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新型コロナ5類へ 大型連休 新潟の観光は 温泉・キャンプ場は

  • 2023年04月28日

新型コロナウイルスの位置づけが5類に移行するのを前に、この大型連休の期間中、県内では人の動きが2022年より活発になるとみられています。コロナ禍で利用者が大幅に減少してきた県内の観光地はどう対応しようとしているのか、大型連休やその先を見すえた動きを取材しました。(長岡支局・野尻陽菜、上越支局・阪本周悠)

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長岡・蓬平温泉の旅館 「マルチタスク化」で対応

にぎわいが予想される大型連休。2023年4月28日から5月7日までの上越新幹線の指定席の予約席数は、上下線で合わせて10万7000席と去年の同じ時期と比べて75%増えています(JR東日本まとめ、4月13日時点)。また、佐渡汽船は3万4700人あまりと、去年よりおよそ20%増えています(佐渡汽船まとめ、4月26日時点)。

利用者が減っていた観光地の宿泊施設にも変化が起きています。

四季折々の情景を味わうことができる温泉が人気の長岡市の蓬平温泉。この温泉街にある旅館では、新型コロナウイルスの5類への移行を控え、準備に力を入れています。

土産物売り場に地元の日本酒コーナーを新たに設けたり。

客室のひのき風呂をメンテナンスしたりして来客に備えています。

感染状況が比較的、落ち着いていることを受け、この旅館では休日には満室となる日も増え、大型連休中の予約も去年を上回っているといいます。

新型コロナウイルスの影響が続き、清掃などを行うパート従業員が半分に減ったこの旅館。いま、
従業員が複数の役割を担ういわゆる「マルチタスク化」で人手不足を補っています。

従業員の木下だいあさんです。これまで担当していたフロント業務だけではなく、客室の清掃や料理の配膳も担当するようになりました。はじめは慣れない業務に苦労しましたが、担当が広がったことでうれしい変化もあったといいます。

蓬平温泉 旅館従業員 木下だいあさん
予約の時に料理のことを聞かれたときには答えやすくなったり、分かりやすく伝えるようになったりしたと思います。

旅館ではコロナ禍で生み出した工夫が現在の経営を支えていると考えています。

「和泉屋」金内智子 常務
みんなが順応して自分のできることを率先してやってくれることには本当に感謝しています。選んでいただける宿作りが一番なので、スタッフにも協力していただきながら、自分たちがお客様に支持いただけるにはどうしたらよいかなということをみんなで考えている毎日です。

「旅行支援」終了後の需要動向がカギ

長岡支局・野尻陽菜記者
【改めて、観光地はいまどのような状況にあるのか?】
去年の大型連休と比べると、ことしは多くの観光客が見込まれ取材した蓬平温泉でも期待が高まっていると感じました。ただ取材した旅館では、エネルギー価格の高騰で光熱費などの負担が経営の重荷になっています。また少人数での旅行客が増えるなど旅行の形も変化しているため、さらに多くの人手が必要になる可能性もあるということです。

【これまでは国や県などが旅行代金を割り引く仕組みもあった。今後はどうなる?】
新潟県の旅行支援は2023年6月末(まつ)までとなっています。取材した旅館では、こうした支援がなくなることで「お得感」がなくなり、「5類」移行後の旅行需要がしぼむことへの危機感があるという声も聞かれました。

キャンプ場でも予約増 安全対策も

長野県境に近い糸魚川市の山あいにある「高浪の池」です。

敷地内にはキャンプ場やグラウンドゴルフ場などがあり、大型連休から始まるシーズン中は、県内外から観光客が訪れます。

レジャー施設の運営会社を経営する伊藤大貴さんです。4月29日のオープンを前に、観光客の回復に手応えを感じています。

レジャー施設運営・伊藤大貴さん
大型連休中のキャンプ場の予約についてはキャンセル待ちという形で非常にうれしく思っています。本当に肌で感じるほど予約がかなり多くなってきたと思っています。(5月)3日からに関しては、いま上限の50組、満杯になっているような状況です。

北海道や九州などからの予約もあり、去年と比べて予約が埋まるスピードも早いということです。

一方、オープンを前に伊藤さんが力を入れているのが安全対策です。

2023年4月、相模原市のキャンプ場で倒木による死亡事故が起きたことを受け、地元の森林組合の職員と施設の敷地内に倒れそうな木などがないか見て回りました。

伊藤さんと森林組合の職員
「これも枯れてますね」。
「本当だ、枯れてますね」。

見回りで見つけた枯れた木や枝などは印をつけ、順次伐採することにしています。

伊藤さんは、利用者の安全を守りながら、これまで以上に活気のある観光地にしていきたいと意気込んでいます。

レジャー施設運営・伊藤大貴さん
厳しい3年間が終わってようやく今、みなさんいろいろ移動できるようになってきた。観光地に多くの方が足を運んでいただければ周りにある町や市もにぎわいを取り戻すと思うので非常に期待をしているところです。

キャンプ場周辺の整備も

【大型連休を前に、キャンプ場など屋外の施設も利用者が戻りつつあるのか】
新型コロナウイルスの感染拡大前の4年前、2019年におよそ2万2000人だったこの施設の利用者は3年前(2020年)にはおよそ8500人まで落ち込みました。去年はおよそ1万人と、やや持ち直していて、伊藤さんは団体客を中心にさらに利用者が増えることを期待しています。

【運営会社は倒木のチェックなど安全面での対応も進めていた】
運営会社ではシーズン中にサイクリングロードもオープンさせる予定で、去年、おととしを上回る人出になることも予想されています。それだけに安全の確認という原点に立ち返って、準備を進めているという印象でした。この高浪の池は「県の石」に指定されたヒスイの産出地、ヒスイ峡にも近く、地元では観光客がこうした観光地をめぐることによる経済効果にも期待しています。

  • 野尻陽菜

    新潟放送局 記者

    野尻陽菜

    2020年入局。2022年8月より長岡支局。休みの日は温泉めぐりをしています。

  •  阪本周悠

    新潟放送局 記者

     阪本周悠

    2021年入局。主に上越地域を担当。 キャンプ好きで、今シーズンに向けてテントを新調しました。

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