急の外出を避けて適切にエアコンを使用してください。
そして▽のどがかわく前にこまめに水分補給をするなど対策を徹底し、熱中症を防ぎましょう。

そして熱中症が疑われた場合にとるべき行動がこちら。

▼すぐに涼しい場所に移動すること。▼そして衣服を脱がせるなどして体温を下げつつ▼水分や塩分の補給を確実に行ってください。また症状が重い場合にはすぐに119番通報を通報し、救急隊を呼んでください。

  • 野口恭平

    新潟放送局 記者

    野口恭平

    2008年入局 徳島放送局、報道局経済部を経て新潟放送局へ。幼いころから南魚沼市で年末年始を過ごす。経済や子育て支援の動きなどを取材中。

  • 猪飼 蒼梧

    新潟放送局 記者

    猪飼 蒼梧

    令和元年入局。
    新潟局が初任地で5年目。
    新潟市政、スポーツなどを担当。

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