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長崎 南島原市特産! 手延べそうめんの知られざる魅力

NHK長崎開局90年記念 「帰ってきた!ながさき跳町発市」
  • 2023年03月09日
嶋田ココ アナウンサー

全国2位のそうめんの生産量を誇る長崎県。南島原市の“手延べそうめん”は麺の細さとコシの強さが自慢です。そうめんと言えば夏のイメージがありますが、実は冬が生産の最盛期。

麺を使った“そうめん細工”など島原そうめんの魅力をNHK長崎放送局の佐藤誠太アナウンサーと嶋田ココアナウンサーご紹介します。

手延べそうめんは冬が旬!

取材に訪れたのは南島原市 西有家町のそうめん工場です。古くから良質な小麦が育てられ、湧き水が豊かで、そして何より雲仙岳から吹き下ろす乾いた風が麺の乾燥に適していたことから、そうめん作りが盛んに行われてきました。

夏のイメージがあるそうめんですが、それは食べるときの話。手延べそうめんが生産のピークを迎えるのは12月~2月の寒さが厳しい時期です。それはなぜか?

そうめんの生地に粘りと弾力を与えるのは、小麦粉を水と混ぜ合わせることで生じるグルテンという網目状の組織です。そして、塩にはこのグルテンを引き締める効果があります。そうめんの原料が小麦粉と塩水なのはこのためです。

冬は塩をあまり使わなくても伸ばせるため、寒いこの時期が生産の最盛期になっているそうです。そのため、小麦が本来持つ豊かな風味が引き立つそうめんに仕上げることができるといいます。私たちが取材したこの日も、よりおいしいそうめんを作ろうと職人さんたちは午前3時から作業を行っていました。

コシの秘密は“より”にあり

南島原の手延べそうめんにはグルテン豊富な生地をさらに生かす工夫があります。その一つが麺に“より”をかけること、つまりは“ねじる”工程です。

機械をつかって麺にねじれを加えることで、コシの強さが増すんです。

手延べに欠かせない“熟成”

麺によりがかかると、いよいよ手延べの作業です。機械を使わず人力で伸ばしていきます。

よりをかけた麺を2人掛かりで引っ張っても、麺はほとんど伸びません。いったいなぜ?

実はそうめんを細く延ばすには“熟成”が必要なんです。まずは麺を2本の棒に、8の字を描くようにかけていき、3時間寝かせます。すると…

麺を60cmほど伸ばすことが出来ました。この状態でさらに4時間熟成、あわせて7時間寝かせることで、細く伸ばす準備が整います。

この道45年の職人が2本の棒を上下左右に動かして、徐々に麺を伸ばしていきます。熟成なくして、手延べの技を生かすことはできないんですね。

職歴45年
高橋
徹さん

3時間、4時間と麺を寝かせることでグルテンが鎖状につながり、伸ばしても切れないようになります。いつ伸ばしていいかはそうめんが教えてくれるので、見極めながら手作業しています。

冬もうまいぞ!手延べそうめん

このように手間暇かけて作られる南島原の手延べそうめん。地元の食卓には1年中、欠かせません。冬場のオススメは鍋のシメ。ゆでたそうめんを鍋に加えても、コシが強いため煮崩れしないそうです。今回はもつ鍋に入れていただきました。

嶋田ココ

麺にダシがしっかり絡まっていて、食感も食べ応えがあって最高です!

知られざる“そうめん細工”の世界

島原そうめんの楽しみ方は、食べるだけではありません。

じつはこの「みこし」、島原そうめんの強いコシを活かして制作された「そうめん細工」です。一説によると明治時代から作られ始め、 30 年ほど前からこのような大きい作品が制作されるようになりました。お祭りの会場などで飾っているそうです。

黒い部分は竹炭、赤色は梅、黄色はウコンで着色しています。もちろん、ゆでれば食べられます。

横綱が土俵入りの時につける、こちらの綱もそうめんでできています。同じ不知火型の綱を元横綱・白鵬(宮城野親方)が大関だったころに贈ったこともあるそうです。

そうめんで縄をなうためには、高い湿度の部屋に乾麺を置き、曲げても折れない柔らかさにする必要があります。かつては、自宅の風呂場で加湿していたそうですが、今はそうめん工場の乾燥室を使っています。

この乾燥室、もともとは雲仙・普賢岳の噴火による火山灰で外に干せなくなったそうめんを乾燥させる部屋でしたが、思わぬ使い道がありました。

そうめん細工を手掛けるのは地元の町おこしグループ「みそ五郎クラブ」のみなさん。電気工事や塗装などさまざま仕事に就く人たちが協力することで、そうめん職人では思いつかない斬新なアイデアが生まれているといいます。

そうめん
職人
本田 祥彦さん

細くて折れやすいそうめんを、ねじったり、曲げたりする発想は、彼らならでは。我々職人だけでは「やめてよ」となるので、彼らがいてくれたからできた作品です。

地域で愛される 手延べそうめん

南島原の皆さんと佐藤誠太アナ、嶋田ココアナ

食べてよし、飾ってよしと、南島原に住む人たちの生活に深く根付いている“そうめん”。ぜひみなさんも味わってみてください。
21市町の魅力を生中継で伝える「帰ってきた!ながさき跳町発市」、次回もお楽しみに!

南島原市ってこんなとこ

長崎県 南島原市
・人口 4万273人
・面積 170.13平方キロメートル
・市の花 ひまわり
・市の木 アコウ
島原半島の南東部に位置する。深江町・布津町・有家町・西有家町・北有馬町・南有馬町・口之津町・加津佐町が合併して誕生。

  • 佐藤誠太

    NHK長崎放送局アナウンサー

    佐藤誠太

    2009年入局 秋田県出身
    「おはよう日本」「正午ニュース」などのキャスターを経て、2度目の長崎勤務。

  • 嶋田ココ

    NHK長崎放送局アナウンサー

    嶋田ココ

    2020年入局 兵庫県出身
    「イブニング長崎」キャスター
    中学駅伝の経験あり
    入局以来、3年連続で諫早高校を取材

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