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NHK長崎 平戸オランダ商館 400年前のビール再現

  • 2023年03月13日

江戸時代初期、オランダが貿易拠点とした長崎県平戸市で日本で初めて醸造されたというビールが再現されました。いったいどんな味でしょうか?

「江戸時代のオランダの貿易拠点と言えば長崎の出島でしょう。なぜ平戸なの?」というギモンを持たれた方のために、少し脱線します。

転機は「島原の乱」

江戸幕府が鎖国政策を打ち出す前、オランダの貿易拠点は長崎県平戸市でした。転機となったのは1637年、島原半島で起きた大規模一揆「島原の乱」です。幕府は外国勢力への警戒を強め、1641年、オランダ商人に平戸から長崎の出島に移り住み、貿易拠点としていた「平戸オランダ商館」の取り壊しを命じます。それから約400年近い時を経て2011年、「平戸オランダ商館」は博物館として復元されました。

平戸オランダ商館

発見!最古のビール醸造の記録

復元にあたって平戸市が「平戸オランダ商館」の過去の会計帳簿の和訳作業をする中、「発見」がありました。「ビールの醸造」に関する記録です。記録は「1636年に黒糖を輸入し、ビールの醸造に使用した」という内容で国内で見つかったビール造りに関する記録としては最も古いものでした。

400年前の国産ビールを再現

そこで「平戸オランダ商館」は当時のビールを再現しようと必死で探した末、徳島県の醸造所にいる、オランダでクラフトビール造りの経験者にめぐりあいました。ビールの本場オランダの技術者を確保し、「400年前のビール再現」プロジェクトは大きく前進したのです。

記録を頼りに再現したビールはオランダが東洋向けに輸出していたビールのレシピをベースに当時と同じように原料に黒糖を使っているほか、オークの樽でビールを保存していたことからオークのチップを香り付けとして入れています。

400年前の輸入ビールも再現

そして当時、日本に輸入されたビールも再現しました。輸出用のビールをベースにオークのチップで香り付けし、現代のビールでは希少な「古代小麦」を 使用しました。こちらの輸入ビールは長い航海を経てもアルコールが残るよう度数を高くしているということです。

「平戸オランダ商館」岡山芳治館長

岡山芳治さん
「当時のビールは国際交流のツールとして活用されていたと思う。再現したこのビールも市民や観光に来た人の交流のツールになっていってほしい」

今回、約400年ぶりに再現された2種類のビールは平戸オランダ商館や平戸市内の直売所、それにインターネットで購入することができます。

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