ページの本文へ

長崎WEB特集

  1. NHK長崎
  2. 長崎WEB特集
  3. 長崎の半導体最前線

長崎の半導体最前線

~大学に人材の育成拠点~
  • 2024年01月11日

長崎大学に半導体人材育成センター

世界的に半導体需要が高まり、県内でも半導体関連企業の進出などが相次ぐ中、長崎大学はこの分野で活躍する人材を育成しようとあらたな研究センターを設置し12月1日、開所式が行われました。

新たに設置されたのは「長崎大学総合生産科学域 マイクロデバイス総合研究センター」で、12月1日の開所式にはおよそ60人が出席しました。

式では永安武学長が(ながやす・たけし)「長崎県が半導体関連産業の人材育成に力を入れている中で長崎大学として何ができるか考えた結果が、センターの設立だ。人材育成に注力していくとともに、 センターをさまざまな形で活用してほしい」とあいさつしました。

続いて開所を記念して、関係者たちによるテープカットが行われました。新たな研究センターは来年4月に、長崎大学大学院の4つの自然科学系の学域を融合して設置される「総合生産科学域」の中に設けられ、半導体に関する教育や研究を強化していくということです。

具体的には、▼半導体のプログラミングや回路を学ぶ講義のほか▼実際に半導体やカメラなどに使われる画像センサーなどの研究を通じて人材の育成を目指すということです。また、センターでは企業と連携した研究を支援し学生の就職にもつなげたいとしています。

半導体の重要性・マーケット

川崎アナ

ここからは取材にあたった松本記者とお伝えします。半導体は、スマートフォンや家電、自動車までとあらゆる電化製品の製造に欠かすことのできない存在ですよね。

松本記者

はい。半導体は、身の回りの製品だけでなく、生成AIや自動運転など最先端のテクノロジーにも不可欠となっていることから世界中で需要が高まっていて2030年には世界の市場規模はおよそ150兆円を超えると予想されています。

松本記者

そして、いま、九州各地でも半導体への設備投資が活発化しています。その中で長崎県の位置づけを見てみると県ごとの投資額では▼トップは熊本県で およそ2兆7000億円ですが▼長崎県は およそ9800億円と実は九州では2番目に多くなっているんです。

確かに県内でも大手電子メーカーの関連工場を始め、半導体企業多いですよね。

松本記者

そうなんです。長崎県によりますと、半導体に関連した企業の数は公表されていないものも含めると現在80社ほどあり、今後5年間で半導体に関連した人材は、あらたに3000人ほどが必要になると見込んでいます。

松本記者

こうしたことから半導体分野で活躍する人材を育てて県内で就職してもらおうというのが今回のセンターの目的です。

センターではどういうことをするの?

川崎アナ

実際にどんなことが学べるのでしょうか?

松本記者

はい。こちらでは、半導体に関することを「設計」「製造」「活用」の3つの大きな柱にわけて教育・研究が行われます。中でも長崎大学の特色を生かした取り組みが「活用」の分野です。

【VTR】海の見える化へ 半導体で「スマートブイ」

長崎大学が大手電子部品メーカー京セラと共同で開発した「スマートブイ」です。

坂口教授「今、防水ボックスの中に入れているが、この中にあるのが半導体を使った電子回路」

海に浮かぶこのブイには「通信」が出来る半導体が入った電子回路が組み込まれています。長崎で盛んな養殖漁業にとっては潮の流れを把握することが重要になっています。

これまでの装置では通信機能がないためその場からデータを送ることができませんでした。

今回のブイでは通信機能が備わったため、潮の流れなどのデータをリアルタイムに収集できるようになったのです。まさに半導体で「海の見える化」の実現を研究しています。

川崎アナ

まさに海洋に強い長崎大学ならではの半導体の発想で、面白いですね。

松本記者

そうなんです。まさに長崎大学では専門分野をまたいで研究を行う「課題解決型」の半導体を研究していくとしています。

地域経済の活性化も期待

川崎アナ

今後、幅広いマーケットで期待される半導体ですが、地元・長崎の経済にも期待ができますよね?

松本記者

そうですね。大島センター長は研究だけではなく、地域の活性化にも期待を示しています。

松本記者

今後、半導体人材の確保に向けた競争が激しくなる中で、このセンターから1人でも多くの人材が輩出されることが期待されています。

  • 松本麻郁

    長崎放送局記者

    松本麻郁

    民放記者を経てNHK記者へ 
    ・北海道出身
    ・遊軍(経済)を担当
    「半導体戦争」を熟読中です

ページトップに戻る