ページの本文へ

NHK名古屋のおすすめ

  1. NHK名古屋
  2. 名古屋のおすすめ
  3. 大野雄大 中日ドラゴンズ エース復活へ 勝負のシーズン

大野雄大 中日ドラゴンズ エース復活へ 勝負のシーズン

  • 2024年03月21日

ドラゴンズのエース・大野雄大投手は去年4月にひじを手術。1軍登板は開幕4試合目の1試合に終わった。35歳で迎えるプロ14年目の今シーズンに向け、大野投手はエースとしてマウンドで再び躍動し、チームの低迷期を終わらせたいと強い覚悟を持って迎えようとしている。                      NHK名古屋放送局 ドラゴンズ担当 猪飼蒼梧

左ひじはオフの自主トレから「問題なし」

大野投手はプロ14年目のシーズンに向けた自主トレーニングを地元・京都で行った。その1つが恒例の「大文字山登山」。大野投手は高校時代に「五山送り火」で知られる大文字山をトレーニングで登っていた。プロ野球選手になった今でも下半身を鍛えるメニューとしてそれを行っているのだ。手術したひじは思うように回復せず、目指した昨シーズン途中での復帰は叶わなかった。それでも年が明けるころには手術前とほぼ同じ内容のトレーニングができるようになった。1月上旬に大文字山を無事に登り切った大野投手はけがからの復活を期す思いを語った。

大文字山の山頂付近で「大」の字のポーズ

大野投手
ひじの状態は全く問題ありません。ローテーションをしっかり守って手術をして投げられなかった去年の悔しさをぶつけたいです。チームの誰よりも投げたいし立浪監督を勝てる監督にしたいという思いもある。とにかく勝ちまくりたいですね。

キャンプでは生命線のストレートに磨きかける

大野投手は復調ぶりをアピールしようと、首脳陣に直訴してキャンプは1軍メンバーになった。そして初日からブルペンに入り、まずは背番号と同じ22球を力強く投げ込んだ。

大野投手はキャンプ初日にブルペンで投球練習

大野投手
初日にブルペンに入ることができてよかった。ひじの状態は全く問題ない。みんなが開幕投手を目指して競争しさらに強い投手陣を作りたいです。もちろん自分も開幕投手を狙いたいです。

キャンプ期間中の投球練習で重視したのはストレート。プロ入り後の大野投手が試合で投げる球種の割合はストレートが約50パーセントを占めている。球速は140キロ台の中盤と決して速くないが、バッターと駆け引きをする中でストレートをより意味のあるボールにしてきたのだ。30代半ばになってもそのピッチングスタイルを貫くつもりだという。ストレートを磨くために手術後のリハビリ期間中からウエイトトレーニングに取り組み始めたという。もともと「投げるための筋肉は投げてつける」という考えだったため、これまでウエイトトレーニングを行っていなかったのだ。今も下半身のウエイトトレーニングを続けていて、ストレートの質には手応えを感じている。

キャンプのブルペンでストレートを投げ込む大野投手

大野投手
そこ(ストレート主体のピッチング)はブレないですよね。それができなくなったら僕自身、ピッチャーとしてもう潮時かなと思います。まだまだまっすぐでしっかり押して、そこでカウント稼いで打ち取っていくような投球をやっていけると思うので続けていかないといけない。下半身のトレーニングは今も継続しているので、そういうところの出力が上がれば、上半身への負担が減って100パーセントの力を出さなくても、思っているよりまっすぐが走ることがあると信じてやっています。

キャンプ中盤にあった実戦形式のバッティング練習ではストレートに手応えを感じたという。大野投手は去年9月の2軍戦以来となるバッターへのピッチングで5人と対戦した。投げた18球のうちストレートは7割以上の13球。ヒットは1本だけと順調な調整ぶりを示した。

カリステ選手からは得意のツーシームで三振を奪った

大野投手
本当に久々にバッターに投げたんですけど、しっかりボールを操れていましたし、1回目にしては上出来だったと思います。

今はエースと思っていない 競争に勝つ

キャンプが後半に入った2月下旬。大野投手は練習後に北谷町の飲食店を訪れていた。同席したのは21歳の高橋宏斗投手。日本代表も経験したドラゴンズの若きエース候補だ。一回り以上年下の高橋投手を前にして、大野投手はチーム内で置かれた自分の立場について語った。

大野投手
僕自身は(エースとは)思ってはいないですね。周りが評価してくれることだと思っていますし、争う投手はたくさんいるので負けていられないとさらに火がつくというか。アピールしていかないといけない立場なので、競争に勝っていかないといけないという気持ちを全面に出してそこはしっかりやっていこうと思っています。

チームにとっても重要な年

球団史上初の2年連続最下位などチームがこのところ低迷する中、大野投手はエースとしてマウンドに立ち続けてきた。今シーズンは復活を期す自分自身、そしてチームにとっても節目の1年にすると意気込んでいる。去年11月の契約更改後の会見では「一番やらないといけないのは選手だが、球団や監督、コーチ陣を含め、みんながガラッと変わらないと強くならないと思う」とフロントや首脳陣を含めた球団全体に対して強い危機感を示した。

大野投手
2年連続最下位という成績で何か変えていかないと先が見えてこないという気持ちでした。まずは選手それぞれがベストパフォーマンスを出していくこと、やるべきことができていないことが現状では多いので、どうやったら勝てるのかを考えないといけないと思います。チームのことを思ってるからああいうことを言ったわけで、言った以上は自分の行動に気を抜けないというのはあります。

オープン戦では上々の内容でアピール

 

3月10日の広島戦では4回無失点の好投

大野投手はオープン戦2試合で計6イニングを無失点。その後、2軍公式戦での登板を経て、開幕ローテーション入りへ順調に調整を続けている。愛着あるチームのためにシーズンを通して投げ続ける覚悟を示した。

大野投手
3年連続最下位なんて許されることではないですし、1年間ローテーションを外れることなく、ずっと1軍にいて、何週間も離脱することなく投げ続けてチームの勝利を1つでも伸ばして、チームの中継ぎ陣を助けられるような投手でいる1年でいたいです。

  • 猪飼蒼梧

    名古屋局 記者

    猪飼蒼梧

    入局5年目。去年8月からドラゴンズ担当。小学生のころはテレビで年間100試合以上プロ野球観戦していました。

ページトップに戻る