好きを伝える 民宿ワイナリー
- 2024年03月28日
今回はワインで、舞台は大町市です。 人柄がとても魅力的な醸造家の方に出会いました。
塩尻市出身の中村智恵美さん。大町市でワイン造りを始めたのは6年前です。
実は、この場所・・・
元々、夫の実家なんです。
ワインは黄色い枠で囲んだ建物で作っています。農家民宿は(上の写真の)2階建ての建物です。
民宿をされているんですか!
中村さんが民宿を始めたのは8年前。
今、民宿に泊まった人だけが味わえるワインを造っています。
民宿経営とワイン造りの両立を後押しする国の制度が出来たからです。
大町市と池田町と安曇野市が北アルプス安曇野ワインバレー特区の認定を取っているものですから。
農家が自分で栽培したぶどうを使って自分の農家民宿とかレストランで提供するワインを造ることができるんです。
この特区を活用しているのは3軒。中村さんはその内の一人です。
空き家になっていた夫の実家は、民宿として最適でした。
布団とかシーツもたくさんあって、民宿として使えるような状態だったので。
(旦那さんは)やりなっていう感じですか?
やりなというか、事後承諾でした。「好きなようにやっていいよ」というから…。
肝心のワイン造り。その第一歩もふるさとから遠く離れた地でした。
高山村ワインぶどう研究会というものができまして、もともとワイン好きだったので、栽培者の方とか、ワイナリーの方とかと一緒に勉強をしたり、お付き合いをしていく中で、自分もやってみたいなと思って始めました。
夫の実家の庭に建てた醸造所は、わずか6畳一間の広さです。
このスペースで、1シーズンに造れるワインはたった200本。
これなんですか?
ぶどうを搾るんですけど、この機械は20リットルのコンパクトなもので
搾った感じとしては優しく搾っているなと感じました。
特区で、夫の実家を民宿に。
宿泊者だけのワインを造る中村さんに【特っく別】キュンとしました!
民宿の営業は、登山客が多い4月から11月の金曜日・土曜日、そして祝日の前日だけです。
宿泊は1日1組限定で、年間100人ほどの観光客を迎えています。
一番多いお客さんは黒部ダムに行く方ですね。それから登山に行く方、自転車とかオートバイ、アウトドアを楽しまれる方が多いです。
肩肘張らずゆったりとのんびりと過ごせる空気感がとても心地よい民宿です。
そして、宿泊者がとても喜ぶのが丹精込めて仕込んだワイン。
こんな声が届いています。
朝1本飲んでいったお客さんもいて。ここだとすぐおいしいねって言ってもらえるので、それはとてもいいことだと思います。
宿泊者の中には、1からワインづくりを始めたいと相談しに訪れる人も。
そんな時、中村さんはありのままの事実を伝えるよう心がけています。
「ただワインが好きでワインを造ってみたいってそれだけじゃだめですよ」ということは必ず伝えています。自分の民宿やレストランじゃないと出せないので、「レストランや民宿の経営がしっかりしていないとうまくいきませんよ」と伝えています。
民宿とワイン造りの両立。
プライドを持って宿泊者を温かくもてなす中村さんにキュンとしました!
毎年通う常連からのたってのリクエスト、「スパークリングワインが飲んでみたい」の一声で
生まれたワインです。 中村さんが栽培するブドウのおいしさが引き出されています。
こういう泡の出るものって、酸味がないとつまらないものになる。
大町市は気候が冷涼で、夏でも夜の気温がぐっと下がるので酸味が抜けないんです。
甘い香りがしますね、いただきます。おいしい。
香りはすごく甘いんですけど、味わいはすっきりとしていますね。
ワイン特区で生きる1人としての夢を中村さんは語ります。
農家民宿でちょっとだけワインを造って出す、そういうところが増えて、例えば大町市でそういう所が5軒くらいあって、そういう所をお客さんが回りながら楽しむ。そういうことができたらいいなと思います。
自分の好きを追求しつつ、特区の未来をワインで切り開こうとする姿にとってもキュンとしました!