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糸魚川市 遭難救助に登山アプリ活用 消防

  • 2023年05月25日

登山者に人気の山が多い新潟県。登山や山菜採りなどで遭難する人は2021年に131人、2022年に129人とあとを絶たず捜索にあたる救助隊の負担も大きくなっています。こうしたなかスマートフォンのアプリを使い、少しでもスムーズな捜索や救助につなげようという動きが糸魚川市で始まっています。山岳救助にあたる消防の現場を取材しました。(上越支局 記者 阪本周悠)

放送した動画はこちら

新潟 糸魚川市消防の山岳救助隊 遭難救助のカギは

糸魚川市消防本部の山岳救助隊です。遭難の連絡が入ると警察と救助に向かいます。

ふだんは消防本部内で遭難者に見立てた人形を引き上げる訓練を行うほか、実際の登山道に入り搬送訓練などを行っています。

日本百名山に数えられる雨飾山や県内最高峰の小蓮華山など登山者に人気の山々が連なる糸魚川市では、毎年およそ10件の山岳遭難が起きています。

糸魚川市消防本部で山岳救助隊の隊長を務める中澤幸夫さんです。山岳救助の現場は刻一刻と状況が変わるといいます。

日没時間や天候不良で視界が悪くなることは非常に危険性を伴うものになります。救助者の安全はもちろんなのですが、我々隊員の安全確保することも非常に大事になってきます。

そのうえでスムーズな救助のためには、遭難者の位置をいかに早く特定するかが鍵を握るといいます。

捜索の手がかりとなるのが登山計画書です。
インターネットを通じて提出できるほか登山口にも提出する箱が設置されています。

しかし計画書を出さずに山に入る人は少なくないのが実情で、消防や警察は事態を改善しようと啓発活動を繰り返してきました。

登山アプリの活用を開始

こうしたなか糸魚川市消防が活用を始めたのがこちらの登山者向けのアプリ。遭難者の位置情報を素早く把握するために活用するといいます。

事前に山の地図をダウンロードしておくと、電波がつながらなくても利用者が登山中の位置情報を記録することができます。

その情報は電波がつながったタイミングでサーバーに保管されます。

山岳救助隊 隊員
アプリを使うことによって簡略化、自動化されるので大変便利に使っています。

糸魚川市消防はアプリを運営する福岡市の会社とことし3月に協定を結んで運用を開始。会社から遭難者の位置情報の提供を受けることにしたのです。

山岳救助隊 中澤隊長
こちらで今の要救助者の場所がある程度特定できます。また他の登山者で同じアプリを使った人とすれ違った場合にも 記録が残されるので、最終的にどのあたりをどの方とすれ違っているかという情報も獲得することができる

隊員も活用 二次災害防止へ

さらに迅速な救助だけでなく、捜索にあたる隊員たちの安全確保にも役立てようとしています。

救助に向かった隊員たちがこのアプリをインストールしたスマートフォンを持つことで、消防本部で隊員の位置を把握するのです。

隊員の現在地を現場本部が把握することによって、その先に急斜面ありとか、そういった情報を送ることで隊員の二次災害を防止できると考えています。安全安心な登山を楽しんでもらえるよう、今回のシステムを上手に活用していきたい

私たちにできる対策は?

県内では糸魚川市のほか、南魚沼市消防本部もアプリの開発会社と協定を結んでいて、会社はさらに各地域の自治体と連携を進めていきたい考えです。

ただ、救助体制が整備されるのは心強い一方、引き続き大切なのは遭難自体を防ぐことです。私たちに出来る対策にはどんなものがあるのでしょうか。

中澤さんは注意点について次のように話しています。

・時間のゆとりや自分の体力などをふまえ、登山の計画を立てること。
・万が一に備え、食料や水、それに紙の地図を携帯しておくこと。
・登山の計画を家族などと事前に共有すること。
 また登山計画書(インターネット、紙どちらでも)を提出すること。

本格的な登山シーズンを前に、改めて基本に立ち返ることが必要だと感じました。

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