豊橋特産の“次郎柿”!新たな栽培方法とは?
- 2023年11月14日
「東海すごいぜ!」、今回はいまが旬で、愛知県豊橋市で生産が盛んな“次郎柿”について紹介します。
「収穫作業を楽にしたい」と新たな栽培方法を工夫する、農家を取材しました。
(NHK名古屋 リポーター 浦野莉恵)
日本一の生産量!豊橋の“次郎柿”
愛知県豊橋市が日本一の生産量を誇る“次郎柿”。
10月中旬から収穫のピークを迎え、全国各地に出荷されています。
シャキシャキ!甘いんですけれど、あっさりもしていてすごく食べやすいです。
柿の苗木を植木鉢で育てる「ポット栽培」で収穫が楽に!
豊橋市で次郎柿を栽培している鈴木義弘さん。
柿を育てて20年以上、いまはバンテリンドーム約1.2個分の広さの柿園を管理しています。
大学時代から柿の栽培や農業について研究してきた鈴木さん。
その知識を生かして「収穫作業を楽にしたい」とたどりついたのは、ユニークな栽培方法でした。
それが柿の苗木を植木鉢で育てる「ポット栽培」です。
通常の露地栽培では、高さ4メートルほどまで育つ柿の木。
収穫には脚立やはしごが必要で、危険を伴う作業でした。
一方、ポット栽培だと根っこが細かく、短く成長するため木が大きくなりにくく、高さを2メートルほどに抑えることができます。
こうして育てた苗木を畑に植えて、高齢化が進む柿の産地で誰でも安全かつ効率的に作業できる農園作りを進めています。
低いのが一番じゃないですか、柿の実が取りやすいのは間違いない。
脚立を使わなくていいからね、手で取れますから、最高です。
「ポット栽培」で果実の甘さもアップ!
さらにポット栽培は、私たちが気になるおいしさにもすごい!変化があるそうです。
柿農家 鈴木義弘さん
この木はポットの苗を地面に植えて3年目の木です。養分を吸収する細かい根がたくさんありますので、果実の糖度が上がってきます。
根っこが細かく成長するポット栽培の苗木は、太く大きくなる露地栽培の苗木と比べて、細かい根が密に伸びます。
その結果、水分や肥料を無駄なく吸収でき、甘くて大きな実に育つそうです。
去年こうした取り組みが評価され、全国のコンクールで最高賞の「農林水産大臣賞」を夫婦で受賞しました。
柿農家 鈴木義弘さん
1つの形として評価されたというのは、自分にとっては非常にうれしいと思っています。“ここから先、さらに頑張れよ”という評価だと思って受け止めています。
運搬用機械の導入に向けて企業と協力
柿の成長をコントロールして効率的な収穫作業を実現した鈴木さん。
いま、すごい!“相棒”も現れ、新たな挑戦をしています。
それが運搬用機械の導入です。
機械が鈴木さんに向かっていきます。人物に追従していきますので。
機械には人を感知するセンサーがついていて作業をする人の後ろをついてきます。
これまで人力で運んでいた収穫した柿を機械の力でまとめてトラックの荷台まで運びます。
この日の実験では本格的な導入に向けて、手応えを感じていました。
鈴木さんは、高齢化を迎えた農家が働きやすい環境を作ることが、豊橋の柿の魅力度アップにつながると考えています。
柿農家 鈴木義弘さん
柿を作っている方々が楽しみとか、未来に対して希望を持って柿作りに取り組めるような産地であれば、新しい動きとか挑戦が生まれてくると思うので、今後もいろいろなことに取り組んでいきたいと考えています。
地域一丸で柿の産地を盛り上げる
鈴木さんは地域全体で柿産業を盛り上げるために、生産者同士で集まって柿の栽培技術や課題を話し合う勉強会なども開いているそうです。
さらに若い世代に向けては、▼地元の小学校で出前講座を開いたり、▼大学生のインターンを受け入れたりなど、柿農家に興味を持ってもらう機会を作っています。
取材を終えて
「高齢化」や「後継者不足」などの問題と向き合い、管理しやすい農園づくりを進める鈴木さんの取り組みは、今後農家を目指す人たちの希望になると感じました。
また鈴木さんは自治体と協力し、観光と農業を組み合わせて地域の食や食文化を世界にアピールする取り組みにも関わっているそうなので、これからの鈴木さんの挑戦にも注目していきたいです。