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新型コロナ 今も続く後遺症1000例の分析

  • 2023年04月19日

社会が新型コロナ後に向けて動き出すなか、実は今も続いているのが後遺症の問題です。
後遺症に悩む1000人以上の症例を分析した医師が、このほどその結果を明らかにしました。

新型コロナの後遺症に苦しむ人たち

後遺症外来を訪れた患者

「けん怠感、しんどいですね」

「今はちょっと気持ち悪くて頭痛が」

「目つむって食べると、何を食べているのか分からない」

愛知医科大学メディカルセンターの馬場研二医師です。
新型コロナの後遺症に悩む人の診療にあたってきました。
感染がかつてより落ち着いた今も、新たな患者を毎週20人近く受け入れています。
「予約は常にいっぱいで、相変わらず多いなと実感しています」。

半数は5ヶ月以上症状が続く

馬場医師は2年前から新型コロナの後遺症の診療を続け、今回1009人の症例を分析した結果をまとめました。
後遺症の特徴は、症状の多様さ。
そのなかで最も多かったのが、“けん怠感とだるさ”でした。
オミクロン株の感染では半数以上の人が訴えています。

倦怠感に苦しむ43歳の女性
「けん怠感と言っても、従来のけん怠感という言葉とはかけ離れたくらいつらい症状なんですが、発作みたいなのが始まるとしばらく立ち上がれなくて、横になっていないと全く動けない状態。2、3日寝ていたりとかっていう症状ですね」

後遺症と診断された人の年齢層は20代から50代までが多く、そのほとんどはコロナにかかった時、軽症でした。
しかしいったん後遺症が出ると、回復までの期間は、オミクロン株の感染者の場合、半数以上が5か月以上。1年以上苦しんでいる人もいます。

日常生活に支障も 

日常生活に影響が出るケースも少なくなく、高校2年生の女性は、去年11月の感染以降乗り物に酔うようになり、毎日電車で学校に通ったり、部活動に参加したりすることが難しくなっているといいます。

高校生の母親
「学校が月曜日から始まって、月曜日行ったら火曜日起き上がれなくて、火、水とちょっと学校休んだんですけど」

高校2年生の女性
「部活やってて半年ぐらい顔出していないので、新学期も始まったばかりなので、交友関係とか学業とかで差が開いちゃうのがつらいです」

47歳の女性は、物忘れなど記憶の障害に悩んでいます。

記憶障害のある47歳女性
「仕事のこととかももう何年も続けていたことをすっかり忘れてしまって、5年6年勤めて1回もそんなことなかったのに、そういうのがショック。誰も経験したことがない症状だから、理解してもらうというのはちょっと難しい」

馬場研二医師
「症状がつらいということだけではなくて、社会生活ができない。退職に追い込まれて、社会から外されているということに対する焦りとかせつなさとか感じておられる方も少なからずいる。いったん後遺症になると、治るまでに非常に時間がかかります。そのへんは十分理解していただいだほうがいいかと思います。」

周りの理解・支援を

新型コロナは来月、感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類になりますが、馬場医師によりますと、後遺症があるというのが、インフルエンザとの大きな違いだということです。
その症状もさまざまな一方、そのことが知られておらず、周囲に理解されずに苦しむケースも多いということで、馬場医師は周囲の理解と会社や学校側などの支援が重要だとしています。
          
 

  • 松岡康子

    NHK名古屋放送局記者

    松岡康子

    静岡局、豊橋支局、名古屋局、科学文化部、生活情報部を経て、2013年から再び名古屋局。 
    主に医療分野や介護分野の取材を担当。 
    愛知県小牧市出身で、2人の息子の母親。

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