NHKアナの防災教室 長崎の子どもたちを防災リーダーに
- 2022年08月30日
NHKアナウンサーによる防災教室
各地で毎年のように起きる豪雨災害。いまや、いつ、どこで大きな被害が出てもおかしくありません。
水害から逃げ遅れる人を出さないために。NHK長崎では、長崎大水害40年・諫早大水害65年の節目となる今年、「NHKアナウンサーによる防災教室」を始めました。
いざというとき、子どもたちの「呼びかけ」が身近な人の命を救うきっかけになってほしい。そんな思いで授業に臨みました。
NHK長崎放送局 アナウンサー 佐藤誠太
身近な人の声かけが、避難のきっかけに
「増水した川に近づくのは危険です。様子を見に行かないでください」
「明るいうちに、自治体が用意する避難所など安全な場所に避難してください」
大雨関連のニュースで、こんな言葉を耳にしたことはありませんか?
これはニュース原稿とは別に、NHKアナウンサーが自分の言葉として皆さんに伝える「呼びかけ」です。災害が起きたとき、あるいは予想されるとき、少しでも命を守る行動をとってもらえるよう、放送を通じてお伝えしています。
一方で、こんなデータもあります。
NHKでは、2018年の西日本豪雨の直後、被災した人にアンケ―トをして「最初に避難するきっかけになったのは何か」を聞いています。最も多かったのは▽「周辺の環境悪化」(33.5%)。次いで多かったのが「人からの声かけ」(31.8%)でした。
つまり、およそ3割の人は誰かに声をかけられて行動を始めたということになります。身近な人の声かけが命を救うことにつながるのです。
であれば、私たちアナウンサーが培ってきた「呼びかけ」のノウハウを子どもたちに伝えることで、彼ら、彼女たちが避難のキーマンになってくれるのではないか?そう私たちは考えました。
長崎大水害の被害を知る
お邪魔したのは、長崎市にある長崎精道小学校。4年生と5年生、合わせて39人が参加してくれました。
まず、長崎大水害でどんな被害が出たのか。40年前の映像を見てもらいました。
直前に「長崎大水害について知っていますか?」と聞いたところ、全員が手を挙げてくれましたが・・・
自分が知っている場所で大きな被害が出た様子を目の当たりにして、あちこちから「えっ?」「うわー」と声があがりました。
長崎大水害では、中島川や浦上川が氾濫。広い範囲が浸水しました。そこで、専用のアプリを使って、浸水したらどうなるのかを体験!
「こんなだったら、すぐ溺れちゃうよね」との声。
そうなんです。だから、手遅れになる前に避難することが大切なんです。
それじゃあ、避難のときにどんなことに気を付ければいいの?ということで、「防災クイズ」に挑戦してもらいました。
例えば、こんな問題。
わかりましたか?正解は・・・「部屋の真ん中」です。子どもたち、理由までしっかり考えてくれました!
「呼びかけ」を考えてみよう!
さあ、いよいよ「自分だけの呼びかけ」を考えてもらいます。実際に大雨が降ったとき、誰に、どんな言葉で避難を促すのか、具体的にイメージして書き込んでいきます。
一人一人が考えた「命を守る呼びかけ」。多くの子どもたちが手を挙げて発表してくれました。
近くの山が土砂崩れしそうだから
避難しておいた方がいいよ!
貴重品だけ持って早く逃げよう!
被害が起きてからじゃ遅いよ!
大切な人がどんな場所にいて、どんな状況にあるのか。
一人一人が思いを巡らせて紡ぎ出された言葉でした。
授業の後、何人かの児童に感想を聞きました。
「今まで学校の授業とかで防災について考えたことはたくさんあったけれど、今日が一番、真剣に考えたと思います」
「いつも私のお母さんはまだ逃げなくていいよねって言うので、今日から呼びかけをたくさんして、できるだけ安全に過ごしたいです」
「おじいちゃんが足に障害があるので、早めに逃げて守りたいです」
子どもたちの力強い言葉に、胸が熱くなりました。
これから台風シーズンに入ります。いつ、どこで、誰が被災してもおかしくありません。ぜひ、みなさんのご家庭でも、いざというときにどう行動するか、話し合ってみてください。
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